短18『香織(かおり)と僕』7話 完結
短18『香織(かおり)と僕』7話 完結
《2話より・・・旅行が終わったあとも香織の態度は続いていた。それは、よそよそしいというか、ハッキリ言えば避けられている様な感じだった。食事に誘っても断られ、仕事以外の事は一切話さない。そんな状態が一週間も続く。さすがにおかしいと思った僕は、「最近様子が変だぞ?今日の夜、香織の部屋に行くから!」と、半ば強引に約束をした。しばらくの間があった後「・・・分かった」と香織が返事をした。
午後9時頃に着くと、香織の部屋は灯りが点いていた。チャイムを押すと、すぐに香織が出てきたが、やはり様子が変だった。僕は単刀直入に聞いた。
「・・・あのさ、なんかあった?」
『・・・わ、私を、振ってください。』
「なに言ってんだよ?全然意味がわからねーよ。」
と問い返す僕に、香織はこう言った。
『私、あなたの彼女の資格がない。別れてください。」
そのあと香織は泣きじゃくるだけだった。 ・・・》
『・・・そして、今に至ります。』と、香織は締めくくった。また泣き出すのかと思ったが、全部話をして楽になったのか、意外と普通の顔をしていた。僕はまず最初に、「・・(妊娠)検査・・しないとな。」告げると、香織が『・・昨日(生理)来たから、大丈夫・・。』と答えた。
これでちょっと安心した僕は、「すごいショックだったけど、でも、よく話してくれたね。」と言った。『わたし、すごいバカです。』と俯く香織を僕は抱きしめて訊いた。「もう、二度とこんなことないだろな?」香織が『絶対にしない!』顔を上げて僕に言った。
僕はそれでもう、《今回は終わりにしよう》と思った。「だったらこの件は、お互い全部忘れる事。いい?」香織は返事の代わりにまた泣き出す。僕は彼女の髪をなでながら、大事な事を思い出し、「あと・・おまえ、絶対禁酒な。」って付け加えた。
僕は週明けの会社終わりに、「ちょっと話があります。」と、水本をスナックに呼び出した。(香織は会社を休ませた)そして、「香織から全部話を聞きました。」と告げた。それを聞いて、冷静な水本が、かなり動揺をしていた。あの夜の事を、香織が僕に言うはずがないと思っていたのだろう。〔・・すまん。どうかしていたのだ。許してほしい。〕と水本は素直に認めた。
僕はあらかじめ用意をしていた言葉を口にする。「確かに話を聞いて、はらわたが煮えくり返った。もちろん怒りは今も収まっていない。だが、たとえ酔っていたとはいえ、香織にも多少なりとも非がある。香織は今回の件を非常に後悔している。そして、僕はそれを許そうとしているので、課長も今回の件は一切忘れてほしい。」事を一気に話した。
〔もちろんだ。本当にすまなかった。〕と水本は平謝りだった。それで、ちょっとほっとしたような表情になる。僕はそのまま続けて、「で、これは僕個人の疑問なのですが、答えてくれますか?」水本は頷いた。「なぜ避妊しなかったのですか?」と問うと、途端に言葉に詰まる水本。《答えなんて決まっている。ただ、自分の欲望のはけ口として、香織の体を使っただけなのだから。》
「妊娠したら、傷つくのは誰ですかね?香織ですよね?」と問い詰める。水本は〔本当にすまなかった。〕とうつむいた。僕は「それが一番許せないんだ!」と叫び、水本の顔に向かって、グラスに入ったウィスキーの水割りをぶっかけた。
店内にいた人間が一斉にこちらを見たが僕は全然気にならなかった。水本も、うつむいたままだまっていた。「もし今後、少しでも香織に近づいてみろ。殺すからな!」そう言って僕は店を後にした。水本は結局黙ったままだった。
そして2年後の現在。結果から言うと、香織も水本も、もう僕の会社には居ない。水本はこの半年後、体調を崩して入院してしまったのだ。実は肝臓を悪くしていたらしい。水本は退院後、本社の業務に耐えられないと会社に判断され、療養もかねて地方の支店に異動していった。それ以後は彼には会っていない。
香織の方は、1年ほど前に会社を退社していた。今は何をしているかというと、もちろん僕の奥さんをしている。子供はまだだけど、結構仲良くやっています。それで、たまにだが、旅行の夜の事をネタにして夜の生活を営んでいる。 完
2015/05/31
《2話より・・・旅行が終わったあとも香織の態度は続いていた。それは、よそよそしいというか、ハッキリ言えば避けられている様な感じだった。食事に誘っても断られ、仕事以外の事は一切話さない。そんな状態が一週間も続く。さすがにおかしいと思った僕は、「最近様子が変だぞ?今日の夜、香織の部屋に行くから!」と、半ば強引に約束をした。しばらくの間があった後「・・・分かった」と香織が返事をした。
