特名 〖興奮と嫉妬と不安の狭間で〗 第2節7章
特名 〖興奮と嫉妬と不安の狭間で〗 第2節7章
〖初の貸し出し⑥ 葵の喘ぎ声〗
今までの2回の経験で大分慣れたかと思ったけど、その電話の後は本当に焦った。これは実際に体験した人じゃ無いと判らないと思う。自分で望んだ事なのに俺は苛々と焦燥感で、あーーーーー!って頭掻き毟ったり、意味もなくテレビをパチパチ付けたり消したりしていた。
テレビが付いていたら付いていたで音が煩(うるさ)くて消してしまった。時計の“カチ、カチ”って音を聞きながら苛々していた。部屋の中でビールを飲みながら、何の変化もないスマートフォンを見つめていた。
何回もこの〖貸し出し〗を後悔して、葵(あおい)のスマートフォンに何度も掛けようともした。人生で一番スマートフォンを眺めた時間だったかもしれない。それでも葵にばかり罪を負わせようとしている贖罪から≪気分が良くなったら浩人とHしても構わないよ。≫とメールを打つ。30分くらいしてスマートフォンの着信音が鳴った。発信者は向井さんだったから俺は一瞬で取った。
耳につけた瞬間、がさがさって音の後に葵の喘ぎ声がした。しかもバックの時の目茶目茶感じている声だった。葵が逝(い)く寸前の、でもこれまでここまで大きな声は聞いたこと無いって声だった。
葵が逝く時には、“逝く、逝く”って何度も繰り返すのだけど電話の向こうからその逝く声が、『やだ逝くっ!、逝きそう向井さん、逝きそう。あっ!逝っちゃう!逝きそう!逝きそう!逝っちゃう!』、〔葵ちゃん。〕と、葵の喘ぎ声と一緒に向井さんが葵の名前を呼んだ瞬間に通話が切れた。
その時は心臓が締め付けられるみたいだったけど、正直に言うと一瞬で物凄く興奮をした。これも向井さんの俺に対する雰囲気作りだったのかもしれないと思う。(Mの感性に響く。と同時に贖罪して心が穏やかにもなる。)
次に電話が来たのは30分してからだった。その間さっきの葵の逝くときの甘い声が耳について離れなくてずっと俺はぼうっとしてスマートフォンを見ていた。
電話を取った瞬間葵と向井さんの会話が飛び込んできた。さっきもそうだけど会話はクリアに聞こえて、もう普通に話している感じだった。
『向井さん、電話なの?』
〔いや、メールだから。いいよ気にしなくても。〕
『あ、でも、さっきの向井さんのいう事私、判るかも。』
〔そうそう。だからやっぱりさ、夫婦になっちゃうと知り合うっていう側面でセックスを
しなくなるんだと思うんだよ。〕
『そうかもね。』
〔セックスって気持ち良いとかそういうのもあるけど、その人と知り合いたいっていう気持ちがやっぱり大事だと思うんだ。〕
『うん。うん。』
〔夫婦になっちゃうと、勿論お互いの事はもう知ってる訳じゃない。あ、でもね、アメリカなんかは違うみたいだね。〕
『ふーん。何が違うの?』
〔西洋人は男女関係イコールセックスだから、夫婦がセックスしないのはすぐに離婚に繋がるんだって。〕
『えーーー!』
〔まあね、結婚してないからおれも良くわかんないけど。〕
ふたりの“あはははは”みたいな笑い声が聞こえる。完全なピロートークで、葵の声も甘かった。葵と向井さんの間に壁が無くなったような会話。実際葵と向井さんは抱き合いながら話していたっぽい。(セックスも心を締め付けられるけど、こうした日常会話も俺には堪えた。)
2015/01/27
〖初の貸し出し⑥ 葵の喘ぎ声〗
今までの2回の経験で大分慣れたかと思ったけど、その電話の後は本当に焦った。これは実際に体験した人じゃ無いと判らないと思う。自分で望んだ事なのに俺は苛々と焦燥感で、あーーーーー!って頭掻き毟ったり、意味もなくテレビをパチパチ付けたり消したりしていた。
テレビが付いていたら付いていたで音が煩(うるさ)くて消してしまった。時計の“カチ、カチ”って音を聞きながら苛々していた。部屋の中でビールを飲みながら、何の変化もないスマートフォンを見つめていた。
何回もこの〖貸し出し〗を後悔して、葵(あおい)のスマートフォンに何度も掛けようともした。人生で一番スマートフォンを眺めた時間だったかもしれない。それでも葵にばかり罪を負わせようとしている贖罪から≪気分が良くなったら浩人とHしても構わないよ。≫とメールを打つ。30分くらいしてスマートフォンの着信音が鳴った。発信者は向井さんだったから俺は一瞬で取った。
耳につけた瞬間、がさがさって音の後に葵の喘ぎ声がした。しかもバックの時の目茶目茶感じている声だった。葵が逝(い)く寸前の、でもこれまでここまで大きな声は聞いたこと無いって声だった。
葵が逝く時には、“逝く、逝く”って何度も繰り返すのだけど電話の向こうからその逝く声が、『やだ逝くっ!、逝きそう向井さん、逝きそう。あっ!逝っちゃう!逝きそう!逝きそう!逝っちゃう!』、〔葵ちゃん。〕と、葵の喘ぎ声と一緒に向井さんが葵の名前を呼んだ瞬間に通話が切れた。
その時は心臓が締め付けられるみたいだったけど、正直に言うと一瞬で物凄く興奮をした。これも向井さんの俺に対する雰囲気作りだったのかもしれないと思う。(Mの感性に響く。と同時に贖罪して心が穏やかにもなる。)
次に電話が来たのは30分してからだった。その間さっきの葵の逝くときの甘い声が耳について離れなくてずっと俺はぼうっとしてスマートフォンを見ていた。
電話を取った瞬間葵と向井さんの会話が飛び込んできた。さっきもそうだけど会話はクリアに聞こえて、もう普通に話している感じだった。
『向井さん、電話なの?』
〔いや、メールだから。いいよ気にしなくても。〕
『あ、でも、さっきの向井さんのいう事私、判るかも。』
〔そうそう。だからやっぱりさ、夫婦になっちゃうと知り合うっていう側面でセックスを
しなくなるんだと思うんだよ。〕
『そうかもね。』
〔セックスって気持ち良いとかそういうのもあるけど、その人と知り合いたいっていう気持ちがやっぱり大事だと思うんだ。〕
『うん。うん。』
〔夫婦になっちゃうと、勿論お互いの事はもう知ってる訳じゃない。あ、でもね、アメリカなんかは違うみたいだね。〕
『ふーん。何が違うの?』
〔西洋人は男女関係イコールセックスだから、夫婦がセックスしないのはすぐに離婚に繋がるんだって。〕
『えーーー!』
〔まあね、結婚してないからおれも良くわかんないけど。〕
ふたりの“あはははは”みたいな笑い声が聞こえる。完全なピロートークで、葵の声も甘かった。葵と向井さんの間に壁が無くなったような会話。実際葵と向井さんは抱き合いながら話していたっぽい。(セックスも心を締め付けられるけど、こうした日常会話も俺には堪えた。)
2015/01/27
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