『美鈴(みすず)』 1章その19
名C美鈴(みすず)その19
私は一睡もせずに次の朝を迎えました。娘の花帆がいる手前、美鈴にはその朝には何も言いませんでした。けれど昼休みに美鈴のスマホへメールを送りました。
≪今晩話がしたい。家だと花帆がいるので夜8時に、いつも行く居酒屋で待っている。≫
美鈴からの返事のメールが来たのは昼休みが終わった1時過ぎだったと思います。
内容はただ≪わかりました。≫と、だけでした。美鈴も私が「話をしたい。」と告げたことでどんな話の内容になるのかは、わかっているはずです。
怒りなのかそれとも嫉妬なのか自分でも感じた事のないような胸の奥がなんとも言えない気分のまま、なんとかその日の仕事を無事に終えて美鈴と約束した8時よりも少し早い7時反過ぎに居酒屋に着きました。
私は連れが後から来ることを店員に告げ、個室の席へと案内してもらいました。これから美鈴とどう話そうか・・・そんな事を考えて一人でビールを飲んでいました。しばらくして、8時10分くらい前に美鈴が店員に案内されてやって来ました。『遅れてごめんなさい。』美鈴はそう言って私の顔も見ずに席に着きました。ジーンズ姿で化粧もそれほどしていない、いつもの美鈴が私の目の前で下を向いて座っています。
「飲み物は何にする?料理は適当に頼んでおいたから。」、『うん。ビールをお願いします。』美鈴がそう言って私はビールを注文しました。今までならこの店に来ると直ぐにメニューを開いて『何食べようかな~?』なんて言う美鈴は目の前にはいませんでした。美鈴はただ俯いたままでした。
「昨日は何処に行っていたんだ。」重苦しい雰囲気の中、私はそう切り出します。
『パパは知っているんでしょ?』
「何を?」
『私が何処に行っていたのか・・。』
「どうしてそう思うんだ?」
『・・パパはいつからそうなっちゃったの?』
「それは俺のセリフだよ。君はいつから俺に嘘をついて男と寝るようになったんだ!!」
思わず抑えていた気持ちを抑えきれずに大きな声で言ってしまいました。
美鈴はその一言で、下を向きハンカチで鼻を押さえ泣き出しました。美鈴は泣きながら『パパは私を疑っていたでしょ?』と大きな眼を見開いて大粒の涙をこぼしながらそう言いました。
「疑う?疑われるようなことしていたのは君だろ!」
『どうして勝手にスマホ盗み見したりするのよ。』
「君がこそこそ男と話をしたりしているからだろ!!」
私は頭に血が上りそう怒鳴ってしまいました。
『何も私はパパを裏切るようなことなんかしいてなかった・・。』
「していなかった?じゃぁ今はしているのか!!」
「・・・・・・」
ハンカチで真っ赤になった鼻の下を押さえながら『私の気持ちなんてパパ全然解ってくれていない!』美鈴も大きな声で私にそう言い返しました。
「それは俺が言いたい言葉だ!自分の嫁に浮気された男の気持を考えたことがあるのか!!」
『そうさせたのはパパでしょ?私がどんな思いでいたのか全然知らないのに!』
「何を言っているんだ?俺は君に疾(やま)しいことなんてしていないぞ!!なのに君は俺に堂々と『何もありません。』って言えるのか!!」
『・・・・・。』
しばらく何も言わずに、『パパ・・・お願い・・・それ以上言わないで・・。』
美鈴は一点を見つめたまま小さな声でそう言いました。
「黙っていられる訳ないだろ!俺に嘘までついて男に抱かれたくせに!」
『・・・・お願い・・・パパもう止めて・・・。』
「自分に都合の悪い事を言われるのが嫌なのか!!!」
私は気が付くと美鈴の頬を叩いていました。
私に頬を打たれた美鈴は、今まで一緒に生活してきて見たことも無いような恐ろしい表情で私の目を睨みつけ反論します。
『私の気持ちなんて一つも解ってないじゃない!!私はパパが好きだからパパが喜ぶならって思ったからパパ以外の人にも抱かれたのよ!』続けて美鈴は
『自分で私を他の男のところへ行かせておいて少し帰りが遅くなったからって勝手に誤解をして怒ったりして!!自分勝手なことばかり言わないでよ!!』
「なんだ!!その言い方は!!!俺を裏切っておいて!!」内心は妻に痛いところを突かれたことに忸怩たる思い(自ら恥じ入る気持ちに駆られること。)があった。
『パパが私を勝手に疑ったりして、私を信用してくれなくなったからこんなことになったんじゃない!!』
涙でくちゃくちゃになった顔で私に怒鳴りながらそう言って美鈴は泣き崩れました。
その姿を見て今まで怒鳴っていた私は少し冷静さを取り戻し美鈴に聞きました。
「彼のことは好きなのか?好きになったから抱かれたのか?」
『・・・・・・・・。』美鈴は無言です。
