『美鈴(みすず)』 1章その27
名C『美鈴(みすず)』 1章その27
『うん・・・私そのとき・・・パパから・・・逃げたい・・・って思っていた・・・。』と、美鈴は俯(うつむ)きながら本当に小さな声でそう言いました。それは本当にショックでした。何度も何度も自分を否定されてはいましたが、その言葉は私を奈落の底に落とすかのようでした。
しばらく二人の間に沈黙が訪れ、ただ目の前の夜景をどことなく見ている私達でした。その時、美鈴がベッドから立ち上がり窓辺に向かい、夜景を見ながら、
『パパ夜景が凄く綺麗でしょ?・・・私パパから逃げたいって思ってから木嶋君に言われるままここへ来たの。』
「・・・・うん。」
『けどね・・・来たときにこの夜景なんて目に入らなかった・・・。』
「そうなの?どうして?」
『わかんない・・・私泣いているだけだったから・・・。』
「こんなに目の前に見えるのに?」
『・・・うん。木嶋君に部屋に入るなりキスされて・・・目の前のこんな綺麗な夜景もわからないくらいになっていたのね・・・。』
「・・・・・・」無言の気配を察知して美鈴が、
『私ね・・・抵抗はしたんだよ・・・抱かれる前に・・・。』
「そっか・・・。」
『けど・・・けどね・・・木嶋君に優しくキスされるたびにパパの怖い顔が・・・浮かんできたの・・・。』美鈴は声を出し泣きながら、話を続けました。
『ずっと・・・ずっと・・・最後まで・・・抵抗した・・・んだけど・・・。』
美鈴が泣きじゃくりながらそう言った瞬間、私は先ほどとは逆に美鈴を後ろから抱きしめて「ごめん・・・ごめん・・・ごめんよ・・・。」と、何度も美鈴にそう言いながら美鈴をきつく後ろから抱きしめました。
私がそう言うたびに美鈴は何度も何度も左右に首を振ります。
『ううんパパは悪くないよ・・・悪いのは私なの・・・私は・・・私はその後に・・・その後に・・・。』
「その後に?」
『パパ~~ ごめん・・・ごめん・・・。』
美鈴は号泣しながらその場へと崩れ落ちました。
そして泣きじゃくりながら私の方に振り返り私を見つめながら、
『最初は抵抗していたのに・・・その後・・・その後自分から・・・もう一度抱いてって・・・。』
美鈴のその言葉はそのときの私には耐え難いものです。その場から逃げ出したくなるほどでした。しかし美鈴をこれだけ苦しめたのも、すべて自分のせいであることは自分自身が一番納得していることでした。
ここで美鈴の口から出た言葉に動揺をしたのでは美鈴は本当に私の元へと戻って来ることはないと、そのとき確信しました。私は重たい口をなんとか開きます。「抱かれたことは仕方ないさ。それはもう消すことのできない事実なんだから。これからママがどうしたいのかが大事なんじゃないかな?」
『パパはこんな私でもこれから一緒に生活できるの?』
「出来るさ!ママがいなく成る方がその何倍も辛いことだと思っている。」
『・・・・・・』美鈴は無言です。
「ママさえもう一度俺にチャンスをくれるなら絶対にママを振り向かせてみせるから!」
『・・・・・・』
「二度とママにこんな思いをさせないから!!だから俺にチャンスをくれよ!」
必死に美鈴に向かって言いました。
美鈴はただ俯いて泣くだけです。
そして私に言いました。
「パパ?・・・私をここで抱ける?」
美鈴は涙でクシャクシャになった顔で私を見つめてそう言いました。私は何も言わずに美鈴を抱き上げベッドへと運びます。美鈴に何度も何度もキスをしました。そして美鈴の首筋、胸元へと・・・美鈴の身体中にキスをします。
美鈴の身体中にキスをしていると、この数ヶ月のことが頭の中を駆け巡りました。
これで元通りに戻れるんだ・・・そう何度も自分に言い聞かせながら。
しかし・・・美鈴を愛しく思う気持ちは強いくらい感じるのに・・・一向に興奮と言う気持ちが私の中に沸き立ってこないのです。焦れば焦るほどに・・・・美鈴も同じだったのだと思います。ただ二人で抱き合うだけの行為でした。私は美鈴に「ごめん・・・」と。『やっぱり・・・無理だね・・・仕方ないよ。』美鈴は寂しそうに言います。
「焦ることなんてないさ・・・これからゆっくり戻っていけばいいんだ。」
私がそう言うと美鈴は
『本当に戻れるかな?』
「戻れるさ。ママは戻りたいんだろ?」
『・・・・・・』
「木嶋のこと忘れられないのか?」
今まで口にすることの出来なかったことを美鈴に問いかけました。必死のおもいで・・・
美鈴から帰ってきた言葉は『・・わからない・・・。』でした。
2014/10/23
