長S〖俺が仕掛けた〗第1章5話 05
長S〖俺が仕掛けた〗第1章5話 05
妻(麗子38歳)はもう伊藤(健一28歳)君のマンションに行ったのだろうか?今頃何をしているのか?私(西條孝雄41歳)はまったく落ち着きませんでした。食卓には妻が用意してくれた夕食が置いてありましたが、食事を食べる気にもなりません。冷蔵庫からビールを出してきて、テレビを見ながらチビチビ飲んでいましたが、どれだけ飲んだのか、テレビがどんな内容だったのかまったく覚えてないぐらいです。
今から思えば我ながら情けなかったと思いました。こんなに落ち着かないぐらいなら、伊藤君の申し出を断ればよかったのです。でも、こんなに興奮して落ち着かない時間を過ごしたのは生まれて初めてと言っても過言でなかったと思います。
時間の経過がものすごく遅く感じましたが、午後9時を少しまわったところで携帯が鳴りました。伊藤君です。すぐに出て妻を待ち焦がれていたと思われたくなかったので、着信音が5回鳴った後ぐらいに出ました。
〔あっ、西條さん、お待たせしました。麗子さんが今帰られたところなんです。〕
相変わらず明るい伊藤君の声でした。
「そうか、どうだ?少しは料理できるようになったか?」
私は他に聞きたいことがあったにもかかわらず、どうでもいいことを先に聞いてしまいました。
〔えへへっ、すみません。結局麗子さんの手料理をご馳走になっちゃいました。〕
「へーっそう、まあ、いいじゃないか。俺だって料理なんか全然だめだからな。」
〔そうですよね。ところでビデオはバッチリ撮れていますけど、どうしましょう? DVDにでもダビングしてお渡ししましょうか?〕
「うん、そうしてくれるかな。すまにな。伊藤君の奮闘振りを拝見させてもらうよ。」
〔いやー、西條さん、見てビックリしないでくださいよ。じゃあ、明日の午後にでも外回りの合間に会社の方へお届けします。〕
《ビックリしないでくださいか・・ 》多分冗談だろうけれど、何となく気になる伊藤君の言葉でした。
麗子が帰宅をしたのは午後10時を過ぎていました。伊藤君のマンションからだとそれぐらいでしょう。寄り道せず真っ直ぐに帰ってきたと思います。
『ただいま~、ごめんなさい。遅くなって。』
居間に入ってくると、いつも持っている手提げ鞄を下ろしながら、妻が言いました。すぐにコートを脱ぎ始めたので、無関心を装いつつもさり気なく麗子の服装を見ます。独身男性の部屋に一人で行くなら、少しはきれいな格好をして行ったのかと思いましたが、何度か見たことのあるセーターにジーンズでした。
「ああ、お帰り。結構遅かったなあ。」
『予想外なのよ。調味料もなにもなくてね、普段からどんな生活しているかすぐにわかるわね。だから一緒に作るとすごく時間かかっちゃったのよ。』
「そうか、それで少しは伊藤君も自炊する気になったのかい?」
私は自炊する気がまったくないような伊藤君の言葉を思い出しながら聞きました。
『どうかな、でもこれから少しはするんじゃないかしら。私に頼られても困るしね。』
妻と話をしながら、私はつい顔の表情や身体の変化がないか観察してしまいます。顔がいつもよりほんのりと赤いような気がしました。どうもアンコールを飲んでいるように思えました。ただ、あまり根掘り葉掘り訊くのはやめました。妻が隠し事をしているかどうかは、明日伊藤君が渡してくれるDVDを見ればわかることです。
『あなた、先にお風呂に入って。私は後片付けがあるから。』
「そうだな、先に休ませもらうよ。」
私は風呂に入った後、自分の寝室に入りましたが、伊藤君からメールが来ていました。
≪さっき麗子さんからメールが来ましたので転送します。≫
≪たった今無事に家に帰りましたよ。今日はどうもありがとう。すごく楽しかったです。でも、今度は少しぐらい自分で作ってね。早く食事を作ってくれる彼女ができるといいね。じゃあ good night ! ≫
どうやら麗子は、私が風呂に入っている間にメールを送ったのでしょう。ただメールを読んでみると、さっき妻から聞いた話とは微妙に違うことがわかりました。たしか麗子は、『一緒に作るとすごく時間かかっちゃった。』と言っていたのに、メールの様子では妻が全部作ったような感じです。そう言えば、伊藤君も電話で結局ご馳走になってしまったみたいなことを言っていました。DVDがすべてを語ってくれるのでしょうか?私は明日が待ちきれませんでした。
2015/09/24