私は一睡もせずに次の朝を迎えました。娘の花帆がいる手前、美鈴にはその朝には何も言いませんでした。けれど昼休みに美鈴のスマホへメールを送りました。
≪今晩話がしたい。家だと花帆がいるので夜8時に、いつも行く居酒屋で待っている。≫
美鈴からの返事のメールが来たのは昼休みが終わった1時過ぎだったと思います。
内容はただ≪わかりました。≫と、だけでした。美鈴も私が「話をしたい。」と告げたことでどんな話の内容になるのかは、わかっているはずです。
怒りなのかそれとも嫉妬なのか自分でも感じた事のないような胸の奥がなんとも言えない気分のまま、なんとかその日の仕事を無事に終えて美鈴と約束した8時よりも少し早い7時反過ぎに居酒屋に着きました。
私は連れが後から来ることを店員に告げ、個室の席へと案内してもらいました。これから美鈴とどう話そうか・・・そんな事を考えて一人でビールを飲んでいました。しばらくして、8時10分くらい前に美鈴が店員に案内されてやって来ました。『遅れてごめんなさい。』美鈴はそう言って私の顔も見ずに席に着きました。ジーンズ姿で化粧もそれほどしていない、いつもの美鈴が私の目の前で下を向いて座っています。
「飲み物は何にする?料理は適当に頼んでおいたから。」、『うん。ビールをお願いします。』美鈴がそう言って私はビールを注文しました。今までならこの店に来ると直ぐにメニューを開いて『何食べようかな~?』なんて言う美鈴は目の前にはいませんでした。美鈴はただ俯いたままでした。
「昨日は何処に行っていたんだ。」重苦しい雰囲気の中、私はそう切り出します。
『パパは知っているんでしょ?』
「何を?」
『私が何処に行っていたのか・・。』
「どうしてそう思うんだ?」
『・・パパはいつからそうなっちゃったの?』
「それは俺のセリフだよ。君はいつから俺に嘘をついて男と寝るようになったんだ!!」
思わず抑えていた気持ちを抑えきれずに大きな声で言ってしまいました。
美鈴はその一言で、下を向きハンカチで鼻を押さえ泣き出しました。美鈴は泣きながら『パパは私を疑っていたでしょ?』と大きな眼を見開いて大粒の涙をこぼしながらそう言いました。
「疑う?疑われるようなことしていたのは君だろ!」
『どうして勝手にスマホ盗み見したりするのよ。』
「君がこそこそ男と話をしたりしているからだろ!!」
私は頭に血が上りそう怒鳴ってしまいました。
『何も私はパパを裏切るようなことなんかしいてなかった・・。』
「していなかった?じゃぁ今はしているのか!!」
「・・・・・・」
ハンカチで真っ赤になった鼻の下を押さえながら『私の気持ちなんてパパ全然解ってくれていない!』美鈴も大きな声で私にそう言い返しました。
「それは俺が言いたい言葉だ!自分の嫁に浮気された男の気持を考えたことがあるのか!!」
『そうさせたのはパパでしょ?私がどんな思いでいたのか全然知らないのに!』
「何を言っているんだ?俺は君に疾(やま)しいことなんてしていないぞ!!なのに君は俺に堂々と『何もありません。』って言えるのか!!」
『・・・・・。』
しばらく何も言わずに、『パパ・・・お願い・・・それ以上言わないで・・。』
美鈴は一点を見つめたまま小さな声でそう言いました。
「黙っていられる訳ないだろ!俺に嘘までついて男に抱かれたくせに!」
『・・・・お願い・・・パパもう止めて・・・。』
「自分に都合の悪い事を言われるのが嫌なのか!!!」
私は気が付くと美鈴の頬を叩いていました。
私に頬を打たれた美鈴は、今まで一緒に生活してきて見たことも無いような恐ろしい表情で私の目を睨みつけ反論します。
『私の気持ちなんて一つも解ってないじゃない!!私はパパが好きだからパパが喜ぶならって思ったからパパ以外の人にも抱かれたのよ!』続けて美鈴は
『自分で私を他の男のところへ行かせておいて少し帰りが遅くなったからって勝手に誤解をして怒ったりして!!自分勝手なことばかり言わないでよ!!』
「なんだ!!その言い方は!!!俺を裏切っておいて!!」内心は妻に痛いところを突かれたことに忸怩たる思い(自ら恥じ入る気持ちに駆られること。)があった。
『パパが私を勝手に疑ったりして、私を信用してくれなくなったからこんなことになったんじゃない!!』
涙でくちゃくちゃになった顔で私に怒鳴りながらそう言って美鈴は泣き崩れました。
その姿を見て今まで怒鳴っていた私は少し冷静さを取り戻し美鈴に聞きました。
「彼のことは好きなのか?好きになったから抱かれたのか?」
『・・・・・・・・。』美鈴は無言です。
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