短18『香織(かおり)と僕』2話
短18『香織(かおり)と僕』2話
僕は気づくと自分の部屋で寝ていた。腕時計を見ると午後11時を回っていた。まだ、酔いが抜けずに頭がグラグラしていた。そばで同僚たちが麻雀をしていた。〚おー復活したか!〛〚お前もやるか?〛と声をかけられたが、僕は断った。
暫く布団の上で、ぼーっとしていると、ふいに僕は香織の事を思い出した。同僚に「香織たちはもう寝たのかな?」と訊くと、〚ん、香織?そういえば途中で気持ちが悪くなったとか聞いたぜ。〛〚めずらしく飲んでいたからな。〛と返ってくる。
「あいつ、酒飲んでたの?」って僕は一瞬ドキリとした。でもその後、《旅先だし、普段、あまり会うことのない課の女子事務員がいるから、付き合いでちょっと飲んだんだろう。》と考えた。だが一応心配になった僕は、香織の部屋へ向かった。《うちは女子事務員が少ないので、彼女たちは一人部屋を与えられていた。》
部屋に着くと、鍵がかけられていた。《やっぱり寝ているのか・・・。》と思った。だがこの時、ちょっとムラムラしていた僕は、「起こしてやっちゃおうかな。」と思い、しばらくノックを続けてみる。すると、隣の部屋のドアがガチャリと開いた。そこにいたのは水本課長だった。
〔何時だと思ってんだ?早く寝ろ!〕と怒られる。そして〔もう香織君は寝ているんだろう。も1度言うがお前も寝ろ。〕と言われた。さすがにバツが悪かった僕は、謝ったあと部屋に戻り、やる事もないのでそのまま寝た。
もし、水本課長が香織にセクハラをしていると知っていたならば、無理やりにでも課長の部屋に入っただろう。だがこの時はそんな事思いもよらなかった。《課長だから一人部屋なのもおかしくないし、それが香織の部屋の隣だとしてもたまたまだろう。》と思った。この時の僕は、まさかその部屋に、香織がいたとは夢にも思わなかったのだ。
次の日から香織の様子がおかしかった。僕が話しかけても生返事だし、すぐに他の事務員のところに行ってしまう。なんかよそよそしかった。それでもこの時は、《昨日ロクに相手もしなかったしすねているのかな?》程度にしか思っていなかった。
だが、旅行が終わったあとも香織の態度は続いていた。それは、よそよそしいというか、ハッキリ言えば避けられている様な感じだった。食事に誘っても断られ、仕事以外の事は一切話さない。そんな状態が一週間も続く。さすがにおかしいと思った僕は、「最近様子が変だぞ?今日の夜、香織の部屋に行くから!」と、半ば強引に約束をした。しばらくの間があった後「・・・分かった」と香織が返事をした。
夜、僕は取引先から自分の家に直帰し、支度をして香織の部屋に向かった。午後9時頃に着くと、香織の部屋は灯りが点いていた。チャイムを押すと、すぐに香織が出てきたが、やはり様子が変だった。とりあえず部屋に入ると、僕は単刀直入に聞いた。
「・・・あのさ、なんかあった?」
すると、思いがけない事を言われた。
『・・・わ、私を、振ってください。』
そして香織はペタンと座って泣き出す。まったく意味が分からなかった僕は、
「なに言ってんだよ?全然意味がわからねーよ。」
と問い返す僕に、香織はこう言った。
『私、あなたの彼女の資格がない。別れてください。『
そのあと香織は泣きじゃくるだけだった。
2015/02/08
僕は気づくと自分の部屋で寝ていた。腕時計を見ると午後11時を回っていた。まだ、酔いが抜けずに頭がグラグラしていた。そばで同僚たちが麻雀をしていた。〚おー復活したか!〛〚お前もやるか?〛と声をかけられたが、僕は断った。
暫く布団の上で、ぼーっとしていると、ふいに僕は香織の事を思い出した。同僚に「香織たちはもう寝たのかな?」と訊くと、〚ん、香織?そういえば途中で気持ちが悪くなったとか聞いたぜ。〛〚めずらしく飲んでいたからな。〛と返ってくる。
「あいつ、酒飲んでたの?」って僕は一瞬ドキリとした。でもその後、《旅先だし、普段、あまり会うことのない課の女子事務員がいるから、付き合いでちょっと飲んだんだろう。》と考えた。だが一応心配になった僕は、香織の部屋へ向かった。《うちは女子事務員が少ないので、彼女たちは一人部屋を与えられていた。》
部屋に着くと、鍵がかけられていた。《やっぱり寝ているのか・・・。》と思った。だがこの時、ちょっとムラムラしていた僕は、「起こしてやっちゃおうかな。」と思い、しばらくノックを続けてみる。すると、隣の部屋のドアがガチャリと開いた。そこにいたのは水本課長だった。
〔何時だと思ってんだ?早く寝ろ!〕と怒られる。そして〔もう香織君は寝ているんだろう。も1度言うがお前も寝ろ。〕と言われた。さすがにバツが悪かった僕は、謝ったあと部屋に戻り、やる事もないのでそのまま寝た。
もし、水本課長が香織にセクハラをしていると知っていたならば、無理やりにでも課長の部屋に入っただろう。だがこの時はそんな事思いもよらなかった。《課長だから一人部屋なのもおかしくないし、それが香織の部屋の隣だとしてもたまたまだろう。》と思った。この時の僕は、まさかその部屋に、香織がいたとは夢にも思わなかったのだ。
次の日から香織の様子がおかしかった。僕が話しかけても生返事だし、すぐに他の事務員のところに行ってしまう。なんかよそよそしかった。それでもこの時は、《昨日ロクに相手もしなかったしすねているのかな?》程度にしか思っていなかった。
だが、旅行が終わったあとも香織の態度は続いていた。それは、よそよそしいというか、ハッキリ言えば避けられている様な感じだった。食事に誘っても断られ、仕事以外の事は一切話さない。そんな状態が一週間も続く。さすがにおかしいと思った僕は、「最近様子が変だぞ?今日の夜、香織の部屋に行くから!」と、半ば強引に約束をした。しばらくの間があった後「・・・分かった」と香織が返事をした。
夜、僕は取引先から自分の家に直帰し、支度をして香織の部屋に向かった。午後9時頃に着くと、香織の部屋は灯りが点いていた。チャイムを押すと、すぐに香織が出てきたが、やはり様子が変だった。とりあえず部屋に入ると、僕は単刀直入に聞いた。
「・・・あのさ、なんかあった?」
すると、思いがけない事を言われた。
『・・・わ、私を、振ってください。』
そして香織はペタンと座って泣き出す。まったく意味が分からなかった僕は、
「なに言ってんだよ?全然意味がわからねーよ。」
と問い返す僕に、香織はこう言った。
『私、あなたの彼女の資格がない。別れてください。『
そのあと香織は泣きじゃくるだけだった。
2015/02/08
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