妻(麗子38歳)はもう伊藤(健一28歳)君のマンションに行ったのだろうか?今頃何をしているのか?私(西條孝雄41歳)はまったく落ち着きませんでした。食卓には妻が用意してくれた夕食が置いてありましたが、食事を食べる気にもなりません。冷蔵庫からビールを出してきて、テレビを見ながらチビチビ飲んでいましたが、どれだけ飲んだのか、テレビがどんな内容だったのかまったく覚えてないぐらいです。
今から思えば我ながら情けなかったと思いました。こんなに落ち着かないぐらいなら、伊藤君の申し出を断ればよかったのです。でも、こんなに興奮して落ち着かない時間を過ごしたのは生まれて初めてと言っても過言でなかったと思います。
時間の経過がものすごく遅く感じましたが、午後9時を少しまわったところで携帯が鳴りました。伊藤君です。すぐに出て妻を待ち焦がれていたと思われたくなかったので、着信音が5回鳴った後ぐらいに出ました。
〔あっ、西條さん、お待たせしました。麗子さんが今帰られたところなんです。〕
相変わらず明るい伊藤君の声でした。
「そうか、どうだ?少しは料理できるようになったか?」
私は他に聞きたいことがあったにもかかわらず、どうでもいいことを先に聞いてしまいました。
〔えへへっ、すみません。結局麗子さんの手料理をご馳走になっちゃいました。〕
「へーっそう、まあ、いいじゃないか。俺だって料理なんか全然だめだからな。」
〔そうですよね。ところでビデオはバッチリ撮れていますけど、どうしましょう? DVDにでもダビングしてお渡ししましょうか?〕
「うん、そうしてくれるかな。すまにな。伊藤君の奮闘振りを拝見させてもらうよ。」
〔いやー、西條さん、見てビックリしないでくださいよ。じゃあ、明日の午後にでも外回りの合間に会社の方へお届けします。〕
《ビックリしないでくださいか・・ 》多分冗談だろうけれど、何となく気になる伊藤君の言葉でした。
麗子が帰宅をしたのは午後10時を過ぎていました。伊藤君のマンションからだとそれぐらいでしょう。寄り道せず真っ直ぐに帰ってきたと思います。
『ただいま~、ごめんなさい。遅くなって。』
居間に入ってくると、いつも持っている手提げ鞄を下ろしながら、妻が言いました。すぐにコートを脱ぎ始めたので、無関心を装いつつもさり気なく麗子の服装を見ます。独身男性の部屋に一人で行くなら、少しはきれいな格好をして行ったのかと思いましたが、何度か見たことのあるセーターにジーンズでした。
「ああ、お帰り。結構遅かったなあ。」
『予想外なのよ。調味料もなにもなくてね、普段からどんな生活しているかすぐにわかるわね。だから一緒に作るとすごく時間かかっちゃったのよ。』
「そうか、それで少しは伊藤君も自炊する気になったのかい?」
私は自炊する気がまったくないような伊藤君の言葉を思い出しながら聞きました。
『どうかな、でもこれから少しはするんじゃないかしら。私に頼られても困るしね。』
妻と話をしながら、私はつい顔の表情や身体の変化がないか観察してしまいます。顔がいつもよりほんのりと赤いような気がしました。どうもアンコールを飲んでいるように思えました。ただ、あまり根掘り葉掘り訊くのはやめました。妻が隠し事をしているかどうかは、明日伊藤君が渡してくれるDVDを見ればわかることです。
『あなた、先にお風呂に入って。私は後片付けがあるから。』
「そうだな、先に休ませもらうよ。」
私は風呂に入った後、自分の寝室に入りましたが、伊藤君からメールが来ていました。
≪さっき麗子さんからメールが来ましたので転送します。≫
≪たった今無事に家に帰りましたよ。今日はどうもありがとう。すごく楽しかったです。でも、今度は少しぐらい自分で作ってね。早く食事を作ってくれる彼女ができるといいね。じゃあ good night ! ≫
どうやら麗子は、私が風呂に入っている間にメールを送ったのでしょう。ただメールを読んでみると、さっき妻から聞いた話とは微妙に違うことがわかりました。たしか麗子は、『一緒に作るとすごく時間かかっちゃった。』と言っていたのに、メールの様子では妻が全部作ったような感じです。そう言えば、伊藤君も電話で結局ご馳走になってしまったみたいなことを言っていました。DVDがすべてを語ってくれるのでしょうか?私は明日が待ちきれませんでした。
2015/09/24
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