中18〚目覚め〛パート04
中18〚目覚め〛パート04
古川怜奈が店を出たいって言い出したので、会計を済ませて店を出た。結局、“用事”というのは怜奈の口から語られる事は無かったが僕(河村澄夫)はもうそんなのどうでも良かった。
〚あの、澄夫君。今日は遅くなるとマズイですか?〛
「えっ?」
〚いえ・・その・・もう少し澄夫君といたいなぁって思って・・・ほら、二人っきりなれるとことか・・・。〛
「二人っきりになれるとこって、もしかして・・・。」
〚いやぁん、恥ずかしいから繰り返さないで下さい。〛
そう言うと、怜奈は恥ずかしそう俯き、両手で僕の指を掴んで小さく左右に振った。
〚あっ!でも、瑠璃子に悪いですよね・・・ゴメンなさい。〛
「い、いや、二人の秘密って事ならイイんじゃないかな?」
〚そうですか・・・フフ・・。〛
怜奈はかすかに笑うと、僕の指を握っている手に力を込めて、〚やっぱりそうかぁ!この浮気者がぁ!〛と僕の指をありえない方向に曲げだした。「痛い!怜奈ちゃんどうしたの?痛い!痛い!」僕は何がなんだかわからず、ただ指を折られない様に地面にヒザをついた。
〚澄夫君!ちょっと来なさぁい!〛と怜奈は僕の指を持ったまま、今出た店に引き返す。僕は指が折れない様にしゃがんだままついて行くしかなかった。さっき座っていたテーブルに戻り、怜奈はさっきと同じ様に足を組み、腕組みをしながら、血も涙も無い様な冷たい表情で僕を睨んでいる。
僕は手をヒザの上に置き、叱られている子供の様に俯きながら座っていた。ボーイが注文
を聞きに来たが、怜奈は僕の意見を聞く事無く、〚さっきと同じのをください。〛と注文したので、僕はまたすっごく甘いカクテルを飲むことになる。
それにしても店内の人達はさぞビックリした事だろう。ついさっきまでイイ感じで店を出て行った二人が、5分程で、こんなに雰囲気を変えて戻ってくるとは誰も思わなかったハズだ。僕も思わなかったのだから・・・。
実は、怜奈はこの間の春田さんとホテルから出る現場を目撃したらしい。でも、相手があまりにもオバさんだったので、人違いか、もしくは何かの事情があったのかも?と思い、聞くに聞けなかったそうだ。それで僕は正直に事情を全部説明した。普通に話せば10分で済む話を、いろいろ言い訳しながら話したので、30分くらいかかってしまう。
〚ふぅん、じゃあもう終わったんですね?〛
「うん!もう二度と過ちを犯さないと心に誓ったよ。」
〚でも、たった今、また過ちを犯そうとしたでしょっ!〛
「そ、それは怜奈ちゃんがあんまりにも綺麗だったからで・・。」
〚そんな調子のいい事を簡単に言うから信用出来なくなるんですっ!!〛
「まぁまぁ、大声出さないで冷静に話そう。冷静にね・・。」
〚だっ!誰のせいで大声出していると思っているんですかっ!!〛
「ひぃっ!」
古川怜奈は鬼の様な顔で僕(河村澄夫)を睨む。この女性がさっきまで、僕の心のやわらかい場所をくすぐっていた女性と同一人物かと思うと、つくづく女って怖いなぁと思った。
2015/12/27
古川怜奈が店を出たいって言い出したので、会計を済ませて店を出た。結局、“用事”というのは怜奈の口から語られる事は無かったが僕(河村澄夫)はもうそんなのどうでも良かった。
〚あの、澄夫君。今日は遅くなるとマズイですか?〛
「えっ?」
〚いえ・・その・・もう少し澄夫君といたいなぁって思って・・・ほら、二人っきりなれるとことか・・・。〛
「二人っきりになれるとこって、もしかして・・・。」
〚いやぁん、恥ずかしいから繰り返さないで下さい。〛
そう言うと、怜奈は恥ずかしそう俯き、両手で僕の指を掴んで小さく左右に振った。
〚あっ!でも、瑠璃子に悪いですよね・・・ゴメンなさい。〛
「い、いや、二人の秘密って事ならイイんじゃないかな?」
〚そうですか・・・フフ・・。〛
怜奈はかすかに笑うと、僕の指を握っている手に力を込めて、〚やっぱりそうかぁ!この浮気者がぁ!〛と僕の指をありえない方向に曲げだした。「痛い!怜奈ちゃんどうしたの?痛い!痛い!」僕は何がなんだかわからず、ただ指を折られない様に地面にヒザをついた。
〚澄夫君!ちょっと来なさぁい!〛と怜奈は僕の指を持ったまま、今出た店に引き返す。僕は指が折れない様にしゃがんだままついて行くしかなかった。さっき座っていたテーブルに戻り、怜奈はさっきと同じ様に足を組み、腕組みをしながら、血も涙も無い様な冷たい表情で僕を睨んでいる。
僕は手をヒザの上に置き、叱られている子供の様に俯きながら座っていた。ボーイが注文
を聞きに来たが、怜奈は僕の意見を聞く事無く、〚さっきと同じのをください。〛と注文したので、僕はまたすっごく甘いカクテルを飲むことになる。
それにしても店内の人達はさぞビックリした事だろう。ついさっきまでイイ感じで店を出て行った二人が、5分程で、こんなに雰囲気を変えて戻ってくるとは誰も思わなかったハズだ。僕も思わなかったのだから・・・。
実は、怜奈はこの間の春田さんとホテルから出る現場を目撃したらしい。でも、相手があまりにもオバさんだったので、人違いか、もしくは何かの事情があったのかも?と思い、聞くに聞けなかったそうだ。それで僕は正直に事情を全部説明した。普通に話せば10分で済む話を、いろいろ言い訳しながら話したので、30分くらいかかってしまう。
〚ふぅん、じゃあもう終わったんですね?〛
「うん!もう二度と過ちを犯さないと心に誓ったよ。」
〚でも、たった今、また過ちを犯そうとしたでしょっ!〛
「そ、それは怜奈ちゃんがあんまりにも綺麗だったからで・・。」
〚そんな調子のいい事を簡単に言うから信用出来なくなるんですっ!!〛
「まぁまぁ、大声出さないで冷静に話そう。冷静にね・・。」
〚だっ!誰のせいで大声出していると思っているんですかっ!!〛
「ひぃっ!」
古川怜奈は鬼の様な顔で僕(河村澄夫)を睨む。この女性がさっきまで、僕の心のやわらかい場所をくすぐっていた女性と同一人物かと思うと、つくづく女って怖いなぁと思った。
2015/12/27
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