短Ⅱ22《大好きっ!》4話
短Ⅱ22《大好きっ!》4話
千春ちゃんに布団を与え、俺(篠田和臣40歳)はコタツで寝る事にした。だが夜中に、寒
くて、くしゃみが出る。すると千春ちゃんが起きてきて、俺に布団をかける。《いい子だ・・・。》
「ありがと・・・でも、千春ちゃん、寒いだろ?」
『いえ・・・。毛布があるから・・・。』
「眠れない?」
『はい・・・枕が変わると・・・。』
「だよね。」
『わたしも、ここで寝ていいですか?』
「えっ?」
『ダメですか?』だが俺が返事をする前に、千春ちゃんは、俺の横に潜り込んできた。『あったか~い・・・。』千春ちゃんは、俺に身を寄せてくる。俺・・・恥ずかしながら・・・鼓動が高鳴っていた。突然、千春ちゃんが、『ふぇっ・・・ふぇっ・・・。』と、すすり泣き出す。
《無理もない・・・父親から、捨てられたのだから。》俺は思わず、千春ちゃんの細い肩を抱き寄せた。千春ちゃんは俺の胸に顔を埋め、尚も泣き続ける。泣き疲れたのか、程なく千春ちゃんは寝息をたてはじめた。だが俺は、一睡も出来ぬまま《明日、やっぱ峰岸に・・・千春ちゃんはやっぱり引き取れない・・・と話してみよう。》俺はそう決めていた。
そして朝を迎えた。空が白み始めたのは気付いていたが、いつの間にか俺も寝ていた。起きた時、隣の千春ちゃんはまだ寝ている。俺の腕を枕にし、まるで恋人のそれのように俺の胸に顔を埋めたまま・・・足を俺に絡み付けていた。時計を見ると、9時を少し回っていた。
俺が起きたのに気付いたか、千春ちゃんも目を覚ます。顔は俺の胸の中のまま、顔だけを上げて、『おはようございます。』とあいさつをした。俺が「おはよう。」と返すと、彼女が『今・・・何時ですか?』と尋ねてくる。「9時を・・・少し回っているね。」、『えっ?』
千春ちゃんが顔を上げる。
『た、大変・・・ご飯、すぐ作りますね。』
彼女は体を起こそうとするが、狭いコタツに入ってる為、なかなか起き上がれない。
「いいよ!いい・・・俺、朝飯食わない人だから。それに・・・慣れぬ環境で、あまり寝れていないでしょ?ゆっくりしていていいよ。」
『そ・・・そうですか?』
千春ちゃんはそう言うと、また俺の腕を枕にし、足もまた絡めてきた。《おいおい・・・》
『あの・・・父ともですね・・・一緒に寝た事なくて・・・父は、わたしの事放ったらかしで・・・14歳で、何だか・・・子供みたいですよね?でも・・・ホント言うと・・・だから昨夜、ちょっとドキドキしたけど、ちょっと甘えてみようかなって・・・。』
そして、千春ちゃんは俺の顔をまっすぐ見ながら、
『だからお父さんとは、なんだかうまくやっていけそうです。甘えん坊の娘ですけど、よろしくお願いします。』
俺は言葉が出なかった。しかし、千春ちゃんは、尚も俺にぎゅっと抱きつくと、こう続けた。
『もうわたしを捨てないで・・・母も、父も・・・だからもう、わたしを捨てないで・・・。』
そう言うと、千春ちゃんがまた泣き出す。俺は昨夜の決意をきっぱり忘れる事にした。
2015/10/05
千春ちゃんに布団を与え、俺(篠田和臣40歳)はコタツで寝る事にした。だが夜中に、寒
くて、くしゃみが出る。すると千春ちゃんが起きてきて、俺に布団をかける。《いい子だ・・・。》
「ありがと・・・でも、千春ちゃん、寒いだろ?」
『いえ・・・。毛布があるから・・・。』
「眠れない?」
『はい・・・枕が変わると・・・。』
「だよね。」
『わたしも、ここで寝ていいですか?』
「えっ?」
