中K〖歩美と剛司 第33話〗
中K〖歩美と剛司 第33話〗
第32話 2018/01/03
翌日、僕(遥人:はると:27歳)は歩美(あゆみ:24歳)とセックスをする。もはや言い訳だが、ただでさえ何日も射精していない事に加え、歩美の裸が魅力的過ぎて、如何に仕事が充実して欲求が満たされた状態とはいえ、挿入するとやはり五分も持たなかった。
歩美は相変わらず優しく僕を下から抱きしめてくれ、耳元で『凄く良かった・・・。』、『愛してる。』等を呟いてくれた。しかし、この週はこの一度きりである。そして日曜夜には東北行きの新幹線の中だった。
頭の中では歩美の事ではなく、仕事の事ばかり考えるようになっている。それは決して彼女に対しての愛情が薄れた、という事ではなく、仕事に対する自分の姿勢の変化から来るものだと思った。これから会社を支える世代になっていくという事はこういう事なのだと思っていたし、それが正常な男の進化だと思っている。
剛司(たけし:27歳)の方はというと相変わらずで、僕が出掛けた日曜の夜から歩美の部屋に行っていた。当初ふざけて言っていた半同棲生活と言っても差し支えない状態にあったのかもしれないが、それでも僕は仕事の事で頭が一杯で、危機感みたいなものはあまり感じていないのである。
そして四月も半ばの夕方、剛司から携帯に連絡があった。僕の会社の前に来ているから30分でいいから時間をくれと。忙しかったので夜にしてくれと言ったら、なら来るまでそこで待っていると言う。よほど大事な話でもあるのかと訝しげに思った僕は、社の応接室を取ってから剛司に上に上がって来るように連絡をした。
応接室にお茶を出しに来た事務員が出て行って二人きりになると、剛司は大きく溜息をついてからゆっくりと話し始める。〔歩美ちゃんの事なんだけど、今のこの状態、よくないと思うんだ、お互いに・・。〕そんなこと僕は剛司に言われなくてもよく分かっていたつもりだった。歩美の事をあまりに剛司に頼り過ぎていたと思うし、この三人の関係は冷静に考えれば誰が見ても不健全だったし。《ただ今更。》という気持ちもこの時あったのも事実。
〔遥人はおれに、歩美ちゃんを堕とせるものなら落としてみろよ、とか調教してもいいよ、みたいに言うけど、本当はそんな事思ってないだろ?〕剛司のこの言葉にほんの少し不快感を覚えた。本気になればもう簡単に堕とせるぞ、みたいな上から目線というか。お節介かよ、とも思ったのである。
「大丈夫だよ。歩美は堕ちないし、自信あるよ僕は(笑)。」と、明るく答えても剛司の表情は和らがない。少しの沈黙の後、剛司は鞄から封筒を取り出した。〔おれさ、遥人も歩美ちゃんも大好きなんだ。これからも一生仲良く付き合いたいと思っているんだよ。〕A4サイズが半分に折りたたまれた封筒をテーブルに置くと、剛司は硬い表情を崩さないまま続けた。 第34話へ続く
2018/12/16
第32話 2018/01/03
翌日、僕(遥人:はると:27歳)は歩美(あゆみ:24歳)とセックスをする。もはや言い訳だが、ただでさえ何日も射精していない事に加え、歩美の裸が魅力的過ぎて、如何に仕事が充実して欲求が満たされた状態とはいえ、挿入するとやはり五分も持たなかった。
歩美は相変わらず優しく僕を下から抱きしめてくれ、耳元で『凄く良かった・・・。』、『愛してる。』等を呟いてくれた。しかし、この週はこの一度きりである。そして日曜夜には東北行きの新幹線の中だった。
頭の中では歩美の事ではなく、仕事の事ばかり考えるようになっている。それは決して彼女に対しての愛情が薄れた、という事ではなく、仕事に対する自分の姿勢の変化から来るものだと思った。これから会社を支える世代になっていくという事はこういう事なのだと思っていたし、それが正常な男の進化だと思っている。
剛司(たけし:27歳)の方はというと相変わらずで、僕が出掛けた日曜の夜から歩美の部屋に行っていた。当初ふざけて言っていた半同棲生活と言っても差し支えない状態にあったのかもしれないが、それでも僕は仕事の事で頭が一杯で、危機感みたいなものはあまり感じていないのである。
そして四月も半ばの夕方、剛司から携帯に連絡があった。僕の会社の前に来ているから30分でいいから時間をくれと。忙しかったので夜にしてくれと言ったら、なら来るまでそこで待っていると言う。よほど大事な話でもあるのかと訝しげに思った僕は、社の応接室を取ってから剛司に上に上がって来るように連絡をした。
応接室にお茶を出しに来た事務員が出て行って二人きりになると、剛司は大きく溜息をついてからゆっくりと話し始める。〔歩美ちゃんの事なんだけど、今のこの状態、よくないと思うんだ、お互いに・・。〕そんなこと僕は剛司に言われなくてもよく分かっていたつもりだった。歩美の事をあまりに剛司に頼り過ぎていたと思うし、この三人の関係は冷静に考えれば誰が見ても不健全だったし。《ただ今更。》という気持ちもこの時あったのも事実。
〔遥人はおれに、歩美ちゃんを堕とせるものなら落としてみろよ、とか調教してもいいよ、みたいに言うけど、本当はそんな事思ってないだろ?〕剛司のこの言葉にほんの少し不快感を覚えた。本気になればもう簡単に堕とせるぞ、みたいな上から目線というか。お節介かよ、とも思ったのである。
「大丈夫だよ。歩美は堕ちないし、自信あるよ僕は(笑)。」と、明るく答えても剛司の表情は和らがない。少しの沈黙の後、剛司は鞄から封筒を取り出した。〔おれさ、遥人も歩美ちゃんも大好きなんだ。これからも一生仲良く付き合いたいと思っているんだよ。〕A4サイズが半分に折りたたまれた封筒をテーブルに置くと、剛司は硬い表情を崩さないまま続けた。 第34話へ続く
2018/12/16
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