『美鈴(みすず)』 1章その25
名C美鈴(みすず)その25
美鈴が戻ってきてからの生活は、会話は以前のように戻った。二人して確信部分には触れないようにという生活が続きました。私は美鈴と彼(木嶋)とがまだ繋がっているのか?それともそうでないのか?・・・そんな思いを持ち、美鈴もまた私が許してくれたのか?・・・お互いその部分に触れる会話は避けていたような気がします。
娘の花帆も気を使っているのか、いつもなら夕飯を食べ終わると自分の部屋へとさっさと行ってしまうのだが、私達とテレビを遅くまで一緒に見てくれているように思いました。
そんなある日、花帆が自分の部屋へと寝に行った後に美鈴から話かけられます。
『花帆も気を使ってるみたいね。』
「そうだね・・・あぁ見えても心配なんだろ。」
『うん。ね・・パパはまだ私を疑っている?。』
「正直言って疑うときもあるかな・・・。」
『そうよね・・・。』
「でも考えないように努力はしているかな・・・。」
『パパはどうして何も聞かないの?』
「聞かないって何を?」
『私と木嶋君のこと。』
「正直に言うと・・・聞くのが怖いかな・・・。」
『そうなんだ・・・わかった・・・。』
私は美鈴の口から『今はもうあったり、電話したりはしていないよ。』と言う言葉を何処かで期待しました。しかし、美鈴はその部分については言う事はありませんでした。
私とギクシャクしだしてからの美鈴は『先に寝るね。お休み。』と言い残し自分の寝室へ。
私はその後、ビールを飲みながら、テレビを見てリビングの電気を消して自分の部屋へと行くパターンになっていました。布団に入り目を閉じると、あれ以来いつも美鈴が彼に抱かれている姿が浮かんできます。心の底から「やめろ!」と大声で言いたくなるほど胸がかきむしられる思いになった後、寂しさがどっと襲って来ます。自分の妻でありながら自分の目の前にいる美鈴が、私以外の男にも心を許している、そんな現実を感じる瞬間なのかもしれません。
そんな思いをしながらいつのまにか眠ってしまうというような生活が続きました。美鈴は美鈴でそんな私を感じてか、私のことをギクシャクする前のようには思えない部分があったと思います。ある週末に美鈴を「久しぶりに外食でもしないか?」と誘ってみると美鈴は以前とは少し違った笑顔でしたが、『いいよとOKしてくれました。』あれ以来久しぶりの会社の帰りに美鈴との待ち合わせに、私は結婚前に戻ったかのようなワクワクとした気持ちで美鈴の待つ場所へと向かいました。
待ち合わせ場所には私よりも美鈴が早く来ていました。私を見つけた美鈴は、久しぶりに見る以前の妻のように私に手を振って微笑んでいます。私にとってその笑顔は一瞬凄く嬉しい気持ちにさせてくれるのですが、すぐにあれ以来どんな美鈴の仕草をみても、「これもあの男に同じように見せたのか・・・。」と思ってしまうのが当時の私でした。
「不機嫌になってはいけない。」、そんな思いでなんとか悟られないようにとするのですが、美鈴も私と長年連れ添ってきたのですからそんな私の一瞬の陰りを察してしまうのです。その日も私自身にその陰りを感じたのか、先ほどまでの笑顔は消えてどこかよそよそしくなってしまいました。
以前なら「何を食べに行く?」私がそう聞くと美鈴は食べたいものを考えて答えてくるのでしたが、その日の美鈴は『パパが食べたい物でいいよ。』と答えてきました。「じゃぁ今日は和食にしようか?」って美鈴に言うと美鈴は『いいけど・・・。』と少しどこか不満そうに言いました。「和食じゃ嫌か?」と聞くと『そうじゃないけど・・・パパと行ってみたいお店があるの・・・。』と少し照れたように言います。
「じゃぁそこに行こうよ!」と私が言うと美鈴は『うん。』と答えて照れ笑いを浮かべる。
一瞬ですがお互い以前のような二人に戻った気がしました。ところがなんと美鈴に案内されて行った店はラーメン屋です。「え???なんでラーメン?」私は美鈴に聞くと、この間テレビで紹介していたらしく白味噌仕立てのスープが自慢の店らしいのです。美鈴が言うには、『どうしても白味噌仕立てのラーメンを味わってみたかった。』
店内に入りラーメンと餃子とビールを頼み、何もしゃべらずに二人で注文の品が来るのを待ちました。出されたラーメンは私にはどうもって感じでしたが、美鈴の方はご満悦のようでした。(味の好みは千差万別です。)ビールを二本ほど飲み、美鈴とそのラーメン屋を後にしました。
今までなら、この後ラブホテルへとのお決まりのコースでしたが、さすがにラブホテルへ行くわけにもいかずに、美鈴に「何処かにいくか?」:と尋ねると『少し二人で歩きたい。』それから、特にあてもなく二人で繁華街を歩きます。
私は何気に美鈴に聞いてみました。
「彼とはあれから逢っているのか?」
『ううん。逢おうとは誘われるけど・・・。』
って事は今でも電話では話しているのか・・・と少し落胆しました。けれども遭ってはいないようです。「そっか。」話が続きません。
2014/10/18
美鈴が戻ってきてからの生活は、会話は以前のように戻った。二人して確信部分には触れないようにという生活が続きました。私は美鈴と彼(木嶋)とがまだ繋がっているのか?それともそうでないのか?・・・そんな思いを持ち、美鈴もまた私が許してくれたのか?・・・お互いその部分に触れる会話は避けていたような気がします。
娘の花帆も気を使っているのか、いつもなら夕飯を食べ終わると自分の部屋へとさっさと行ってしまうのだが、私達とテレビを遅くまで一緒に見てくれているように思いました。