『ダメですか?』だが俺が返事をする前に、千春ちゃんは、俺の横に潜り込んできた。『あったか~い・・・。』千春ちゃんは、俺に身を寄せてくる。俺・・・恥ずかしながら・・・鼓動が高鳴っていた。突然、千春ちゃんが、『ふぇっ・・・ふぇっ・・・。』と、すすり泣き出す。
《無理もない・・・父親から、捨てられたのだから。》俺は思わず、千春ちゃんの細い肩を抱き寄せた。千春ちゃんは俺の胸に顔を埋め、尚も泣き続ける。泣き疲れたのか、程なく千春ちゃんは寝息をたてはじめた。だが俺は、一睡も出来ぬまま《明日、やっぱ峰岸に・・・千春ちゃんはやっぱり引き取れない・・・と話してみよう。》俺はそう決めていた。
そして朝を迎えた。空が白み始めたのは気付いていたが、いつの間にか俺も寝ていた。起きた時、隣の千春ちゃんはまだ寝ている。俺の腕を枕にし、まるで恋人のそれのように俺の胸に顔を埋めたまま・・・足を俺に絡み付けていた。時計を見ると、9時を少し回っていた。
俺が起きたのに気付いたか、千春ちゃんも目を覚ます。顔は俺の胸の中のまま、顔だけを上げて、『おはようございます。』とあいさつをした。俺が「おはよう。」と返すと、彼女が『今・・・何時ですか?』と尋ねてくる。「9時を・・・少し回っているね。」、『えっ?』
千春ちゃんが顔を上げる。
『た、大変・・・ご飯、すぐ作りますね。』
彼女は体を起こそうとするが、狭いコタツに入ってる為、なかなか起き上がれない。
「いいよ!いい・・・俺、朝飯食わない人だから。それに・・・慣れぬ環境で、あまり寝れていないでしょ?ゆっくりしていていいよ。」
『そ・・・そうですか?』
千春ちゃんはそう言うと、また俺の腕を枕にし、足もまた絡めてきた。《おいおい・・・》
『あの・・・父ともですね・・・一緒に寝た事なくて・・・父は、わたしの事放ったらかしで・・・14歳で、何だか・・・子供みたいですよね?でも・・・ホント言うと・・・だから昨夜、ちょっとドキドキしたけど、ちょっと甘えてみようかなって・・・。』
そして、千春ちゃんは俺の顔をまっすぐ見ながら、
『だからお父さんとは、なんだかうまくやっていけそうです。甘えん坊の娘ですけど、よろしくお願いします。』
俺は言葉が出なかった。しかし、千春ちゃんは、尚も俺にぎゅっと抱きつくと、こう続けた。
『もうわたしを捨てないで・・・母も、父も・・・だからもう、わたしを捨てないで・・・。』
そう言うと、千春ちゃんがまた泣き出す。俺は昨夜の決意をきっぱり忘れる事にした。
2015/10/05
- 関連記事
-
- 短Ⅱ25《7年前》第1話 (2015/09/26)
- 短Ⅱ21〖麻美の秘密〗第4話 (2015/09/26)
- 短Ⅱ24「もう、したくない?」その2 (2015/09/27)
- 短Ⅱ22《大好きっ!》3話 (2015/09/28)
- 短Ⅱ20〖わたしを抱いて〗3話 (2015/09/29)
- 短Ⅱ18【封印】第3回 (2015/10/01)
- 短Ⅱ17〖淫乱な妻へ〗第4話 (2015/10/02)
- 短Ⅱ22《大好きっ!》4話 (2015/10/05)
- 短Ⅱ20〖わたしを抱いて〗4話 (2015/10/05)
- 短Ⅱ22《大好きっ!》5話 (2015/10/07)
- 短Ⅱ22《大好きっ!》6話 (2015/10/09)
- 短Ⅱ13〖不安の波〗その3 (2015/10/10)
- 短Ⅱ22《大好きっ!》7話 (2015/10/13)
- 短Ⅱ23〖願望をかなえてくれる妻〗その3話(最終話) (2015/10/14)
- 短Ⅱ24「もう、したくない?」その3 (2015/10/15)
コメント
コメントの投稿