中Ⅱ8〖溺れる〗第3話
中Ⅱ8〖溺れる〗第3話
第2話
長Ⅱ6〔償い〕第3回
妻(木内翔子:しょうこ:46歳)が正社員として勤めだして3日目の昼前の事です。常務に声を掛けられます。
〔木内さん、歓迎会の代わりと言っては何だが、課員と一緒に昼飯を食べよう。〕
『あの・・私なんか、新入社員でもないし、恥ずかしいですわ。』
〔そんな事は無い。立派な新入社員だよ。ちょっとした所を予約しておいた。さあ行こう。〕
『はい、解りました。それでは遠慮なく行かせて頂きます。』
妻は常務の心遣いが嬉しかった。眩しそうにその顔を見上げ、後に従います。
常務の名前は郷原俊夫(52歳)、スーツの上からでも鍛えられた体がわかるスポーツマンです。郷原は常務の肩書きですが、食品部の部長も兼ねていました。妻の課はその下部組織の食品検査課になります。総勢10名位の小さな組織です。
それから3週間が経った木曜日、郷原常務は妻の翔子にまた声を掛けます。
〔明日、仕事が終わってから少し時間をくれないか。打ち合わせしておきたい事がある。〕
『仕事のお話でしたら、業務時間中ではいけないのですか?』
〔いや僕が昼間に時間が取れないんだ。すまないな。〕
『そうですか・・・。』
〔明日家で用事があるのなら、無理にとは言わないが・・。〕
『いいえ、別にありません。』
〔じゃあ、明日仕事が終われば内線する。〕
次の日(金曜日)の夕刻、郷原常務から内線が掛かってきます。
〔木内さん、午後6時に料亭萩乃に行っていてくれないか? 萩乃は知ってるね? 僕の名前で予約してある。〕
会社から徒歩で15分のところにある料亭萩乃はこの地方一番の料亭です。全て個室です。
『えっ! 会社で打ち合わせするのではないのですか?』
〔会社で男と女が居残って打ち合わせなど無粋な事は僕の趣味ではないので。それに、会社で時間外に君と打ち合わせしている所を見られたくない。〕
《何か違う》と思いながら妻(木内翔子)は料亭萩乃へ車で向かいます。10分前に料亭萩乃に着き、郷原の名を告げると、この店で最上級の部屋へ案内されます。常務と二人きりと思うと、妻は緊張を強いられます。それから20分ほど遅れて郷原が来ます。
〔やあ、木内さん、悪い悪い。待たせてしまったな。〕
『いいえ。それよりお話って何でしょうか?』
〔いや、大した話はないんだよ。この間の様な歓迎会で申し訳ないと思っていたので、今日はその代わりだと思ってくれればいいよ。〕
『そんな、私なんかに申し訳無いですわ。』
〔まぁそう言わずに、僕の気持ちだと思って受けて欲しい。〕
それから豪華な料理、ワインが食卓に並びます。
2016/04/05
第2話
長Ⅱ6〔償い〕第3回
妻(木内翔子:しょうこ:46歳)が正社員として勤めだして3日目の昼前の事です。常務に声を掛けられます。
〔木内さん、歓迎会の代わりと言っては何だが、課員と一緒に昼飯を食べよう。〕
『あの・・私なんか、新入社員でもないし、恥ずかしいですわ。』
〔そんな事は無い。立派な新入社員だよ。ちょっとした所を予約しておいた。さあ行こう。〕
『はい、解りました。それでは遠慮なく行かせて頂きます。』
妻は常務の心遣いが嬉しかった。眩しそうにその顔を見上げ、後に従います。
常務の名前は郷原俊夫(52歳)、スーツの上からでも鍛えられた体がわかるスポーツマンです。郷原は常務の肩書きですが、食品部の部長も兼ねていました。妻の課はその下部組織の食品検査課になります。総勢10名位の小さな組織です。
それから3週間が経った木曜日、郷原常務は妻の翔子にまた声を掛けます。
〔明日、仕事が終わってから少し時間をくれないか。打ち合わせしておきたい事がある。〕
『仕事のお話でしたら、業務時間中ではいけないのですか?』
〔いや僕が昼間に時間が取れないんだ。すまないな。〕
『そうですか・・・。』
〔明日家で用事があるのなら、無理にとは言わないが・・。〕
『いいえ、別にありません。』
〔じゃあ、明日仕事が終われば内線する。〕
次の日(金曜日)の夕刻、郷原常務から内線が掛かってきます。
〔木内さん、午後6時に料亭萩乃に行っていてくれないか? 萩乃は知ってるね? 僕の名前で予約してある。〕
会社から徒歩で15分のところにある料亭萩乃はこの地方一番の料亭です。全て個室です。
『えっ! 会社で打ち合わせするのではないのですか?』
〔会社で男と女が居残って打ち合わせなど無粋な事は僕の趣味ではないので。それに、会社で時間外に君と打ち合わせしている所を見られたくない。〕
《何か違う》と思いながら妻(木内翔子)は料亭萩乃へ車で向かいます。10分前に料亭萩乃に着き、郷原の名を告げると、この店で最上級の部屋へ案内されます。常務と二人きりと思うと、妻は緊張を強いられます。それから20分ほど遅れて郷原が来ます。
〔やあ、木内さん、悪い悪い。待たせてしまったな。〕
『いいえ。それよりお話って何でしょうか?』
〔いや、大した話はないんだよ。この間の様な歓迎会で申し訳ないと思っていたので、今日はその代わりだと思ってくれればいいよ。〕
『そんな、私なんかに申し訳無いですわ。』
〔まぁそう言わずに、僕の気持ちだと思って受けて欲しい。〕
それから豪華な料理、ワインが食卓に並びます。
2016/04/05
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