短Ⅱ12<お願い>第1話
短Ⅱ12<お願い>第1話
(原題:妻のお仕事 桃子社・投稿日:不明)
俺(鶴見章吾38歳)は2カ月前にリストラされて転職活動をしてきたが、箸にも棒にもかからなかった。OA機器の営業を15年もやってきたけど、どうにも潰しがきかない。他業種の営業にもチャレンジをしてみたがやはり畑違いとのことで、門前払い受けることも多々あった。
俺の家族は妻の愛美(めぐみ)と7歳の娘の三人暮らし。妻には失業していることも転職活動をしていることも内緒だった。今夜は妻の得意料理“ロールキャベツのボルシチ”が夕食です。家族みんなで箸をつつきながらいつもの団らんを過ごしていたが、もう限界だった俺は食事中に泣いてしまい、とうとう本当のことを妻に打ち明けてしまった。
でも、愛美は既に察していたというか気付いていた。『ここしばらく銀行口座に入金が無かったから・・。』と話してくれた。そして、妻の愛美は『来週から夜の仕事も探してみるからあなたは、あまり思い詰めないでほしい。』とも言ってくれる。俺自身情けなさ過ぎるのと俺にはもったいないくらい出来た妻を持った幸せのあまり、愛美の膝の上で数時間涙を流したのは1カ月前だった。
妻の愛美は33歳です。年齢は若くないが容姿には自信があったのだと思う。特別慌てた様子も緊張した様子もまったくなく、パートでレジ打ちやっているスーパーから帰宅後、雑誌片手に気楽に電話をし始める。しかし何度か電話を掛けるうちに自信満々だった妻の表情が曇っていくのが分かった、求人情報を探してPCに貼りついている妻の背中を俺はぼんやり眺めることしかできなかった。
そんなことが1週間ほど続いて妻から『ようやく夜の仕事が決まったよ。』と報告を受ける。普通のフロアレディ(夜の飲食店でお客様にアルコールを提供し、会話を楽しむ仕事)だという。《33歳未経験・・・採用されたことは凄いが慣れない仕事をするのは非常に辛いのではないか?》と心配する俺を気遣ってか、『お酒飲んで馬鹿話をしていればお金がもらえる楽な仕事よ。』と強がりを言う妻の愛美がいじらしかった。
その翌日から愛美は16時にスーパーから帰宅するとすぐに夕食の準備をして夜の仕事へ出かけるようになる。俺は、夜の仕事が妻を変えてしまうのではないかと、とても心配だった。しかし、1週間が過ぎ2週間が過ぎても愛美はいつも通りの清楚で凛とした妻です。
ところが、ある晩に俺が目を覚ましてトイレへ行くと、娘の部屋に薄明かりが点いていることを発見する。それで何気なく部屋の中を覗いてみると、そこに妻の愛美が居た。俺は危うく声を出しそうになる。それは妻が娘の手を握りながら泣いていたのだ。
我が家の貯金は底をつき家のローンもある。でも愛美は夜の仕事が辛くても辞められないのだろう。この時俺は1日も早く仕事を探そうと心に誓った。翌日から俺はプライドを捨て親類や友人などに頭を下げ、伝手を頼ることにする。今まで馬鹿にしていたハローワーク(公共職業安定所の愛称)にも行くことにした。
俺は死に物狂いで3週間余り頑張ったが求職活動は全くうまくいかない。そんな俺がもたもたしているうちに、いつも活き活きと自信に満ちていた妻の表情は曇り、空元気だけが目立つようになっていった。
2015/07/04
(原題:妻のお仕事 桃子社・投稿日:不明)
俺(鶴見章吾38歳)は2カ月前にリストラされて転職活動をしてきたが、箸にも棒にもかからなかった。OA機器の営業を15年もやってきたけど、どうにも潰しがきかない。他業種の営業にもチャレンジをしてみたがやはり畑違いとのことで、門前払い受けることも多々あった。
俺の家族は妻の愛美(めぐみ)と7歳の娘の三人暮らし。妻には失業していることも転職活動をしていることも内緒だった。今夜は妻の得意料理“ロールキャベツのボルシチ”が夕食です。家族みんなで箸をつつきながらいつもの団らんを過ごしていたが、もう限界だった俺は食事中に泣いてしまい、とうとう本当のことを妻に打ち明けてしまった。
でも、愛美は既に察していたというか気付いていた。『ここしばらく銀行口座に入金が無かったから・・。』と話してくれた。そして、妻の愛美は『来週から夜の仕事も探してみるからあなたは、あまり思い詰めないでほしい。』とも言ってくれる。俺自身情けなさ過ぎるのと俺にはもったいないくらい出来た妻を持った幸せのあまり、愛美の膝の上で数時間涙を流したのは1カ月前だった。
妻の愛美は33歳です。年齢は若くないが容姿には自信があったのだと思う。特別慌てた様子も緊張した様子もまったくなく、パートでレジ打ちやっているスーパーから帰宅後、雑誌片手に気楽に電話をし始める。しかし何度か電話を掛けるうちに自信満々だった妻の表情が曇っていくのが分かった、求人情報を探してPCに貼りついている妻の背中を俺はぼんやり眺めることしかできなかった。
そんなことが1週間ほど続いて妻から『ようやく夜の仕事が決まったよ。』と報告を受ける。普通のフロアレディ(夜の飲食店でお客様にアルコールを提供し、会話を楽しむ仕事)だという。《33歳未経験・・・採用されたことは凄いが慣れない仕事をするのは非常に辛いのではないか?》と心配する俺を気遣ってか、『お酒飲んで馬鹿話をしていればお金がもらえる楽な仕事よ。』と強がりを言う妻の愛美がいじらしかった。
その翌日から愛美は16時にスーパーから帰宅するとすぐに夕食の準備をして夜の仕事へ出かけるようになる。俺は、夜の仕事が妻を変えてしまうのではないかと、とても心配だった。しかし、1週間が過ぎ2週間が過ぎても愛美はいつも通りの清楚で凛とした妻です。
ところが、ある晩に俺が目を覚ましてトイレへ行くと、娘の部屋に薄明かりが点いていることを発見する。それで何気なく部屋の中を覗いてみると、そこに妻の愛美が居た。俺は危うく声を出しそうになる。それは妻が娘の手を握りながら泣いていたのだ。
我が家の貯金は底をつき家のローンもある。でも愛美は夜の仕事が辛くても辞められないのだろう。この時俺は1日も早く仕事を探そうと心に誓った。翌日から俺はプライドを捨て親類や友人などに頭を下げ、伝手を頼ることにする。今まで馬鹿にしていたハローワーク(公共職業安定所の愛称)にも行くことにした。
俺は死に物狂いで3週間余り頑張ったが求職活動は全くうまくいかない。そんな俺がもたもたしているうちに、いつも活き活きと自信に満ちていた妻の表情は曇り、空元気だけが目立つようになっていった。
2015/07/04
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