『うん・・・私そのとき・・・パパから・・・逃げたい・・・って思っていた・・・。』と、美鈴は俯(うつむ)きながら本当に小さな声でそう言いました。それは本当にショックでした。何度も何度も自分を否定されてはいましたが、その言葉は私を奈落の底に落とすかのようでした。
しばらく二人の間に沈黙が訪れ、ただ目の前の夜景をどことなく見ている私達でした。その時、美鈴がベッドから立ち上がり窓辺に向かい、夜景を見ながら、
『パパ夜景が凄く綺麗でしょ?・・・私パパから逃げたいって思ってから木嶋君に言われるままここへ来たの。』
「・・・・うん。」
『けどね・・・来たときにこの夜景なんて目に入らなかった・・・。』
「そうなの?どうして?」
『わかんない・・・私泣いているだけだったから・・・。』
「こんなに目の前に見えるのに?」
『・・・うん。木嶋君に部屋に入るなりキスされて・・・目の前のこんな綺麗な夜景もわからないくらいになっていたのね・・・。』
「・・・・・・」無言の気配を察知して美鈴が、
『私ね・・・抵抗はしたんだよ・・・抱かれる前に・・・。』
「そっか・・・。」
『けど・・・けどね・・・木嶋君に優しくキスされるたびにパパの怖い顔が・・・浮かんできたの・・・。』美鈴は声を出し泣きながら、話を続けました。
『ずっと・・・ずっと・・・最後まで・・・抵抗した・・・んだけど・・・。』
美鈴が泣きじゃくりながらそう言った瞬間、私は先ほどとは逆に美鈴を後ろから抱きしめて「ごめん・・・ごめん・・・ごめんよ・・・。」と、何度も美鈴にそう言いながら美鈴をきつく後ろから抱きしめました。
私がそう言うたびに美鈴は何度も何度も左右に首を振ります。
『ううんパパは悪くないよ・・・悪いのは私なの・・・私は・・・私はその後に・・・その後に・・・。』
「その後に?」
『パパ~~ ごめん・・・ごめん・・・。』
美鈴は号泣しながらその場へと崩れ落ちました。
そして泣きじゃくりながら私の方に振り返り私を見つめながら、
『最初は抵抗していたのに・・・その後・・・その後自分から・・・もう一度抱いてって・・・。』
美鈴のその言葉はそのときの私には耐え難いものです。その場から逃げ出したくなるほどでした。しかし美鈴をこれだけ苦しめたのも、すべて自分のせいであることは自分自身が一番納得していることでした。
ここで美鈴の口から出た言葉に動揺をしたのでは美鈴は本当に私の元へと戻って来ることはないと、そのとき確信しました。私は重たい口をなんとか開きます。「抱かれたことは仕方ないさ。それはもう消すことのできない事実なんだから。これからママがどうしたいのかが大事なんじゃないかな?」
『パパはこんな私でもこれから一緒に生活できるの?』
「出来るさ!ママがいなく成る方がその何倍も辛いことだと思っている。」
『・・・・・・』美鈴は無言です。
「ママさえもう一度俺にチャンスをくれるなら絶対にママを振り向かせてみせるから!」
『・・・・・・』
「二度とママにこんな思いをさせないから!!だから俺にチャンスをくれよ!」
必死に美鈴に向かって言いました。
美鈴はただ俯いて泣くだけです。
そして私に言いました。
「パパ?・・・私をここで抱ける?」
美鈴は涙でクシャクシャになった顔で私を見つめてそう言いました。私は何も言わずに美鈴を抱き上げベッドへと運びます。美鈴に何度も何度もキスをしました。そして美鈴の首筋、胸元へと・・・美鈴の身体中にキスをします。
美鈴の身体中にキスをしていると、この数ヶ月のことが頭の中を駆け巡りました。
これで元通りに戻れるんだ・・・そう何度も自分に言い聞かせながら。
しかし・・・美鈴を愛しく思う気持ちは強いくらい感じるのに・・・一向に興奮と言う気持ちが私の中に沸き立ってこないのです。焦れば焦るほどに・・・・美鈴も同じだったのだと思います。ただ二人で抱き合うだけの行為でした。私は美鈴に「ごめん・・・」と。『やっぱり・・・無理だね・・・仕方ないよ。』美鈴は寂しそうに言います。
「焦ることなんてないさ・・・これからゆっくり戻っていけばいいんだ。」
私がそう言うと美鈴は
『本当に戻れるかな?』
「戻れるさ。ママは戻りたいんだろ?」
『・・・・・・』
「木嶋のこと忘れられないのか?」
今まで口にすることの出来なかったことを美鈴に問いかけました。必死のおもいで・・・
美鈴から帰ってきた言葉は『・・わからない・・・。』でした。
2014/10/23
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