『美鈴(みすず)』 1章その15
名C美鈴(みすず)その15
そして美鈴は木嶋と食事に出かけることになりました。美鈴自身結婚してから忘れかけていた感情(恋心)を彼に引き出されてしまうことも知らずに・・・。これまで私の中では木嶋さんと呼べるほど余裕があったのですが、急に嫉妬と不安が一杯になり、もう「木嶋」って呼び捨てになった。
木嶋と食事に出かける為に、支度をする美鈴を見ていて本当に高校生の頃の美鈴もこんな感じだったんだろうなと思える程、鼻歌なんか歌いながらお風呂に入り、じっくり下着を選んで色んな服を鏡に向かって合わせたりと始めてデートに出かける若い娘のようでした。
そして、いつも以上にしっかりと化粧をした(なぜか選んだ下着が上下お揃いで黒いレース?)美鈴が私に『じゃぁ行ってくるね。悪いけど夕飯はレンジで温めて食べてね。』と申し訳ないような嬉しそうな言葉と共に出かけて行きました。
不安な気持ちが募ります。その時は、それ以上に美鈴が私以外の二人目の男と関係を持つかもという興奮の方が強かったと思います。美帆は友達とコンサートに行き、そのまま外泊することになったため、一人美鈴の用意してくれた夕飯を温めて食べる私でした。当然それまで一人で家にいても落ち着くことなどありません。テレビを見ても上の空、新聞を読んでも一向に頭に入って来ません。なんとか夕飯を食べる時間までやってきたって感じでした。
美鈴は食事に行く前に何処かでお茶でもと誘われたようで少し早めのお出かけでした。この時間まで美鈴からのメールや電話は何もありませんでした。私は「途中で連絡はいれなさい。」と念を押してあったのに、「きっと木嶋と会ってまいあがっているんだ。」と思うとセックスは許そうとしているのに矛盾はしているが、あくまで自分のコントロールのうえでのことだから、何も連絡してこないのは“浮気”と同じなのだ。そんな美鈴に少し腹立たしさを感じていました。
一人で食べる夕飯は本当に味気がない。缶ビールを飲みながらプロ野球中継を見て時間を過ごしていても頭に浮かんでくるのは、「今ごろ美鈴は何をしているのだろう?」勝手な私の妄想だけが頭を駆け巡ります。私以外の男に腕を組んで楽しそうに街を歩く姿、私にしか見せない満面の笑顔で彼に話をする美鈴の姿、食事をしていてもまるで恋人同士のような美鈴の姿、そんな色んな姿を勝手に想像している私でした。
プロ野球の中継が終わった頃にスマホの着信音が鳴る。首を長くして待っていた私は慌てて電話に出ました。顔は喜色満面だったと思う。
「もしもし」
『パパ?ごはん上手く温めて食べられた?』
「食べたに決まってるだろう。子供じゃないんだから。」
『そっかぁ~良かった。パパは電子レンジなんて使ったことないでしょ?だからきっと面倒くさくなってそのまま冷たいまま食べてるのかって思ってた(笑)』
「それくらいできるよ。ところで君の方は食事もう済んだの?彼とまだ一緒なのか?」
『うん。今食事終わってお店を出たところ。あのね二人で食事している時に話をしていた見たい映画が今日はレイトショーでやっているから見に行ってきていいかな?』
「全然いいよ。映画くらい観てきなさい。」
『ありがとう。遅くなるけど映画が終わったら出来るだけ早く家に帰るからね。』
「わかった。そのあと現実逃避してくればいいよ。」と無理して美鈴を嗾(けしか)ける。
『あはは そんなこと絶対ないよ。そんな雰囲気全然ない。じゃぁ帰る前にまた電話するね。』美鈴はそう言って電話を切りました。
私は「なんだ映画だけか・・・がっかりだな。」そんな思いでした。
そして美鈴は木嶋と食事に出かけることになりました。美鈴自身結婚してから忘れかけていた感情(恋心)を彼に引き出されてしまうことも知らずに・・・。これまで私の中では木嶋さんと呼べるほど余裕があったのですが、急に嫉妬と不安が一杯になり、もう「木嶋」って呼び捨てになった。
木嶋と食事に出かける為に、支度をする美鈴を見ていて本当に高校生の頃の美鈴もこんな感じだったんだろうなと思える程、鼻歌なんか歌いながらお風呂に入り、じっくり下着を選んで色んな服を鏡に向かって合わせたりと始めてデートに出かける若い娘のようでした。
そして、いつも以上にしっかりと化粧をした(なぜか選んだ下着が上下お揃いで黒いレース?)美鈴が私に『じゃぁ行ってくるね。悪いけど夕飯はレンジで温めて食べてね。』と申し訳ないような嬉しそうな言葉と共に出かけて行きました。
不安な気持ちが募ります。その時は、それ以上に美鈴が私以外の二人目の男と関係を持つかもという興奮の方が強かったと思います。美帆は友達とコンサートに行き、そのまま外泊することになったため、一人美鈴の用意してくれた夕飯を温めて食べる私でした。当然それまで一人で家にいても落ち着くことなどありません。テレビを見ても上の空、新聞を読んでも一向に頭に入って来ません。なんとか夕飯を食べる時間までやってきたって感じでした。
美鈴は食事に行く前に何処かでお茶でもと誘われたようで少し早めのお出かけでした。この時間まで美鈴からのメールや電話は何もありませんでした。私は「途中で連絡はいれなさい。」と念を押してあったのに、「きっと木嶋と会ってまいあがっているんだ。」と思うとセックスは許そうとしているのに矛盾はしているが、あくまで自分のコントロールのうえでのことだから、何も連絡してこないのは“浮気”と同じなのだ。そんな美鈴に少し腹立たしさを感じていました。
一人で食べる夕飯は本当に味気がない。缶ビールを飲みながらプロ野球中継を見て時間を過ごしていても頭に浮かんでくるのは、「今ごろ美鈴は何をしているのだろう?」勝手な私の妄想だけが頭を駆け巡ります。私以外の男に腕を組んで楽しそうに街を歩く姿、私にしか見せない満面の笑顔で彼に話をする美鈴の姿、食事をしていてもまるで恋人同士のような美鈴の姿、そんな色んな姿を勝手に想像している私でした。
プロ野球の中継が終わった頃にスマホの着信音が鳴る。首を長くして待っていた私は慌てて電話に出ました。顔は喜色満面だったと思う。
「もしもし」
『パパ?ごはん上手く温めて食べられた?』
「食べたに決まってるだろう。子供じゃないんだから。」
『そっかぁ~良かった。パパは電子レンジなんて使ったことないでしょ?だからきっと面倒くさくなってそのまま冷たいまま食べてるのかって思ってた(笑)』
「それくらいできるよ。ところで君の方は食事もう済んだの?彼とまだ一緒なのか?」
『うん。今食事終わってお店を出たところ。あのね二人で食事している時に話をしていた見たい映画が今日はレイトショーでやっているから見に行ってきていいかな?』
「全然いいよ。映画くらい観てきなさい。」
『ありがとう。遅くなるけど映画が終わったら出来るだけ早く家に帰るからね。』
「わかった。そのあと現実逃避してくればいいよ。」と無理して美鈴を嗾(けしか)ける。
『あはは そんなこと絶対ないよ。そんな雰囲気全然ない。じゃぁ帰る前にまた電話するね。』美鈴はそう言って電話を切りました。
私は「なんだ映画だけか・・・がっかりだな。」そんな思いでした。
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