そんなある日、花帆が自分の部屋へと寝に行った後に美鈴から話かけられます。
『花帆も気を使ってるみたいね。』
「そうだね・・・あぁ見えても心配なんだろ。」
『うん。ね・・パパはまだ私を疑っている?。』
「正直言って疑うときもあるかな・・・。」
『そうよね・・・。』
「でも考えないように努力はしているかな・・・。」
『パパはどうして何も聞かないの?』
「聞かないって何を?」
『私と木嶋君のこと。』
「正直に言うと・・・聞くのが怖いかな・・・。」
『そうなんだ・・・わかった・・・。』
私は美鈴の口から『今はもうあったり、電話したりはしていないよ。』と言う言葉を何処かで期待しました。しかし、美鈴はその部分については言う事はありませんでした。
私とギクシャクしだしてからの美鈴は『先に寝るね。お休み。』と言い残し自分の寝室へ。
私はその後、ビールを飲みながら、テレビを見てリビングの電気を消して自分の部屋へと行くパターンになっていました。布団に入り目を閉じると、あれ以来いつも美鈴が彼に抱かれている姿が浮かんできます。心の底から「やめろ!」と大声で言いたくなるほど胸がかきむしられる思いになった後、寂しさがどっと襲って来ます。自分の妻でありながら自分の目の前にいる美鈴が、私以外の男にも心を許している、そんな現実を感じる瞬間なのかもしれません。
そんな思いをしながらいつのまにか眠ってしまうというような生活が続きました。美鈴は美鈴でそんな私を感じてか、私のことをギクシャクする前のようには思えない部分があったと思います。ある週末に美鈴を「久しぶりに外食でもしないか?」と誘ってみると美鈴は以前とは少し違った笑顔でしたが、『いいよとOKしてくれました。』あれ以来久しぶりの会社の帰りに美鈴との待ち合わせに、私は結婚前に戻ったかのようなワクワクとした気持ちで美鈴の待つ場所へと向かいました。
待ち合わせ場所には私よりも美鈴が早く来ていました。私を見つけた美鈴は、久しぶりに見る以前の妻のように私に手を振って微笑んでいます。私にとってその笑顔は一瞬凄く嬉しい気持ちにさせてくれるのですが、すぐにあれ以来どんな美鈴の仕草をみても、「これもあの男に同じように見せたのか・・・。」と思ってしまうのが当時の私でした。
「不機嫌になってはいけない。」、そんな思いでなんとか悟られないようにとするのですが、美鈴も私と長年連れ添ってきたのですからそんな私の一瞬の陰りを察してしまうのです。その日も私自身にその陰りを感じたのか、先ほどまでの笑顔は消えてどこかよそよそしくなってしまいました。
以前なら「何を食べに行く?」私がそう聞くと美鈴は食べたいものを考えて答えてくるのでしたが、その日の美鈴は『パパが食べたい物でいいよ。』と答えてきました。「じゃぁ今日は和食にしようか?」って美鈴に言うと美鈴は『いいけど・・・。』と少しどこか不満そうに言いました。「和食じゃ嫌か?」と聞くと『そうじゃないけど・・・パパと行ってみたいお店があるの・・・。』と少し照れたように言います。
「じゃぁそこに行こうよ!」と私が言うと美鈴は『うん。』と答えて照れ笑いを浮かべる。
一瞬ですがお互い以前のような二人に戻った気がしました。ところがなんと美鈴に案内されて行った店はラーメン屋です。「え???なんでラーメン?」私は美鈴に聞くと、この間テレビで紹介していたらしく白味噌仕立てのスープが自慢の店らしいのです。美鈴が言うには、『どうしても白味噌仕立てのラーメンを味わってみたかった。』
店内に入りラーメンと餃子とビールを頼み、何もしゃべらずに二人で注文の品が来るのを待ちました。出されたラーメンは私にはどうもって感じでしたが、美鈴の方はご満悦のようでした。(味の好みは千差万別です。)ビールを二本ほど飲み、美鈴とそのラーメン屋を後にしました。
今までなら、この後ラブホテルへとのお決まりのコースでしたが、さすがにラブホテルへ行くわけにもいかずに、美鈴に「何処かにいくか?」:と尋ねると『少し二人で歩きたい。』それから、特にあてもなく二人で繁華街を歩きます。
私は何気に美鈴に聞いてみました。
「彼とはあれから逢っているのか?」
『ううん。逢おうとは誘われるけど・・・。』
って事は今でも電話では話しているのか・・・と少し落胆しました。けれども遭ってはいないようです。「そっか。」話が続きません。
2014/10/18
- 関連記事
-
- 『美鈴(みすず)』 1章その18 (2014/09/27)
- 『美鈴(みすず)』 1章その19 (2014/10/04)
- 『美鈴(みすず)』 1章その20 (2014/10/06)
- 『美鈴(みすず)』 1章その21 (2014/10/08)
- 『美鈴(みすず)』 1章その22 (2014/10/09)
- 『美鈴(みすず)』 1章その23 (2014/10/11)
- 『美鈴(みすず)』 1章その24 (2014/10/15)
- 『美鈴(みすず)』 1章その25 (2014/10/18)
- 『美鈴(みすず)』 1章その26 (2014/10/20)
- 『美鈴(みすず)』 1章その27 (2014/10/23)
- 『美鈴(みすず)』 1章その28 (2014/10/25)
- 『美鈴(みすず)』 1章その29 (2014/10/27)
- 『美鈴(みすず)』 2章その1 (2014/10/29)
- 『美鈴(みすず)』 2章その2 (2014/11/01)
- 『美鈴(みすず)』 2章その3 (2014/11/08)
コメント
コメントの投稿