中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第二章その2(7)
中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第二章その2(7)
第二章その1(6)
「だって、これまでも色々・・ どきどきするような場面もあっただろ?」
『こんな言葉使って悪いんだけど・・・好きな人とセックスしている姿を、もう一人の好きな人に見られるなんて、想像するだけでも嫌よ!』
「俺だって、その好きな男の一人なんだろ?」
『えぇ~っ、まさか、本気でそんなこと 考えているんじゃないよね。あなたはわたしの夫だから我慢できるけど、好きな人に恥ずかしい姿を見せるのは一人で結構よ。』
当然、そうだろう。話の成行きで水を向けてはみたが、妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)からすれば傍で見ている男が夫だったらいざ知らず、好きな男に愛されている生々しい姿を、もう一人の気を引かれる男性の目に晒すなんてことは耐え難いにちがいない。「わかったよ。それで、どっちにする?」私(山下一雄:やました・かずお:49歳)に寄り添いながら横寝になっている芳恵は、思い悩むように目を閉じた。
《夫から突きつけられた難問・・・それを解くために、官能の履歴をひも解いて、艶めかしい記憶を反芻(はんすう)しているにちがいない。》
しばらくして、妻から答が返ってくる。
『黒沢(雅之)さんが、いい・・・・・・。』
《やっぱり、そうか。どっちみち、夫以外の男性に抱かれて、直(じか)に射精を受け入れざるを得ないとなれば、人柄や気心だけでなく、相手から寄せられる想いの深さや体の馴染具合など、すべてがフィットする男の方がいいに決まっているな。》
「また、稲垣(学)との、“最高のセックス”を、願っているんじゃなかったのか?」
『いろいろ思っているうちに、頭に思い浮かんできた顔が、黒沢さんだったの。こんなこと決めるのに、普通の女の人だったら余り思い悩まずに、すぐにその男性の顏が思い浮かんでくるものよね。こんなこと続けているうちに、何だか わたし、変わっちゃったみた
い・・・・悩んじゃうわ。』
《自嘲気味に言っているが、そんなはずはない。私に訊かれた瞬間、二人の顔が思い浮かんできたはずだ。そして、両方の男を天秤にかけていることに気づき、そんな自分に嫌気がさしてきたのだろう。》
「そんなことないさ。俺が願っている淫らな女になるってことは、頭の中にある煩わしいものを、すべて捨て去らないとそうなれないだろ? 普段、おまえが仕事や家事をしっかりやっている証拠じゃないか? たまには、アバンチュールを楽しめよ。」
『そんなに、持ち上げてもだめよ。それほど感謝してくれているんだったら、もっと心を込めて言わないと・・・何だか、他人事みたいに聞こえるわよ。』
元より、腑に落ちた訳ではないだろうが、最終的に、妻の芳恵は私の申し出を受け入れてくれた。妻の了承を得たとなると、後は、黒沢さんにこのことをお願いするだけです。
《一度、彼と会って・・・別部屋をとるか、それとも朝まで三人一緒に過ごすか、話さなければならないな。》 第二章その3(8)へ続く
2017/03/11
第二章その1(6)
「だって、これまでも色々・・ どきどきするような場面もあっただろ?」
『こんな言葉使って悪いんだけど・・・好きな人とセックスしている姿を、もう一人の好きな人に見られるなんて、想像するだけでも嫌よ!』
「俺だって、その好きな男の一人なんだろ?」
『えぇ~っ、まさか、本気でそんなこと 考えているんじゃないよね。あなたはわたしの夫だから我慢できるけど、好きな人に恥ずかしい姿を見せるのは一人で結構よ。』
当然、そうだろう。話の成行きで水を向けてはみたが、妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)からすれば傍で見ている男が夫だったらいざ知らず、好きな男に愛されている生々しい姿を、もう一人の気を引かれる男性の目に晒すなんてことは耐え難いにちがいない。「わかったよ。それで、どっちにする?」私(山下一雄:やました・かずお:49歳)に寄り添いながら横寝になっている芳恵は、思い悩むように目を閉じた。
《夫から突きつけられた難問・・・それを解くために、官能の履歴をひも解いて、艶めかしい記憶を反芻(はんすう)しているにちがいない。》
しばらくして、妻から答が返ってくる。
『黒沢(雅之)さんが、いい・・・・・・。』
《やっぱり、そうか。どっちみち、夫以外の男性に抱かれて、直(じか)に射精を受け入れざるを得ないとなれば、人柄や気心だけでなく、相手から寄せられる想いの深さや体の馴染具合など、すべてがフィットする男の方がいいに決まっているな。》
「また、稲垣(学)との、“最高のセックス”を、願っているんじゃなかったのか?」
『いろいろ思っているうちに、頭に思い浮かんできた顔が、黒沢さんだったの。こんなこと決めるのに、普通の女の人だったら余り思い悩まずに、すぐにその男性の顏が思い浮かんでくるものよね。こんなこと続けているうちに、何だか わたし、変わっちゃったみた
い・・・・悩んじゃうわ。』
《自嘲気味に言っているが、そんなはずはない。私に訊かれた瞬間、二人の顔が思い浮かんできたはずだ。そして、両方の男を天秤にかけていることに気づき、そんな自分に嫌気がさしてきたのだろう。》
「そんなことないさ。俺が願っている淫らな女になるってことは、頭の中にある煩わしいものを、すべて捨て去らないとそうなれないだろ? 普段、おまえが仕事や家事をしっかりやっている証拠じゃないか? たまには、アバンチュールを楽しめよ。」
『そんなに、持ち上げてもだめよ。それほど感謝してくれているんだったら、もっと心を込めて言わないと・・・何だか、他人事みたいに聞こえるわよ。』
元より、腑に落ちた訳ではないだろうが、最終的に、妻の芳恵は私の申し出を受け入れてくれた。妻の了承を得たとなると、後は、黒沢さんにこのことをお願いするだけです。
《一度、彼と会って・・・別部屋をとるか、それとも朝まで三人一緒に過ごすか、話さなければならないな。》 第二章その3(8)へ続く
2017/03/11
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