短Ⅱ12<お願い>第2話
短Ⅱ12<お願い>第2話
プライドでは飯は食えない家族も守れない。俺(鶴見章吾38歳)は思いきって学生時代の友人に連絡をすることにした。それが汐見義一(しおみ・よしかず)です。汐見は親から事業を引き継ぎ不動産や貸しビルなど手広くやっている。俺は忙しそうな彼に連絡をしたら予想に反してあっさりアポイントが取れた。
俺が約束の時間に会社に訪ねていくと、女性秘書が出てきて急な用事で汐見は外出したと封筒を差し出してくる。受け取った封筒の中身は会社案内で、メモが同封してあり、〔その会社を応募してみてください。〕ということだった。
会社案内を読むと上場こそしていないが今流行のエコ関連ビジネスで財務内容もしっかりしている。俺は汐見に感謝しながらその会社にすぐに連絡の電話をすると社長(江草将司)が直接面接してくれるという話になって、翌日面接に行った。
江草社長は45歳だと言っていたが年齢よりも若く見える男だった。簡単な自己紹介からOA機器メーカーでの営業実績や苦労話などを語ると頷きながら真剣に聞いてくれる。そして帰り際に〚年収は前職と同じで前向きに話を進める。〛と採用を匂わされた。
会社を出てすぐに俺はお礼を言いたくて汐見に連絡をした。「忙しいだろうからいいよ。」と断ったが汐見が是非会いたいというので会社にお邪魔する。久々に会う汐見は学生時代と変わりない不敵な笑みを浮かべていた
〔仕事が決まりそうで良かったな。〕
「汐見のおかげだよ、ありがとう。本当にありがとう。」俺は頭を下げた。
〔いや、そんなこといいよ。それより愛美(めぐみ)ちゃんに夜の仕事は辞めさせてやれよ。〕
“え?!”これを聞いた瞬間に俺は頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた
「な、なんで知って・・。」
〔当然だろ。愛美ちゃんに店を紹介したの、オレなんだから。〕
「え?それ、本当なのか?」
〔本当だよ。いくら仕事を探しても、まともな店は年齢を言っただけで門前払いされると相談されてね。昔のよしみで紹介をしたんだ。〕
その後、汐見と何をどう話したか覚えていない。そして俺はただ1枚の名刺が掌に握られていた。それは妻の愛美(めぐみ:33歳)から聞いていた店の名前です。名刺の源氏名も愛美のままだった(ただ、ふりがなはマナミ)。
〔一度、愛美ちゃんに気づかれないように様子を見に行ったらいいよ。会員制で一見じゃ入れないから、オレが店には話を通しといてやる。〕
唯一覚えていた汐見の言葉を思い出しながら俺は名刺を握り締めた。
夜になって、娘のみのり(5歳)を寝かしつけると家を出た。その店スクエア (square)へ行くとママと思われる人が応対してくれる。既に汐見から話を聞いているらしくフロアの一角に俺を案内してくれた。それから俺はキョロキョロしながら妻の愛美を探す。
「マナミさんは真面目でウブな所が良いって、お客さんにかなり人気あるのよ。」
俺はママと思われる人が視線を向ける先を目で追った。
そこに妻の愛美が居た。男二人に挟まれて座り、細い肩紐だけのワンピース姿で剥き出しの肩を抱かれている。右側に座る男の手が愛美のスカートの中に入る度に、愛想笑いを浮かべながら、さり気なく手を押し戻して必死にがんばっていた。
俺は見ていられなくなって視線を逸(そ)らせる。何気なく隣のテーブルを見てみると思わず目を見張った。隣のテーブルでは20代前半と思われる若い女性が胸を半分出したような服を着て、男に首筋を吸われていたのだ。
2015/10/18
プライドでは飯は食えない家族も守れない。俺(鶴見章吾38歳)は思いきって学生時代の友人に連絡をすることにした。それが汐見義一(しおみ・よしかず)です。汐見は親から事業を引き継ぎ不動産や貸しビルなど手広くやっている。俺は忙しそうな彼に連絡をしたら予想に反してあっさりアポイントが取れた。
俺が約束の時間に会社に訪ねていくと、女性秘書が出てきて急な用事で汐見は外出したと封筒を差し出してくる。受け取った封筒の中身は会社案内で、メモが同封してあり、〔その会社を応募してみてください。〕ということだった。
会社案内を読むと上場こそしていないが今流行のエコ関連ビジネスで財務内容もしっかりしている。俺は汐見に感謝しながらその会社にすぐに連絡の電話をすると社長(江草将司)が直接面接してくれるという話になって、翌日面接に行った。
江草社長は45歳だと言っていたが年齢よりも若く見える男だった。簡単な自己紹介からOA機器メーカーでの営業実績や苦労話などを語ると頷きながら真剣に聞いてくれる。そして帰り際に〚年収は前職と同じで前向きに話を進める。〛と採用を匂わされた。
会社を出てすぐに俺はお礼を言いたくて汐見に連絡をした。「忙しいだろうからいいよ。」と断ったが汐見が是非会いたいというので会社にお邪魔する。久々に会う汐見は学生時代と変わりない不敵な笑みを浮かべていた
〔仕事が決まりそうで良かったな。〕
「汐見のおかげだよ、ありがとう。本当にありがとう。」俺は頭を下げた。
〔いや、そんなこといいよ。それより愛美(めぐみ)ちゃんに夜の仕事は辞めさせてやれよ。〕
“え?!”これを聞いた瞬間に俺は頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けた
「な、なんで知って・・。」
〔当然だろ。愛美ちゃんに店を紹介したの、オレなんだから。〕
「え?それ、本当なのか?」
〔本当だよ。いくら仕事を探しても、まともな店は年齢を言っただけで門前払いされると相談されてね。昔のよしみで紹介をしたんだ。〕
その後、汐見と何をどう話したか覚えていない。そして俺はただ1枚の名刺が掌に握られていた。それは妻の愛美(めぐみ:33歳)から聞いていた店の名前です。名刺の源氏名も愛美のままだった(ただ、ふりがなはマナミ)。
〔一度、愛美ちゃんに気づかれないように様子を見に行ったらいいよ。会員制で一見じゃ入れないから、オレが店には話を通しといてやる。〕
唯一覚えていた汐見の言葉を思い出しながら俺は名刺を握り締めた。
夜になって、娘のみのり(5歳)を寝かしつけると家を出た。その店スクエア (square)へ行くとママと思われる人が応対してくれる。既に汐見から話を聞いているらしくフロアの一角に俺を案内してくれた。それから俺はキョロキョロしながら妻の愛美を探す。
「マナミさんは真面目でウブな所が良いって、お客さんにかなり人気あるのよ。」
俺はママと思われる人が視線を向ける先を目で追った。
そこに妻の愛美が居た。男二人に挟まれて座り、細い肩紐だけのワンピース姿で剥き出しの肩を抱かれている。右側に座る男の手が愛美のスカートの中に入る度に、愛想笑いを浮かべながら、さり気なく手を押し戻して必死にがんばっていた。
俺は見ていられなくなって視線を逸(そ)らせる。何気なく隣のテーブルを見てみると思わず目を見張った。隣のテーブルでは20代前半と思われる若い女性が胸を半分出したような服を着て、男に首筋を吸われていたのだ。
2015/10/18
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