名I〖愛する人〗第2節4章第4話 [秋20]36
名I〖愛する人〗第2節4章第4話 [秋20]36
[秋19]35
『そうよ・・・佐々木さんと三上さんのどこでも好きなところ・・・。』
〚・・・、あっ・・で、でも・・1秒!・・とかですよね?〛
『うーん、そうね・・・じゃあ・・1分・・でどう?』
《い・・1分!だと?・・10秒の間違いじゃないのか? そんなに長く好きなところをこいつらに触らせるつもりか?》
〚・・・・・・・・・・・〛
佐々木和也(ささき・かずや:36歳)が言葉を失う。それは多分、僕(寺川匠真:てらかわ・たくま:36歳)と同じ驚きのはずだ。
『あれっ? 短い?・・・、じゃあ・・2分!』
って妻(寺川絵里:てらかわ・えり:34歳=今日だけ山岸エリ)が頬杖の片手を外してⅤサインのように2本の指を立てる。
《ア・・アホか?・・・時間を延ばしてどうする?》
〚オ、オッケーです。〛
と佐々木の声が1ランク高くなる。
『フフッ・・・でも・・・もちろん服の上からよ・・・それでもいい?』
〚オッケー、それで、オッケーです。〛
と佐々木が速攻で答えた。これ以上のやりとりは、絵里の気が変わるか、僕からの邪魔でも入ると思ったのだろうか?
僕がここで、はっ、と我に帰り「ちょ・・それ・・・。」と、何か言いだそうとすると、妻が目を細めながら僕を制してこう言った。『もちろん、オッケーよね・・・たくま君は・・。』絵里のその目を見て僕は、確信した。《全ては・・・今朝のサプライズに対する妻から僕への仕返し・・リベンジだ》と。
そして、昼食も終わり、後半のハーフが始まった。
《まあ・・・あのハンデなら、まず、あいつらに勝ち目は、ないさ・・・》
と僕は、後半のハーフ(全18ホールの内の9ホール)のスタートホールのティグラウンドに立って、心を落ち着かせて自分に言い聞かせる。
ちょうど前の組がティーショットをうち終えてカートが走り出した。天気は良いままでこのまま持ちそうだ。午後になって少し風が出てきたが、心地よい感じである。僕がこのホールのオナー(ティショットを最初に打つ人)だったので、ティアップをして身体をほぐしながら前の組を眺めていると、背後で妻達の楽しそうな声がしてきた。
振り返ると一段上がったバックティーで妻がドライバーを構えてアドレスのポーズをとっている。三上浩二(みかみ・こうじ:35歳)は妻の正面に立ち、佐々木が絵里の背後に立っていた。どうもレクチャーを受けているようである。
そのまま妻達をみていると、三上が自分のドライバーのグリップ側(手で持つ側)を絵里の顔の横に当てて、頭が動かないように説明しているようだ。次に佐々木が妻の後ろにしゃがんで自分のドライバーのグリップ側を絵里の開かれた脚の両膝の内側に交互に当てて、〚スタンス(立ち幅)を広く。〛と説明している。《佐々木のやつ・・・下から妻のお尻を覗いてやがる・・・それに変なアドバイスして、絵里の奇跡の好調スイングを崩す気か・・・マナー違反だぞ、まったく・・そんなに勝ちたいのか?》と思ったが、今更注意しても、もう手遅れだろうと諦めてそのまま見ていた。 [秋21]37に続く
2017/03/17
[秋19]35
『そうよ・・・佐々木さんと三上さんのどこでも好きなところ・・・。』
〚・・・、あっ・・で、でも・・1秒!・・とかですよね?〛
『うーん、そうね・・・じゃあ・・1分・・でどう?』
《い・・1分!だと?・・10秒の間違いじゃないのか? そんなに長く好きなところをこいつらに触らせるつもりか?》
〚・・・・・・・・・・・〛
佐々木和也(ささき・かずや:36歳)が言葉を失う。それは多分、僕(寺川匠真:てらかわ・たくま:36歳)と同じ驚きのはずだ。
『あれっ? 短い?・・・、じゃあ・・2分!』
って妻(寺川絵里:てらかわ・えり:34歳=今日だけ山岸エリ)が頬杖の片手を外してⅤサインのように2本の指を立てる。
《ア・・アホか?・・・時間を延ばしてどうする?》
〚オ、オッケーです。〛
と佐々木の声が1ランク高くなる。
『フフッ・・・でも・・・もちろん服の上からよ・・・それでもいい?』
〚オッケー、それで、オッケーです。〛
と佐々木が速攻で答えた。これ以上のやりとりは、絵里の気が変わるか、僕からの邪魔でも入ると思ったのだろうか?
僕がここで、はっ、と我に帰り「ちょ・・それ・・・。」と、何か言いだそうとすると、妻が目を細めながら僕を制してこう言った。『もちろん、オッケーよね・・・たくま君は・・。』絵里のその目を見て僕は、確信した。《全ては・・・今朝のサプライズに対する妻から僕への仕返し・・リベンジだ》と。
そして、昼食も終わり、後半のハーフが始まった。
《まあ・・・あのハンデなら、まず、あいつらに勝ち目は、ないさ・・・》
と僕は、後半のハーフ(全18ホールの内の9ホール)のスタートホールのティグラウンドに立って、心を落ち着かせて自分に言い聞かせる。
ちょうど前の組がティーショットをうち終えてカートが走り出した。天気は良いままでこのまま持ちそうだ。午後になって少し風が出てきたが、心地よい感じである。僕がこのホールのオナー(ティショットを最初に打つ人)だったので、ティアップをして身体をほぐしながら前の組を眺めていると、背後で妻達の楽しそうな声がしてきた。
振り返ると一段上がったバックティーで妻がドライバーを構えてアドレスのポーズをとっている。三上浩二(みかみ・こうじ:35歳)は妻の正面に立ち、佐々木が絵里の背後に立っていた。どうもレクチャーを受けているようである。
そのまま妻達をみていると、三上が自分のドライバーのグリップ側(手で持つ側)を絵里の顔の横に当てて、頭が動かないように説明しているようだ。次に佐々木が妻の後ろにしゃがんで自分のドライバーのグリップ側を絵里の開かれた脚の両膝の内側に交互に当てて、〚スタンス(立ち幅)を広く。〛と説明している。《佐々木のやつ・・・下から妻のお尻を覗いてやがる・・・それに変なアドバイスして、絵里の奇跡の好調スイングを崩す気か・・・マナー違反だぞ、まったく・・そんなに勝ちたいのか?》と思ったが、今更注意しても、もう手遅れだろうと諦めてそのまま見ていた。 [秋21]37に続く
2017/03/17
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