「私の愛妻物語」(水着編①-4)
長D「私の愛妻物語」(水着編①-4)
妻の望未(のぞみ)が3着目に着替えている最中、私は店員を女性用水着のコーナーに連れて行き、声を潜(ひそ)めて頼み込みました。「妻にこれをすすめてくれない?」それは望未と一緒に売り場を回りながら、私がめぼしをつけていた水着です。白いビキニで、ブラジャーはひもで結ぶタイプ。これまでの3着とは明らかに布の面積が違います。
彼は一瞬、驚いた表情でしたが、しばらく考え込んだ後、ニヤリと笑って言いました。
〔これ、いいですよねえ。僕も奥さんが着ているとこ見てみたいです。頑張ってみます。〕
こんな客が他にいるのかどうか分かりません。でも、彼はこの時、私の魂胆をようやく見抜いたようでした。
試着室の前に戻り、私が耳に口を寄せて「後は任せたよ。」と言うと、彼はまたニヤリと笑って胸の前で拳を握りしめました。望未がまたカーテンを開けます。3着目はチェック柄で1着目と似たタイプ。無難なデザインでした。望未は開き直ったのか、この状況に慣れたのか、紅潮も収まり落ち着いた様子です。でもイラついた様子がありありです。
『もう終わりよ。早く決めて!』強い口調で私に迫ります。
「うーん…そうだなあ。どれも悪くないけど、決めるとなると結構むずかしいなあ。お前はどれがいい?」
『私はどれでもいいよ。あなたが決めるって約束でしょ!』
「そう言われてもなあ…。あ、そうだ!君はどう思う?」
私はさも今思いついたように、店員に水を向けました。ここから彼が大活躍してくれました。
彼は妻の望未と私の間に割って入ってきて、まずは私に向かって話し始めました。〔正直、どれもお似合いだと思います。だから悩まれる気持ちはよく分かります」私は神妙な顔でうなずきます。
それから彼は望未の方に向きを変え、少し声のトーンを上げて続けました。〔ホント、奥さんはプロポーションが素晴らしいから。何着ても似合うんですよねえ。〕望未は『えー!そんなことないですよー。』褒められて何だかうれしそうです。会話も弾んできました。
〔いやホントですって。お世辞じゃないですよ。こんなに水着がお似合いだなんて、ご主人がうらやましいです。僕の彼女なんて、ちっとも似合わないですからね。失礼ですけど、僕らより少し年上でいらっしゃいますよね?〕セールストークに拍車がかかります。
『《少し》じゃなくて、《ずっと》かな。でも、気を使わなくていいわよ。ここで買うって決めているから。」望未はすっかり機嫌を直した様子。次第に彼のペースに乗せられてきました。
〔3着の中から決めるんですよね。どうでしょうねえ…。確かにどれもお似合いなんですけど…。〕彼は急に考え込んだ(フリをする)と思うと、今までよりゆっくりした口調で望未に向かって語り始めました。〔奥さまみたいな素敵な大人の女性でしたら、もっとお似合いの水着があると思うんですよ。若い女の子には似合わない大人の水着が。いま試着されているような水着は若い子で似合いますが、大人の、しかもきれいな女性にしか似合わない水着もありますから。正直、そんな女性はなかなかいませんけど、奥さまならきっとお似合いだと思うんです。〕
「はっきり、若い子向けの水着は似合わないって言ってもいいんだよ。」
私が冗談っぽく口を挟みましたが、望未の目は真剣です。
『そうねえ…。私もこれはちょっと若すぎるかなあって思っていたの。でも、どんなのがいいのかなあ。私、水着なんてずっと買ってなかったから、流行とか分からなくて…。』
〔それじゃ、ちょっと選んできましょうか?〕
考え込み始めた望未に、彼は軽い口調で告げると、女性用の売り場に消えていきました。
2014/11/17
妻の望未(のぞみ)が3着目に着替えている最中、私は店員を女性用水着のコーナーに連れて行き、声を潜(ひそ)めて頼み込みました。「妻にこれをすすめてくれない?」それは望未と一緒に売り場を回りながら、私がめぼしをつけていた水着です。白いビキニで、ブラジャーはひもで結ぶタイプ。これまでの3着とは明らかに布の面積が違います。
彼は一瞬、驚いた表情でしたが、しばらく考え込んだ後、ニヤリと笑って言いました。
〔これ、いいですよねえ。僕も奥さんが着ているとこ見てみたいです。頑張ってみます。〕
こんな客が他にいるのかどうか分かりません。でも、彼はこの時、私の魂胆をようやく見抜いたようでした。
試着室の前に戻り、私が耳に口を寄せて「後は任せたよ。」と言うと、彼はまたニヤリと笑って胸の前で拳を握りしめました。望未がまたカーテンを開けます。3着目はチェック柄で1着目と似たタイプ。無難なデザインでした。望未は開き直ったのか、この状況に慣れたのか、紅潮も収まり落ち着いた様子です。でもイラついた様子がありありです。
『もう終わりよ。早く決めて!』強い口調で私に迫ります。
「うーん…そうだなあ。どれも悪くないけど、決めるとなると結構むずかしいなあ。お前はどれがいい?」
『私はどれでもいいよ。あなたが決めるって約束でしょ!』
「そう言われてもなあ…。あ、そうだ!君はどう思う?」
私はさも今思いついたように、店員に水を向けました。ここから彼が大活躍してくれました。
彼は妻の望未と私の間に割って入ってきて、まずは私に向かって話し始めました。〔正直、どれもお似合いだと思います。だから悩まれる気持ちはよく分かります」私は神妙な顔でうなずきます。
それから彼は望未の方に向きを変え、少し声のトーンを上げて続けました。〔ホント、奥さんはプロポーションが素晴らしいから。何着ても似合うんですよねえ。〕望未は『えー!そんなことないですよー。』褒められて何だかうれしそうです。会話も弾んできました。
〔いやホントですって。お世辞じゃないですよ。こんなに水着がお似合いだなんて、ご主人がうらやましいです。僕の彼女なんて、ちっとも似合わないですからね。失礼ですけど、僕らより少し年上でいらっしゃいますよね?〕セールストークに拍車がかかります。
『《少し》じゃなくて、《ずっと》かな。でも、気を使わなくていいわよ。ここで買うって決めているから。」望未はすっかり機嫌を直した様子。次第に彼のペースに乗せられてきました。
〔3着の中から決めるんですよね。どうでしょうねえ…。確かにどれもお似合いなんですけど…。〕彼は急に考え込んだ(フリをする)と思うと、今までよりゆっくりした口調で望未に向かって語り始めました。〔奥さまみたいな素敵な大人の女性でしたら、もっとお似合いの水着があると思うんですよ。若い女の子には似合わない大人の水着が。いま試着されているような水着は若い子で似合いますが、大人の、しかもきれいな女性にしか似合わない水着もありますから。正直、そんな女性はなかなかいませんけど、奥さまならきっとお似合いだと思うんです。〕
「はっきり、若い子向けの水着は似合わないって言ってもいいんだよ。」
私が冗談っぽく口を挟みましたが、望未の目は真剣です。
『そうねえ…。私もこれはちょっと若すぎるかなあって思っていたの。でも、どんなのがいいのかなあ。私、水着なんてずっと買ってなかったから、流行とか分からなくて…。』
〔それじゃ、ちょっと選んできましょうか?〕
考え込み始めた望未に、彼は軽い口調で告げると、女性用の売り場に消えていきました。
2014/11/17
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