中J〖美羽〗第2章②
中J〖美羽〗第2章②
前から車を突っ込んだ為に右に捻りながら家を観察していましたが、すっかり日が沈んだ頃、脱衣所と風呂場の明かりが点きました。(誰が入っているのかな?)美羽の進行状況がわからず、私は少しイラついてきました。
車を降りて、家に近付こうとした時、義兄の車が戻ってきます。慌てて車の陰に隠れました。普段なら周りの見る目も気になるところですが、もう、臨戦態勢に入っていました。少し間をおいて又近付いていきました。敷地に入り、奥の風呂場の下に立ちました。
子供達の大きな声と親父の笑い声が聞こえました。3人で入っているようです。美羽と交際中に子供が出来てしまい、話し合いの末、まだ経済力のなかった自分達は堕胎を決めましたがどうしたらよいか分からず、おふくろに内緒で親父に産科を紹介してもらい、3日間体を休める為にホテルまで取ってくれた親父、悪い遊びをして病気の心配に悩んだ時も泌尿器科に時間外にみて貰えるよう手配してくれた、親友の様に扱ってくれた親父に、今、美羽の危険な冒険にまで騙して協力させている事に胸が痛くなりました。
すると、その時、美羽の声が聞こえました。
『お義父さーん、大丈夫ですかー。』
「ハッハッハッ、大丈夫、大丈夫、美羽さんもそろそろ用意して出かけていいよ。」
『すみませーん、子供達の布団も敷いておきましたからーお願いします。』
「え~、今日、オジーちゃんのとこでねてもいいの~、うわー、やったやったー。」
(いい子達だ!)
車のところに戻ろうとした時に、ふと義兄の宗雄さんがいる部屋の前で立ち止まりました。義兄の好きなジャズが聞こえました。私は何度きいてもすぐに眠くなります。ふと、(出る前に何か打ち合わせしたりしまいか?)妄想が働きます。
私は部屋の反対側に回りました。美羽が階段を下りてくるところに義兄の部屋の入り口があります。その小さな窓。格子がついているため、鍵を掛けていない窓がたくさんありました。果たして、鍵ははずれていました。が、ゴムがくっついてしまったのかなかなか開きません。普段ならありえない指の力。バキッ!大きな音がして開きました。あわてて身をかがめてしまいました。
暫らくして、美羽が階段をおりてきました。義兄の部屋の前を通り過ぎかけ、立ち止まりました。左手を握ったまま口にあてて、何か考えているようです。(???なんだ?なに考えてんだ?!)くるっと振り向くと、義兄の部屋をノックしました。
『お義兄さん、ちょっと出かけてきます。』
バタバタ音がして義兄がドアを開けました。すごい勢いで開けたために、美羽はビクッとしていました。
〔あ、もう行っちゃうの?〕(行っちゃうの??恋人でもあるまいし、何様だ?!)
『え?ええ、あの、夕食用意しておきましたから・・すみません。』
〔え、あ、いや、すみません、何時頃になるのかな?帰るの、あ、いや、インターホン鳴らして下さい、玄関開けますから。〕
『あ、大丈夫です、鍵持っていますから、すみません、行ってきます。』
美羽はちょこんと頭下げて小走りに玄関に行きました。
2015/01/30
前から車を突っ込んだ為に右に捻りながら家を観察していましたが、すっかり日が沈んだ頃、脱衣所と風呂場の明かりが点きました。(誰が入っているのかな?)美羽の進行状況がわからず、私は少しイラついてきました。
車を降りて、家に近付こうとした時、義兄の車が戻ってきます。慌てて車の陰に隠れました。普段なら周りの見る目も気になるところですが、もう、臨戦態勢に入っていました。少し間をおいて又近付いていきました。敷地に入り、奥の風呂場の下に立ちました。
子供達の大きな声と親父の笑い声が聞こえました。3人で入っているようです。美羽と交際中に子供が出来てしまい、話し合いの末、まだ経済力のなかった自分達は堕胎を決めましたがどうしたらよいか分からず、おふくろに内緒で親父に産科を紹介してもらい、3日間体を休める為にホテルまで取ってくれた親父、悪い遊びをして病気の心配に悩んだ時も泌尿器科に時間外にみて貰えるよう手配してくれた、親友の様に扱ってくれた親父に、今、美羽の危険な冒険にまで騙して協力させている事に胸が痛くなりました。
すると、その時、美羽の声が聞こえました。
『お義父さーん、大丈夫ですかー。』
「ハッハッハッ、大丈夫、大丈夫、美羽さんもそろそろ用意して出かけていいよ。」
『すみませーん、子供達の布団も敷いておきましたからーお願いします。』
「え~、今日、オジーちゃんのとこでねてもいいの~、うわー、やったやったー。」
(いい子達だ!)
車のところに戻ろうとした時に、ふと義兄の宗雄さんがいる部屋の前で立ち止まりました。義兄の好きなジャズが聞こえました。私は何度きいてもすぐに眠くなります。ふと、(出る前に何か打ち合わせしたりしまいか?)妄想が働きます。
私は部屋の反対側に回りました。美羽が階段を下りてくるところに義兄の部屋の入り口があります。その小さな窓。格子がついているため、鍵を掛けていない窓がたくさんありました。果たして、鍵ははずれていました。が、ゴムがくっついてしまったのかなかなか開きません。普段ならありえない指の力。バキッ!大きな音がして開きました。あわてて身をかがめてしまいました。
暫らくして、美羽が階段をおりてきました。義兄の部屋の前を通り過ぎかけ、立ち止まりました。左手を握ったまま口にあてて、何か考えているようです。(???なんだ?なに考えてんだ?!)くるっと振り向くと、義兄の部屋をノックしました。
『お義兄さん、ちょっと出かけてきます。』
バタバタ音がして義兄がドアを開けました。すごい勢いで開けたために、美羽はビクッとしていました。
〔あ、もう行っちゃうの?〕(行っちゃうの??恋人でもあるまいし、何様だ?!)
『え?ええ、あの、夕食用意しておきましたから・・すみません。』
〔え、あ、いや、すみません、何時頃になるのかな?帰るの、あ、いや、インターホン鳴らして下さい、玄関開けますから。〕
『あ、大丈夫です、鍵持っていますから、すみません、行ってきます。』
美羽はちょこんと頭下げて小走りに玄関に行きました。
2015/01/30
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