長Ⅱ6〔償い〕第5回
長Ⅱ6〔償い〕第5回
第4回
〔翔子くん、さあ帰ろうか。今日はご苦労様でした。〕
『いえ、こちらこそ、美味しいお料理ご馳走様でした。』
常務の郷原俊夫(ごうはら・としお:52歳)の退き際は見事です。女に名残惜しさを残します。
車を待つ間に常務から〔この携帯電話を渡しておこう。僕との業務連絡に使ってくれればいい。〕と箱を手渡される。〔さあ、車に乗って。〕用意されている車は外車でリムジンタイプと言うのでしょうか、普通の車より長いのです。私(木内翔子:きうち・しょうこ:46歳)は先に乗せて頂き郷原常務は後で乗ります。
運転席に向かって私が左です。乗せて頂いて驚きました。後部座席から運転席はスモークガラスの仕切りで見えません。運転手さんとの話はインターフォンになります。インターフォンのスイッチは後部座席が優先です。〔後部座席の声はスイッチを切ると運転手さんには聞こえない。〕と言う事でした。
〔車中でのお客様との重要な話を運転手には聞かせたくない場合がある。〕と郷原常務から説明を聞きます。後部座席は足を真直ぐに伸ばしても届かないくらいの余裕がありました。テレビ、DVD、オーディオシステムも揃っていてまるで密室の高級応接室のようです。クーラーにはワインが冷えていました。
今日は金曜日、主人が帰ってくるのは午後11時前、今はまだ9時です。料亭萩乃から
家まで車なら約20分位の時間です。
〔木内さん、この車の乗り心地は如何(いかが)かな?〕
『素晴らしいですわ。まるで雲にのっているようです。』
〔ところで、ご主人、今日は遅いのかな?〕
『はい、11時頃だと思いますが・・。』
〔今はまだ9時だね。少しドライブでもしますか」
『いいえ、お忙しいのに常務に悪いですわ。』
〔僕は君と少しでも長く一緒に居たいんだ。〕
『解りました。ご一緒させてください。』
郷原常務は運転手さんに高速道路で東京方面に行くよう伝えます。今、考えればここで断るべきだったと思います。この雰囲気と郷原常務に嫌な思いをさせたくないと言う気持ちで受けてしまいました。それにも増して、私の気持ちの中に高揚するものがありました。
車内の会話は、家庭の事、主人の事、夫婦生活の事にまで及んでいきます。私は迂闊だったのだと思います。先ほどのワインの酔いが回るにつれ、そんな話題も不自然だと思わなくなりました。その内、郷原常務は自分のセックスについても喋り始めます。
〔僕も聖人君子ではない。離婚しているから、たまには女性も抱く。私が抱くと女性は直ぐ気を遣るが、僕はだめだ、感じた事が無い。〕
『・・・・・』
〔どうしてだか解るか?〕
『いいえ・・。』
〔そこには愛がないからだよ。〕
『愛ですか・・・。』
〔そうだよ、だからもう最近は抱く気もしないし、また、してもいない。〕
『・・・・・』
〔だから、どうしているか解るか?〕
『いいえ、解りません。』
〔翔子くんを思い浮かべて、右手の世話になっているのさ。〕
『まぁ、恥ずかしいわ。』
50過ぎの男と40半ばの女が話す内容ではありませんが、私(木内翔子)の顔がポッと熱くなるのが解りました。
2016/04/19
第4回
〔翔子くん、さあ帰ろうか。今日はご苦労様でした。〕
『いえ、こちらこそ、美味しいお料理ご馳走様でした。』
常務の郷原俊夫(ごうはら・としお:52歳)の退き際は見事です。女に名残惜しさを残します。
車を待つ間に常務から〔この携帯電話を渡しておこう。僕との業務連絡に使ってくれればいい。〕と箱を手渡される。〔さあ、車に乗って。〕用意されている車は外車でリムジンタイプと言うのでしょうか、普通の車より長いのです。私(木内翔子:きうち・しょうこ:46歳)は先に乗せて頂き郷原常務は後で乗ります。
運転席に向かって私が左です。乗せて頂いて驚きました。後部座席から運転席はスモークガラスの仕切りで見えません。運転手さんとの話はインターフォンになります。インターフォンのスイッチは後部座席が優先です。〔後部座席の声はスイッチを切ると運転手さんには聞こえない。〕と言う事でした。
〔車中でのお客様との重要な話を運転手には聞かせたくない場合がある。〕と郷原常務から説明を聞きます。後部座席は足を真直ぐに伸ばしても届かないくらいの余裕がありました。テレビ、DVD、オーディオシステムも揃っていてまるで密室の高級応接室のようです。クーラーにはワインが冷えていました。
今日は金曜日、主人が帰ってくるのは午後11時前、今はまだ9時です。料亭萩乃から
家まで車なら約20分位の時間です。
〔木内さん、この車の乗り心地は如何(いかが)かな?〕
『素晴らしいですわ。まるで雲にのっているようです。』
〔ところで、ご主人、今日は遅いのかな?〕
『はい、11時頃だと思いますが・・。』
〔今はまだ9時だね。少しドライブでもしますか」
『いいえ、お忙しいのに常務に悪いですわ。』
〔僕は君と少しでも長く一緒に居たいんだ。〕
『解りました。ご一緒させてください。』
郷原常務は運転手さんに高速道路で東京方面に行くよう伝えます。今、考えればここで断るべきだったと思います。この雰囲気と郷原常務に嫌な思いをさせたくないと言う気持ちで受けてしまいました。それにも増して、私の気持ちの中に高揚するものがありました。
車内の会話は、家庭の事、主人の事、夫婦生活の事にまで及んでいきます。私は迂闊だったのだと思います。先ほどのワインの酔いが回るにつれ、そんな話題も不自然だと思わなくなりました。その内、郷原常務は自分のセックスについても喋り始めます。
〔僕も聖人君子ではない。離婚しているから、たまには女性も抱く。私が抱くと女性は直ぐ気を遣るが、僕はだめだ、感じた事が無い。〕
『・・・・・』
〔どうしてだか解るか?〕
『いいえ・・。』
〔そこには愛がないからだよ。〕
『愛ですか・・・。』
〔そうだよ、だからもう最近は抱く気もしないし、また、してもいない。〕
『・・・・・』
〔だから、どうしているか解るか?〕
『いいえ、解りません。』
〔翔子くんを思い浮かべて、右手の世話になっているのさ。〕
『まぁ、恥ずかしいわ。』
50過ぎの男と40半ばの女が話す内容ではありませんが、私(木内翔子)の顔がポッと熱くなるのが解りました。
2016/04/19
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