短Ⅱ22《大好きっ!》8話
短Ⅱ22《大好きっ!》8話
4月になり、千春は高校生になった。伊豆の夜、自制心を失いそうになった俺だが、まだ親子の関係は保っている。(当然だけれど・・・。)そんな時、峰岸信介から電話を受けた。千春を養女にして以来、俺(篠田和臣かずおみ:41歳)と峰岸の関係は遠ざかっていたのだが・・・。
〔あのさ・・・お前に相談があるんだけど・・・。〕
「どうしたんだ?」
〔大事な話しがあるんだ・・・。〕
「あー・・・分かったよ。じゃ18時に・・・。」
時間と場所を設定して、俺は電話を切った。
居酒屋の個室で、峰岸と俺が向き合って座る。
〔あのさ、おれ・・・ウララと別れたんだ。〕
「ふ~ん。・・・そっか・・・」
〔生まれた子も・・・ウララが連れて行っちゃって・・・今はおれ、一人なんだ・・・。〕
「・・・それで?」
〔だから今、すごく寂しくてな・・・そうしたら・・・千春の顔がちらついてな・・・。〕
「勝手なものだ。千春ちゃんを棄てといてさ。」
〔お前に勝手は承知で頼みがあるんだが・・・千春を返してくれないか?〕
「馬鹿野郎っ!」
俺は、あの時のようにグラスのビールを峰岸にぶちまけていた。
〔怒るお前の気持ちはよく分かる。千春といた頃、俺は全然父親の役目を果たせていなかった。でも・・・心入れ替えて父親するから・・・頼む!この通り!〕
「ふざんけなっ!」
俺は席を立ち、峰岸を残して店を出た。
しかしその後、峰岸はしつこかった。何度も何度も電話をしてくる。そして・・・とうとう峰岸はウチにまで来た。それも千春と俺が、くつろいでいる時にだ。『勝手な人ね・・・。』千春は震えながら、峰岸を睨みつけていた。
『あなたが・・・わたしにした事を・・・覚えていますか?』
〔ああっ・・・ゴメン・・・申し訳なかった・・・。〕
『何なの、それで謝っているつもり!。』
千春が怒鳴った声、俺は初めて聞いた。
『わたし、ずっと寂しくて・・・それで、あなたに認められたいと、あなたが望むことは何でも・・・あなた、わたしに何をさせました?その汚いものを舐めさせたり、わたしの体触ったり・・・。』
《えっ?何のことだ?今の千春が云ったのは・・・。》
『わたし、そんな事までしたのに、好きな人が出来たら、あなたにさっさと棄てられて・・・それで女と別れたから?寂しいから?ふざけんなっ!』
千春はそう言うと、峰岸の頬を平手打ちする。
『帰って!帰ってよ!2度とわたしの前に来ないで!わたし・・・今、お父さんと、すっごく幸せなのっ!・・・』
そう言うと千春は峰岸を無理矢理に追い出し、鍵をかけた。扉の前にしゃがみこむと、声をあげて泣き出す。俺は黙って、千春の頭をなでたが、彼女は泣きやまなかった。
『千春は・・・お父さんの本当の娘ですよね?』
「そうだよ。」
『ずっとここにいていいんですよね?わたし?』
「もちろんさ。」
『ここがわたしの家ですよね?』
「もちろん。」
『わたしの名前は・・・篠田千春ですよね?お父さん?』
「そうだとも!千春は俺の娘だ。」
泣き止んだ千春の問いに、俺はそう答えた。すると千春はまた泣き出し、『ありがとう・・・お父さん・・・。』と言う。部屋の外で何か音がした気がする。(もしかしたら、まだ峰岸がいたのかもしれない。)俺と千春はその日、本当の父娘になった。
2015/10/22
4月になり、千春は高校生になった。伊豆の夜、自制心を失いそうになった俺だが、まだ親子の関係は保っている。(当然だけれど・・・。)そんな時、峰岸信介から電話を受けた。千春を養女にして以来、俺(篠田和臣かずおみ:41歳)と峰岸の関係は遠ざかっていたのだが・・・。
〔あのさ・・・お前に相談があるんだけど・・・。〕
「どうしたんだ?」
〔大事な話しがあるんだ・・・。〕
「あー・・・分かったよ。じゃ18時に・・・。」
時間と場所を設定して、俺は電話を切った。
居酒屋の個室で、峰岸と俺が向き合って座る。
〔あのさ、おれ・・・ウララと別れたんだ。〕
「ふ~ん。・・・そっか・・・」
〔生まれた子も・・・ウララが連れて行っちゃって・・・今はおれ、一人なんだ・・・。〕
「・・・それで?」
〔だから今、すごく寂しくてな・・・そうしたら・・・千春の顔がちらついてな・・・。〕
「勝手なものだ。千春ちゃんを棄てといてさ。」
〔お前に勝手は承知で頼みがあるんだが・・・千春を返してくれないか?〕
「馬鹿野郎っ!」
俺は、あの時のようにグラスのビールを峰岸にぶちまけていた。
〔怒るお前の気持ちはよく分かる。千春といた頃、俺は全然父親の役目を果たせていなかった。でも・・・心入れ替えて父親するから・・・頼む!この通り!〕
「ふざんけなっ!」
俺は席を立ち、峰岸を残して店を出た。
しかしその後、峰岸はしつこかった。何度も何度も電話をしてくる。そして・・・とうとう峰岸はウチにまで来た。それも千春と俺が、くつろいでいる時にだ。『勝手な人ね・・・。』千春は震えながら、峰岸を睨みつけていた。
『あなたが・・・わたしにした事を・・・覚えていますか?』
〔ああっ・・・ゴメン・・・申し訳なかった・・・。〕
『何なの、それで謝っているつもり!。』
千春が怒鳴った声、俺は初めて聞いた。
『わたし、ずっと寂しくて・・・それで、あなたに認められたいと、あなたが望むことは何でも・・・あなた、わたしに何をさせました?その汚いものを舐めさせたり、わたしの体触ったり・・・。』
《えっ?何のことだ?今の千春が云ったのは・・・。》
『わたし、そんな事までしたのに、好きな人が出来たら、あなたにさっさと棄てられて・・・それで女と別れたから?寂しいから?ふざけんなっ!』
千春はそう言うと、峰岸の頬を平手打ちする。
『帰って!帰ってよ!2度とわたしの前に来ないで!わたし・・・今、お父さんと、すっごく幸せなのっ!・・・』
そう言うと千春は峰岸を無理矢理に追い出し、鍵をかけた。扉の前にしゃがみこむと、声をあげて泣き出す。俺は黙って、千春の頭をなでたが、彼女は泣きやまなかった。
『千春は・・・お父さんの本当の娘ですよね?』
「そうだよ。」
『ずっとここにいていいんですよね?わたし?』
「もちろんさ。」
『ここがわたしの家ですよね?』
「もちろん。」
『わたしの名前は・・・篠田千春ですよね?お父さん?』
「そうだとも!千春は俺の娘だ。」
泣き止んだ千春の問いに、俺はそう答えた。すると千春はまた泣き出し、『ありがとう・・・お父さん・・・。』と言う。部屋の外で何か音がした気がする。(もしかしたら、まだ峰岸がいたのかもしれない。)俺と千春はその日、本当の父娘になった。
2015/10/22
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