長Ⅱ3『わたしを守って』第9話
長Ⅱ3『わたしを守って』第9話
第8話
私(司道孝:つかさ・みちたか:36才)がもう少し散歩してこようと離れようとしたとき、〔あ〜!〕という、藤森真一(しんいち:36才)の背伸びするような声がして、思わず立ち止まりました。おそるおそる通気窓から覗くと、両手を上に伸ばしたまま、藤森が目を覚ましています。少しして藤森は妻(司文乃:ふみの:33才)の方を見ました。文乃は藤森に背をむけていますが、藤森が目を覚ました時に背をむけて横になったようです。
藤森はじっと妻の寝姿を見ていましたが、だんだん真剣な表情になってきました。やがて起き上がり、こちらへ歩きかけたので、私はあわてて自分のテントに戻ります。案の定、藤森は外に出てきた。しかも、藤森はこちらのテントに歩いてくるのです。私は慌てて寝たフリをしますが、今度は藤森が私の様子を覗いていました。
しばらくすると、去っていく様子です。私は藤森が自分のテントに入るのを確かめると、またテントへ近づいていき、通気窓から覗きました。藤森がまた同じ場所に横になるところです。彼は仰向けになって目を開けていましたが、少しして妻の方に横向きになり、妻の寝姿をながめていました。
私は何かさっき藤森が目を覚ました時に、背をむけて横になった時の妻の寝姿と雰囲気が違うような気がします。何かさっきより、なまめかしいような気がして、寝不足の私は少ししてようやく気がつきました。妻がすっぽり足までかけていたタオルケットが、無くなっていたのです。
藤森が外に出ているうちにタオルケットを妻の文乃が自分で取ってしまったのか、藤森がテントに戻って、素早く剥いでしまったのか、わかりません。いずれにしても、冷え性の文乃が、涼しいこの時間に暑くて取った事はありえないことでした。
背を向けた妻にギリギリにすり寄った藤森はジッと動きません。まだ、藤森の妻に対する性欲が知られていないと思っていたためか、痴漢行為がバレル恐怖感も、この時にはまだかなり残っていたのだとは思います。
それでも、直接に手を出していないとはいえ、はたから見ても、尋常ではないこの光景は、藤森にとって、妻の肉体の存在感を初めて間近に現実に感じ取れた初体験であることに間違いはなく、藤森から発する妻への興奮が私に伝わってきました。
そしてそれは、妻の文乃にしても同様です。駐車場での痴漢的な行為に続けてテント設営での藤森の勃起は、彼が、あきらかに自分を性欲の対象と見ていることを察知することになった。 もしかすると、車中からそれを感じ取り始めていて、花火大会ですぐ隣に移ってきた藤森の気配を感じ取った時、つまり、私よりもワンテンポ早く事は進行していたのかも知れません。
2016/04/28
第8話
私(司道孝:つかさ・みちたか:36才)がもう少し散歩してこようと離れようとしたとき、〔あ〜!〕という、藤森真一(しんいち:36才)の背伸びするような声がして、思わず立ち止まりました。おそるおそる通気窓から覗くと、両手を上に伸ばしたまま、藤森が目を覚ましています。少しして藤森は妻(司文乃:ふみの:33才)の方を見ました。文乃は藤森に背をむけていますが、藤森が目を覚ました時に背をむけて横になったようです。
藤森はじっと妻の寝姿を見ていましたが、だんだん真剣な表情になってきました。やがて起き上がり、こちらへ歩きかけたので、私はあわてて自分のテントに戻ります。案の定、藤森は外に出てきた。しかも、藤森はこちらのテントに歩いてくるのです。私は慌てて寝たフリをしますが、今度は藤森が私の様子を覗いていました。
しばらくすると、去っていく様子です。私は藤森が自分のテントに入るのを確かめると、またテントへ近づいていき、通気窓から覗きました。藤森がまた同じ場所に横になるところです。彼は仰向けになって目を開けていましたが、少しして妻の方に横向きになり、妻の寝姿をながめていました。
私は何かさっき藤森が目を覚ました時に、背をむけて横になった時の妻の寝姿と雰囲気が違うような気がします。何かさっきより、なまめかしいような気がして、寝不足の私は少ししてようやく気がつきました。妻がすっぽり足までかけていたタオルケットが、無くなっていたのです。
藤森が外に出ているうちにタオルケットを妻の文乃が自分で取ってしまったのか、藤森がテントに戻って、素早く剥いでしまったのか、わかりません。いずれにしても、冷え性の文乃が、涼しいこの時間に暑くて取った事はありえないことでした。
背を向けた妻にギリギリにすり寄った藤森はジッと動きません。まだ、藤森の妻に対する性欲が知られていないと思っていたためか、痴漢行為がバレル恐怖感も、この時にはまだかなり残っていたのだとは思います。
それでも、直接に手を出していないとはいえ、はたから見ても、尋常ではないこの光景は、藤森にとって、妻の肉体の存在感を初めて間近に現実に感じ取れた初体験であることに間違いはなく、藤森から発する妻への興奮が私に伝わってきました。
そしてそれは、妻の文乃にしても同様です。駐車場での痴漢的な行為に続けてテント設営での藤森の勃起は、彼が、あきらかに自分を性欲の対象と見ていることを察知することになった。 もしかすると、車中からそれを感じ取り始めていて、花火大会ですぐ隣に移ってきた藤森の気配を感じ取った時、つまり、私よりもワンテンポ早く事は進行していたのかも知れません。
2016/04/28
- 関連記事
-
- 長Ⅱ5〖妻の言葉〗その5話 (2016/04/18)
- 長Ⅱ6〔償い〕第5回 (2016/04/19)
- 長Ⅱ6〔償い〕第6回 (2016/04/20)
- 長Ⅱ1《妻の告白(三年前の浮気)》第8回 (2016/04/21)
- 長Ⅱ6〔償い〕第7回 (2016/04/22)
- 長Ⅱ5〖妻の言葉〗その6話 (2016/04/24)
- 長Ⅱ1《妻の告白(三年前の浮気)》第9回 (2016/04/26)
- 長Ⅱ3『わたしを守って』第9話 (2016/04/28)
- 長Ⅱ1《妻の告白(三年前の浮気)》第10回 (2016/05/02)
- 長Ⅱ5〖妻の言葉〗その7話 (2016/05/10)
- 長Ⅱ3『わたしを守って』第10話 (2016/05/11)
- 長Ⅱ5〖妻の言葉〗その8話 (2016/05/15)
- 長Ⅱ6〔償い〕第8回 (2016/05/16)
- 長Ⅱ1《妻の告白(三年前の浮気)》第11回 (2016/05/25)
- 長Ⅱ7〖誘惑〗 その1 (2016/05/25)
コメント
コメントの投稿