午後9時頃に着くと、香織の部屋は灯りが点いていた。チャイムを押すと、すぐに香織が出てきたが、やはり様子が変だった。僕は単刀直入に聞いた。
「・・・あのさ、なんかあった?」
『・・・わ、私を、振ってください。』
「なに言ってんだよ?全然意味がわからねーよ。」
と問い返す僕に、香織はこう言った。
『私、あなたの彼女の資格がない。別れてください。」
そのあと香織は泣きじゃくるだけだった。 ・・・》
『・・・そして、今に至ります。』と、香織は締めくくった。また泣き出すのかと思ったが、全部話をして楽になったのか、意外と普通の顔をしていた。僕はまず最初に、「・・(妊娠)検査・・しないとな。」告げると、香織が『・・昨日(生理)来たから、大丈夫・・。』と答えた。
これでちょっと安心した僕は、「すごいショックだったけど、でも、よく話してくれたね。」と言った。『わたし、すごいバカです。』と俯く香織を僕は抱きしめて訊いた。「もう、二度とこんなことないだろな?」香織が『絶対にしない!』顔を上げて僕に言った。
僕はそれでもう、《今回は終わりにしよう》と思った。「だったらこの件は、お互い全部忘れる事。いい?」香織は返事の代わりにまた泣き出す。僕は彼女の髪をなでながら、大事な事を思い出し、「あと・・おまえ、絶対禁酒な。」って付け加えた。
僕は週明けの会社終わりに、「ちょっと話があります。」と、水本をスナックに呼び出した。(香織は会社を休ませた)そして、「香織から全部話を聞きました。」と告げた。それを聞いて、冷静な水本が、かなり動揺をしていた。あの夜の事を、香織が僕に言うはずがないと思っていたのだろう。〔・・すまん。どうかしていたのだ。許してほしい。〕と水本は素直に認めた。
僕はあらかじめ用意をしていた言葉を口にする。「確かに話を聞いて、はらわたが煮えくり返った。もちろん怒りは今も収まっていない。だが、たとえ酔っていたとはいえ、香織にも多少なりとも非がある。香織は今回の件を非常に後悔している。そして、僕はそれを許そうとしているので、課長も今回の件は一切忘れてほしい。」事を一気に話した。
〔もちろんだ。本当にすまなかった。〕と水本は平謝りだった。それで、ちょっとほっとしたような表情になる。僕はそのまま続けて、「で、これは僕個人の疑問なのですが、答えてくれますか?」水本は頷いた。「なぜ避妊しなかったのですか?」と問うと、途端に言葉に詰まる水本。《答えなんて決まっている。ただ、自分の欲望のはけ口として、香織の体を使っただけなのだから。》
「妊娠したら、傷つくのは誰ですかね?香織ですよね?」と問い詰める。水本は〔本当にすまなかった。〕とうつむいた。僕は「それが一番許せないんだ!」と叫び、水本の顔に向かって、グラスに入ったウィスキーの水割りをぶっかけた。
店内にいた人間が一斉にこちらを見たが僕は全然気にならなかった。水本も、うつむいたままだまっていた。「もし今後、少しでも香織に近づいてみろ。殺すからな!」そう言って僕は店を後にした。水本は結局黙ったままだった。
そして2年後の現在。結果から言うと、香織も水本も、もう僕の会社には居ない。水本はこの半年後、体調を崩して入院してしまったのだ。実は肝臓を悪くしていたらしい。水本は退院後、本社の業務に耐えられないと会社に判断され、療養もかねて地方の支店に異動していった。それ以後は彼には会っていない。
香織の方は、1年ほど前に会社を退社していた。今は何をしているかというと、もちろん僕の奥さんをしている。子供はまだだけど、結構仲良くやっています。それで、たまにだが、旅行の夜の事をネタにして夜の生活を営んでいる。 完
2015/05/31
- 関連記事
-
- 短32【無防備】第1回 (2015/05/02)
- 短26《交わり》2回 (2015/05/03)
- 短29〖家庭内接待〗パート3 (2015/05/03)
- 短30〖寝取らせて興奮〗その2話 (2015/05/06)
- 短31《何が聞きたいの?》パート2 (2015/05/08)
- 短32【無防備】第2回 (2015/05/24)
- 短32【無防備】第3回 (2015/05/29)
- 短18『香織(かおり)と僕』7話 完結 (2015/05/31)
- 短29〖家庭内接待〗パート4 完結 (2015/06/04)
- 短26《交わり》3回 (2015/06/05)
- 短26《交わり》4回 (2015/06/09)
- 短28〖絵里加の本音〗第4話 (2015/06/20)
- 短21《妻とのリストラ》第5回 (2015/06/20)
- 短28〖絵里加の本音〗第5話 (2015/06/28)
- 短28〖絵里加の本音〗第6話 (2015/07/07)
コメント
コメントの投稿