《妻とおじさん 第2回》
長B《妻とおじさん 第2回》
『うん、わかった!じゃぁ、私達帰るね…もう、寝ちゃだめよ…ようこ奥さんが心配して待っているよ。』と妻の真希が優しく諭(さと)します。
《待っちゃぁいないよ…死んだんだから…家で待ってる奴なんかいねー》
『え~?!えっ?おじさん、奥さん亡くなったの?本当?…奥さんの名前…ようこさんって言うの?』
《お嬢ちゃん、なんで?ようこを知っているんだよ。》
『おじさんが酔っ払って、ようこ、ようこって言っていたのよ…覚えてないの?』
《オレが?…》
「そうだよ、ようこ、ようこって言いながら、俺の嫁さんの足首をつかんで離さなかったんだよ。」って私は酔っぱらいの男に云う。
『あなた…。』
《オレが?…お嬢ちゃんの足をつかんで?》
『おじさん、いいのよ、気にしないで…夢を見てたみたいだから…。』
《悪かったなぁ…お嬢ちゃん、ごめんな…オレ…迷惑かけたみたいだなぁ…。》
『そんなことないわよ…それより、もう酔いは醒めたの?…』
《あぁ、もう大丈夫だから…すみませんでした。》
「そう、じゃぁ俺達、帰るからね…真希、帰ろう…。」と妻を促(うなが)す。
『…うん……おじさん…何歳なの?』
《オレかい?…もうすぐ還暦だよ。》
『還暦?…60歳?……父より2つ上なんだ………じゃぁ帰るね……。』
《あぁ…ありがとうな…。》
妻は私の腕につかまり、歩き出したのですが…妻は何か思いつめた様子です。
『………………』
「どうした?気になるの?」
『……ん~…可愛いそう…なんか、私…だめなのよ…あんな感じの人が…おじさん…家に帰っても…誰もいないのかしら…。』
「わからないけど…お義父さんと重なるの?」
『…タイプは違うけど…でも…何かしてあげたくなっちゃう…なんか、寂しい気持ち…。』
「そう……じゃぁ…もし、おじさんに待ってる家族がいなかったら…家に呼んで、三人で飲み直す?」
『えっ!?えっ~!?いいの~本当?ありがとう!あなた…私、聞いて来る!』
そう言うと、妻は走り出しました。私は何か複雑な思いはあったのですが…真希の嬉しそうな顔には勝てませんでした…。
私も先程のベンチの所に戻ってみると、妻とおじさんが、笑いながら話していました。
『あっ!あなたぁ…小林さん…って言うの、おじさんの名前…。』
「そう…小林さん、家で飲み直す?…迷惑でなかったら…。」
《迷惑なんて…でも、気持ちだけ、有り難くもらっておくよ。声かけてくれただけで嬉しいよ。》
『だめよ!小林さん…行こうよ、遠慮なんかしないで…私達、明日も明後日も休みなんだから、気にしなくていいからさぁ。』
「小林さん、明日は仕事?」
《仕事は休みだけど…悪いじゃないか、若い夫婦の家に、俺みたいな、おやじが…いいよ、遠慮しとくよ…邪魔しちゃ悪いよ。》
「邪魔は邪魔だけど…ハハハいいから今夜は飲もうよ。」
『そうよ、行こう小林さん、何にも無いけど、お酒ならいっぱいあるから。』
《本当にいいのかい?オレみたいのが行って…オレは田舎者だから、行儀は悪いし、口は悪いし…。》
「そんなの、もう知っているよ、ハハハハ。」
『うん!もう知っている。』
《ひでぇなぁー…そんなにひどかったか?悪いなぁ。》
「そんなこといいから、いいから。」
三人で家に向かいながら、小林さんは、自身の事を話し始めました。
2014/10/23
『うん、わかった!じゃぁ、私達帰るね…もう、寝ちゃだめよ…ようこ奥さんが心配して待っているよ。』と妻の真希が優しく諭(さと)します。
《待っちゃぁいないよ…死んだんだから…家で待ってる奴なんかいねー》
『え~?!えっ?おじさん、奥さん亡くなったの?本当?…奥さんの名前…ようこさんって言うの?』
《お嬢ちゃん、なんで?ようこを知っているんだよ。》
『おじさんが酔っ払って、ようこ、ようこって言っていたのよ…覚えてないの?』
《オレが?…》
「そうだよ、ようこ、ようこって言いながら、俺の嫁さんの足首をつかんで離さなかったんだよ。」って私は酔っぱらいの男に云う。
『あなた…。』
《オレが?…お嬢ちゃんの足をつかんで?》
『おじさん、いいのよ、気にしないで…夢を見てたみたいだから…。』
《悪かったなぁ…お嬢ちゃん、ごめんな…オレ…迷惑かけたみたいだなぁ…。》
『そんなことないわよ…それより、もう酔いは醒めたの?…』
《あぁ、もう大丈夫だから…すみませんでした。》
「そう、じゃぁ俺達、帰るからね…真希、帰ろう…。」と妻を促(うなが)す。
『…うん……おじさん…何歳なの?』
《オレかい?…もうすぐ還暦だよ。》
『還暦?…60歳?……父より2つ上なんだ………じゃぁ帰るね……。』
《あぁ…ありがとうな…。》
妻は私の腕につかまり、歩き出したのですが…妻は何か思いつめた様子です。
『………………』
「どうした?気になるの?」
『……ん~…可愛いそう…なんか、私…だめなのよ…あんな感じの人が…おじさん…家に帰っても…誰もいないのかしら…。』
「わからないけど…お義父さんと重なるの?」
『…タイプは違うけど…でも…何かしてあげたくなっちゃう…なんか、寂しい気持ち…。』
「そう……じゃぁ…もし、おじさんに待ってる家族がいなかったら…家に呼んで、三人で飲み直す?」
『えっ!?えっ~!?いいの~本当?ありがとう!あなた…私、聞いて来る!』
そう言うと、妻は走り出しました。私は何か複雑な思いはあったのですが…真希の嬉しそうな顔には勝てませんでした…。
私も先程のベンチの所に戻ってみると、妻とおじさんが、笑いながら話していました。
『あっ!あなたぁ…小林さん…って言うの、おじさんの名前…。』
「そう…小林さん、家で飲み直す?…迷惑でなかったら…。」
《迷惑なんて…でも、気持ちだけ、有り難くもらっておくよ。声かけてくれただけで嬉しいよ。》
『だめよ!小林さん…行こうよ、遠慮なんかしないで…私達、明日も明後日も休みなんだから、気にしなくていいからさぁ。』
「小林さん、明日は仕事?」
《仕事は休みだけど…悪いじゃないか、若い夫婦の家に、俺みたいな、おやじが…いいよ、遠慮しとくよ…邪魔しちゃ悪いよ。》
「邪魔は邪魔だけど…ハハハいいから今夜は飲もうよ。」
『そうよ、行こう小林さん、何にも無いけど、お酒ならいっぱいあるから。』
《本当にいいのかい?オレみたいのが行って…オレは田舎者だから、行儀は悪いし、口は悪いし…。》
「そんなの、もう知っているよ、ハハハハ。」
『うん!もう知っている。』
《ひでぇなぁー…そんなにひどかったか?悪いなぁ。》
「そんなこといいから、いいから。」
三人で家に向かいながら、小林さんは、自身の事を話し始めました。
2014/10/23
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