中11 〖家庭教師の誤算 第1回〗
中11 〖家庭教師の誤算 第1回〗
(原題:萌え 投稿者:不明 投稿日:2015年02月28日)
僕が香澄(かすみ)と出会ったのは大学3年の夏だった。当時彼女は受験を控えた高校生で、家庭教師の派遣元からの紹介で僕が家庭教師を務めることになる。夏休みを控えたある日、僕が香澄の家へ出向いた。高級住宅街の中でもひと際目立った大邸宅が僕の探している家だと気がついた時、愕然とする。
「どんなわがままなお嬢様が僕を待っているのだろう・・・。」来年大学受験を控えた夏になってようやく家庭教師をつけるなんて、よほど頭が悪いか勉強嫌いかに決まっている。そんなに勉強が嫌いなら進学なんかさせなければいいのに、お金持ちと言うのはとにかく見栄を張りたがるものらしい。
ベルを鳴らすとすぐに母親が出てきて、僕を出迎えてくれた。
〚二宮先生、お待ちしておりました。〛
「初めまして。」
僕は優等生らしさを強調しようと少しオーバーに頭を下げて見せる。
どこに座ったら良いのか躊躇うほど高級そうな皮張りのソファーとかが置いてあるリビン
グに通され、促(うなが)されてようやく座ると直ぐに教え子となる女の子が二階から降りてきた。
細身でストレートな長い髪にアーモンドアイという基本エレメントは良かったが、いかにもファンキーそうで、だらしない態度をした女子高生が登場した。お約束通りガムをくちゃくちゃ噛んでいて、挨拶もロクにできない。
それでも僕にとっては学生生活を支える貴重な収入源となるお客さまなので、僕は小娘相手にきちんと挨拶をした。
「こんにちは。今日から数学を教えることになりました二宮です。よろしく。」
女子高生は僕を値踏みするようにちょっと失礼なくらいジロジロ見ると、
『香澄です。』
とひと言だけ言うと、首だけで僕に会釈をした。
〚もう、香澄さん!きちんとご挨拶なさい!〛
「いえ、お母さん・・・。」
僕が母親を制すると、母親は申し訳なさそうに頭を下げてくれた。娘はともかく、親の方はきちんとしていそうだ。
〚この子はやればできる子なんです。〛
きちんとはしているが、親馬鹿だ。派遣元からは、《とにかくどこの大学にでもいいので入れるレベルにしてさえもらえればいい。》、そう言われてやってきた。
僕が香澄の部屋に入ってみると、服装ほどの乱れはなく、それなりに整理された部屋だっ
た。本らしきものはマンガしかなくて、あとはテレビゲームのソフトが一応片づけられている。僕は香澄の隣に座って教科書をカバンから取り出させた。
思った通り、教科書には書き込みも折り目もほとんどなくて綺麗なものだった。先が思いやられる・・・。それでも気を取り直して、教科書に載っている初歩的な練習問題を指して、
「これ、解いてみてください。」と言ってみる。
問題を解き始める気配がないので香澄の方に目を向けると、ジッと僕を見つめている。「ん?どうかしましたか?」そう尋ねると、香澄はおもむろに、『ねぇセンセ、どうして私なんかに丁寧語で話すの?』
「おかしいですか?」
『おかしいよ。念を押すまでもないけど、私、年下だよ。』
「香澄ちゃんは自分が年下だという自覚がありながら、どうして僕にタメ口で話すんですか?」
香澄はニヤリとしながらも、意外な質問を受けたという顔をしながら、『私が質問しているの。質問に質問で返すのは無しだよ。』これには僕が苦笑いをさせられた。
2015/03/15
(原題:萌え 投稿者:不明 投稿日:2015年02月28日)
僕が香澄(かすみ)と出会ったのは大学3年の夏だった。当時彼女は受験を控えた高校生で、家庭教師の派遣元からの紹介で僕が家庭教師を務めることになる。夏休みを控えたある日、僕が香澄の家へ出向いた。高級住宅街の中でもひと際目立った大邸宅が僕の探している家だと気がついた時、愕然とする。
「どんなわがままなお嬢様が僕を待っているのだろう・・・。」来年大学受験を控えた夏になってようやく家庭教師をつけるなんて、よほど頭が悪いか勉強嫌いかに決まっている。そんなに勉強が嫌いなら進学なんかさせなければいいのに、お金持ちと言うのはとにかく見栄を張りたがるものらしい。
ベルを鳴らすとすぐに母親が出てきて、僕を出迎えてくれた。
〚二宮先生、お待ちしておりました。〛
「初めまして。」
僕は優等生らしさを強調しようと少しオーバーに頭を下げて見せる。
どこに座ったら良いのか躊躇うほど高級そうな皮張りのソファーとかが置いてあるリビン
グに通され、促(うなが)されてようやく座ると直ぐに教え子となる女の子が二階から降りてきた。
細身でストレートな長い髪にアーモンドアイという基本エレメントは良かったが、いかにもファンキーそうで、だらしない態度をした女子高生が登場した。お約束通りガムをくちゃくちゃ噛んでいて、挨拶もロクにできない。
それでも僕にとっては学生生活を支える貴重な収入源となるお客さまなので、僕は小娘相手にきちんと挨拶をした。
「こんにちは。今日から数学を教えることになりました二宮です。よろしく。」
女子高生は僕を値踏みするようにちょっと失礼なくらいジロジロ見ると、
『香澄です。』
とひと言だけ言うと、首だけで僕に会釈をした。
〚もう、香澄さん!きちんとご挨拶なさい!〛
「いえ、お母さん・・・。」
僕が母親を制すると、母親は申し訳なさそうに頭を下げてくれた。娘はともかく、親の方はきちんとしていそうだ。
〚この子はやればできる子なんです。〛
きちんとはしているが、親馬鹿だ。派遣元からは、《とにかくどこの大学にでもいいので入れるレベルにしてさえもらえればいい。》、そう言われてやってきた。
僕が香澄の部屋に入ってみると、服装ほどの乱れはなく、それなりに整理された部屋だっ
た。本らしきものはマンガしかなくて、あとはテレビゲームのソフトが一応片づけられている。僕は香澄の隣に座って教科書をカバンから取り出させた。
思った通り、教科書には書き込みも折り目もほとんどなくて綺麗なものだった。先が思いやられる・・・。それでも気を取り直して、教科書に載っている初歩的な練習問題を指して、
「これ、解いてみてください。」と言ってみる。
問題を解き始める気配がないので香澄の方に目を向けると、ジッと僕を見つめている。「ん?どうかしましたか?」そう尋ねると、香澄はおもむろに、『ねぇセンセ、どうして私なんかに丁寧語で話すの?』
「おかしいですか?」
『おかしいよ。念を押すまでもないけど、私、年下だよ。』
「香澄ちゃんは自分が年下だという自覚がありながら、どうして僕にタメ口で話すんですか?」
香澄はニヤリとしながらも、意外な質問を受けたという顔をしながら、『私が質問しているの。質問に質問で返すのは無しだよ。』これには僕が苦笑いをさせられた。
2015/03/15
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