名F【どうなるの?】その9
名F【どうなるの?】その9
そんな日々が続いていた、ある休日のことでした。妻の美穂は買い物に出かけていて、私はひとり家にいて、退屈紛れにインターネットでアダルトサイトを見ていました。素人が自身もしくは恋人の画像を投稿するサイトです。
こうしたサイトを見ていると、世の中には色々な男女がいると思わずにはいられません。投稿画像には夫が妻の裸身やプレイ中の姿などを撮ったものも多くあって、他人の性生活を覗き見る背徳的な楽しみを与えてくれます。素人が撮ったものらしく、妙に生々しい雰囲気がかえって興奮を誘います。
ある男性が撮った彼の妻の画像(顔を両手で隠しながら、細い裸身を晒し、カメラに向かって恥ずかしそうに股を開いている。)を見ながら、私はモザイク入りのその女性の顔にいつしか妻の顔を重ねていました。
その妄想は私を激しく昂ぶらせました。恥ずかしがる妻の美穂に向かってカメラを向けながら、「もっと股を大きく開け!」と命じる・・・。しかし不可解なことに妄想の中でカメラを構え、そう美穂に命じているのは、私ではなく宮森なのでした。
ふと私は思い出して、机の引き出しから、以前宮森にもらったDVDを取り出してパソコンに入れました。宮森が監督を務め、愛梨がモデルとして出ているという例のやつです。しばらくの間、私はそのDVDに見入りました。
映像の中で愛梨はまだ若い男優に絡みつき、甘え、悶えます。短い時間とはいえ、自分が直接会って話した女性のセックスシーンを見るのは初めてで、そのことも興奮を誘ったのですが、より刺激的だったのは、この映像を監督しているのが、彼女の愛人である宮森だという事実でした。
実際のところ、宮森が愛梨をどう想っているかは謎ですが、彼女が宮森を見る目は間違いなく愛人の目でした。その女が愛する男の前で、あられもない痴態を晒しては、淫らな声をあげているのです。時折、愛梨の視線が相手の男優を離れ、あらぬところを見ているとき、私はその先に宮森がいることを想像しました。
DVDが終わりました。私はぞわぞわと背筋を撫であげる何かを感じながら、しばらく呆然とソファに横たわっていました。そして私は立ち上がりました。美穂が帰ってくる前に宮森に電話をかけるためです。
私と妻の美穂が休暇を利用して岐阜の温泉郷へ出かけたのは、その年の八月半ばのことでした。美穂と旅行へ行くのは新婚のとき以来です。喧騒の街大阪を離れ、仕事も忘れて四日間ゆっくりと静かな山里で過ごすという計画に、妻も喜んでいるようでした。大阪難波駅から近鉄特急で二時間かけて名古屋駅へ到着し、それからJR特急で岐阜を経て高山駅です。天気は快晴で、抜けるような青空には何の翳りもありません。
美穂の表情も珍しく晴れ晴れとしていました。私はその顔を見て、今更に胸が痛むのを感じます。高山の駅で降りて、城山公園を巡り高山城跡を見てから、また市街地へ戻った時のことでした。
〔おい、中津川じゃないか。〕
すれ違いかけた男が声をかけてきました。宮森です。隣には愛梨がいて、これもびっくりしたように私を見つめています。
「どうしてお前がここに?」
〔それはこっちが聞きたいくらいだ。〕
宮森が美穂へ視線を向けました。同様に驚いた顔をしていた妻の美穂が、その瞬間恥ずかしそうに目を伏せます。それを見て宮森が苦笑を滲ませた表情を私に向けました。私は軽くうなずきました。
2015/03/13
そんな日々が続いていた、ある休日のことでした。妻の美穂は買い物に出かけていて、私はひとり家にいて、退屈紛れにインターネットでアダルトサイトを見ていました。素人が自身もしくは恋人の画像を投稿するサイトです。
こうしたサイトを見ていると、世の中には色々な男女がいると思わずにはいられません。投稿画像には夫が妻の裸身やプレイ中の姿などを撮ったものも多くあって、他人の性生活を覗き見る背徳的な楽しみを与えてくれます。素人が撮ったものらしく、妙に生々しい雰囲気がかえって興奮を誘います。
ある男性が撮った彼の妻の画像(顔を両手で隠しながら、細い裸身を晒し、カメラに向かって恥ずかしそうに股を開いている。)を見ながら、私はモザイク入りのその女性の顔にいつしか妻の顔を重ねていました。
その妄想は私を激しく昂ぶらせました。恥ずかしがる妻の美穂に向かってカメラを向けながら、「もっと股を大きく開け!」と命じる・・・。しかし不可解なことに妄想の中でカメラを構え、そう美穂に命じているのは、私ではなく宮森なのでした。
ふと私は思い出して、机の引き出しから、以前宮森にもらったDVDを取り出してパソコンに入れました。宮森が監督を務め、愛梨がモデルとして出ているという例のやつです。しばらくの間、私はそのDVDに見入りました。
映像の中で愛梨はまだ若い男優に絡みつき、甘え、悶えます。短い時間とはいえ、自分が直接会って話した女性のセックスシーンを見るのは初めてで、そのことも興奮を誘ったのですが、より刺激的だったのは、この映像を監督しているのが、彼女の愛人である宮森だという事実でした。
実際のところ、宮森が愛梨をどう想っているかは謎ですが、彼女が宮森を見る目は間違いなく愛人の目でした。その女が愛する男の前で、あられもない痴態を晒しては、淫らな声をあげているのです。時折、愛梨の視線が相手の男優を離れ、あらぬところを見ているとき、私はその先に宮森がいることを想像しました。
DVDが終わりました。私はぞわぞわと背筋を撫であげる何かを感じながら、しばらく呆然とソファに横たわっていました。そして私は立ち上がりました。美穂が帰ってくる前に宮森に電話をかけるためです。
私と妻の美穂が休暇を利用して岐阜の温泉郷へ出かけたのは、その年の八月半ばのことでした。美穂と旅行へ行くのは新婚のとき以来です。喧騒の街大阪を離れ、仕事も忘れて四日間ゆっくりと静かな山里で過ごすという計画に、妻も喜んでいるようでした。大阪難波駅から近鉄特急で二時間かけて名古屋駅へ到着し、それからJR特急で岐阜を経て高山駅です。天気は快晴で、抜けるような青空には何の翳りもありません。
美穂の表情も珍しく晴れ晴れとしていました。私はその顔を見て、今更に胸が痛むのを感じます。高山の駅で降りて、城山公園を巡り高山城跡を見てから、また市街地へ戻った時のことでした。
〔おい、中津川じゃないか。〕
すれ違いかけた男が声をかけてきました。宮森です。隣には愛梨がいて、これもびっくりしたように私を見つめています。
「どうしてお前がここに?」
〔それはこっちが聞きたいくらいだ。〕
宮森が美穂へ視線を向けました。同様に驚いた顔をしていた妻の美穂が、その瞬間恥ずかしそうに目を伏せます。それを見て宮森が苦笑を滲ませた表情を私に向けました。私は軽くうなずきました。
2015/03/13
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