長S〖俺が仕掛けた〗第2章1話 06
長S〖俺が仕掛けた〗第2章1話 06
その翌日、私(西條孝雄:41歳)は朝からDVDのことばかり気になっていましたが、会社に出勤すると電話や来客に忙殺され、いつのまにか忘れてしまっていました。昼前ぐらいになり、ようやく落ち着いて自席でほっとしていた時、目の前の電話が鳴ります。それは一階受付の女子職員からの内線電話でした。
「今、一階ロビーに山本様という方がお見えですが?」私は一瞬誰かわかりませんでした。 山本?? もしかして、伊藤(健一:28歳)君かな・・。「わかった、すぐ行くからしばらく待ってもらってくれ!」私は急いで席を立つとエレベーターに乗り、伊藤君の待つ一階へ急ぎます。一階のロビーに行くと、ソファに座っていたのはやはり伊藤君でした。彼は私の顔を見るなり立ちあがります。
〔すみません。お仕事中にお呼びたてして。〕
「いやいや、伊藤君どうしたんだい?」
〔はい、ご依頼の物をお持ちしました。少しでも早いほうがいいと思いまして立ち寄らせていただきました。〕
私は手を差し出してソファに座るよう促します。伊藤君は会社での私の立場に配慮して、笑みを浮かべながらも口調はビジネス的で、いかにも取引先という雰囲気を出していました。
若いのになかなかやるな、私は感心しました。伊藤君は鞄の中から自分の会社のネーム入りの封筒を差し出します。私はその封筒を受け取って中身を確認しました。中にはケースに入ったDVDが一枚。
「ありがとう、早速後で確認しておくよ。」
〔どうかよろしくお願いします。〕
伊藤君は深く頭を下げた後、顔を上げながら小声で言いました。
〔ノーカットでダビングしています。感想をお聞かせいただけますか?今晩にでも。〕
「わかった。あとで連絡するよ。」
伊藤君は爽やかで誠実そうな笑みを浮かべながら、会社を出ていきました。《いい子だな》と私は改めて思いました。《多分異性にもモテるんだろうけど、あんな子がどういうつもりでうちの妻に好意を寄せているんだろうか?》そんなことを思いながら席に戻りました。
しかし、どうも仕事をする気になれません。今から帰れば、妻も子供も家にいませんからDVDをゆっくり見ることが出来ます。私は、上司に急用ができたからと言い、午後から半休をとり帰宅しました。
家に帰ると私は着替えをすることも忘れ、居間でDVDを再生させました。いつになく緊張し、心臓がドクドクと動いているのがわかります。映像に畳の部屋が出てきました。その部屋の隅にビデオをセットしたのか、和室の部屋とその奥にあるダイニングまでが映っています。伊藤君の後姿が見え、ダイニングの端にある入り口のドアを開けると、コートを着た妻が入ってきました。
2015/10/28
その翌日、私(西條孝雄:41歳)は朝からDVDのことばかり気になっていましたが、会社に出勤すると電話や来客に忙殺され、いつのまにか忘れてしまっていました。昼前ぐらいになり、ようやく落ち着いて自席でほっとしていた時、目の前の電話が鳴ります。それは一階受付の女子職員からの内線電話でした。
「今、一階ロビーに山本様という方がお見えですが?」私は一瞬誰かわかりませんでした。 山本?? もしかして、伊藤(健一:28歳)君かな・・。「わかった、すぐ行くからしばらく待ってもらってくれ!」私は急いで席を立つとエレベーターに乗り、伊藤君の待つ一階へ急ぎます。一階のロビーに行くと、ソファに座っていたのはやはり伊藤君でした。彼は私の顔を見るなり立ちあがります。
〔すみません。お仕事中にお呼びたてして。〕
「いやいや、伊藤君どうしたんだい?」
〔はい、ご依頼の物をお持ちしました。少しでも早いほうがいいと思いまして立ち寄らせていただきました。〕
私は手を差し出してソファに座るよう促します。伊藤君は会社での私の立場に配慮して、笑みを浮かべながらも口調はビジネス的で、いかにも取引先という雰囲気を出していました。
若いのになかなかやるな、私は感心しました。伊藤君は鞄の中から自分の会社のネーム入りの封筒を差し出します。私はその封筒を受け取って中身を確認しました。中にはケースに入ったDVDが一枚。
「ありがとう、早速後で確認しておくよ。」
〔どうかよろしくお願いします。〕
伊藤君は深く頭を下げた後、顔を上げながら小声で言いました。
〔ノーカットでダビングしています。感想をお聞かせいただけますか?今晩にでも。〕
「わかった。あとで連絡するよ。」
伊藤君は爽やかで誠実そうな笑みを浮かべながら、会社を出ていきました。《いい子だな》と私は改めて思いました。《多分異性にもモテるんだろうけど、あんな子がどういうつもりでうちの妻に好意を寄せているんだろうか?》そんなことを思いながら席に戻りました。
しかし、どうも仕事をする気になれません。今から帰れば、妻も子供も家にいませんからDVDをゆっくり見ることが出来ます。私は、上司に急用ができたからと言い、午後から半休をとり帰宅しました。
家に帰ると私は着替えをすることも忘れ、居間でDVDを再生させました。いつになく緊張し、心臓がドクドクと動いているのがわかります。映像に畳の部屋が出てきました。その部屋の隅にビデオをセットしたのか、和室の部屋とその奥にあるダイニングまでが映っています。伊藤君の後姿が見え、ダイニングの端にある入り口のドアを開けると、コートを着た妻が入ってきました。
2015/10/28
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