中Ⅱ1〔叔父と妻・・そして私〕第2話
中Ⅱ1〔叔父と妻・・そして私〕第2話
第1話
明日の生活さえ先の見えない状態です…そうでなければ、絶縁している叔父(村上二郎:むらかみ・じろう:60歳)の所に金の無心になど行きません。私(村上正俊:むらかみ・まさとし:38歳)は勧められるままに酒を交わしながら、叔父に訪問の真相を打ち明けます。叔父は黙って聞いていました。
その夜は結局、色よい返事はもらえず、私はしこたま酔っ払い、飲まなかった妻(村上直美:むらかみ・なおみ:36歳)の運転で帰宅しました。叔父からは〔即答は出来ないが、かわいい甥っこ夫婦だからなんとかしてやりたい…。〕と言ってくれ、今までの絶縁状態は解消して、相談にも乗ってくれるという事に、それで、私と妻の携帯番号など連絡先を教えておきました。しかし、その時の私達はそんな相談相手よりも現金が必要でした。落胆しながら帰路についたのを覚えています。
翌日、私は妻と会社にいました。倒産間際になっても仕事は山積みです。昼過ぎ、私の携帯に着信が入りました。見知らぬ番号だったので、債権者かもと思ったのですが出てしまいました。それは、叔父からで、私は債権者でない事に、軽く安堵しながらその声を聞きます。
その時、私は神様の声を聞くような気持ちで携帯を握っていました。叔父が〔お前の必要な金の約半分だが、500万をとりあえず用意した。〕というのです。〔残りの手筈もついているから、まずは取りに来てくれ。〕と言う事でした。
叔父がいきなりそんな大金を用意してくれたので、私は出向いて礼を言わなければ…と思いましたが、〔お前は会社にいなければ何かと不便だろう。〕と叔父は、だから、〔直美(妻)さんを取りに来させれば良いよ。〕と言うのでした。
妻に伝えると確かにその通り、誰が会社に来るかわからないし、『私が取りに行って来るからね。』と言ってくれます。多少救われた気持ちで妻を見送り、私は残務処理に没頭しました。どれくらい時間が経ったのか…夢中で仕事をしていて気付きませんでした。従業員はみんな退社をし、外はすでに暗くなっています。
妻の直美が出掛けてから5時間は経っていました。叔父の家は会社から30分とかからない場所にあります。タバコに火を点けながら、事故にでもあったのでは…と心配になっていました。妻の携帯に電話しても呼び出し音は鳴るものの、いっこうに出る気配がありません。
心配は募り、叔父の家に電話をかけようと考えた時でした。午後8時をまわろうとしていたと思います。妻が会社に戻ってきました。私は少し疲れた表情の直美に、コーヒーを入れてやり一息つかせてから、金を受け取ります。
「遅くて心配したよ。」と話すと…妻は私が違和感を覚える程、驚いた表情と『えっ?!』という声を発しましたが、すぐに笑顔を浮かべました。『お金の用意にちょっと手間取ったみたいで…。』と言いつつ、直美は『早く家に帰ろう。』と席を立ったのです。この時私は、わずかな違和感を覚えたものの、何を疑う事も無く、現実の債務処理で頭がいっぱいだったのでした…。 第3話へ続く
2015/12/06
第1話
明日の生活さえ先の見えない状態です…そうでなければ、絶縁している叔父(村上二郎:むらかみ・じろう:60歳)の所に金の無心になど行きません。私(村上正俊:むらかみ・まさとし:38歳)は勧められるままに酒を交わしながら、叔父に訪問の真相を打ち明けます。叔父は黙って聞いていました。
その夜は結局、色よい返事はもらえず、私はしこたま酔っ払い、飲まなかった妻(村上直美:むらかみ・なおみ:36歳)の運転で帰宅しました。叔父からは〔即答は出来ないが、かわいい甥っこ夫婦だからなんとかしてやりたい…。〕と言ってくれ、今までの絶縁状態は解消して、相談にも乗ってくれるという事に、それで、私と妻の携帯番号など連絡先を教えておきました。しかし、その時の私達はそんな相談相手よりも現金が必要でした。落胆しながら帰路についたのを覚えています。
翌日、私は妻と会社にいました。倒産間際になっても仕事は山積みです。昼過ぎ、私の携帯に着信が入りました。見知らぬ番号だったので、債権者かもと思ったのですが出てしまいました。それは、叔父からで、私は債権者でない事に、軽く安堵しながらその声を聞きます。
その時、私は神様の声を聞くような気持ちで携帯を握っていました。叔父が〔お前の必要な金の約半分だが、500万をとりあえず用意した。〕というのです。〔残りの手筈もついているから、まずは取りに来てくれ。〕と言う事でした。
叔父がいきなりそんな大金を用意してくれたので、私は出向いて礼を言わなければ…と思いましたが、〔お前は会社にいなければ何かと不便だろう。〕と叔父は、だから、〔直美(妻)さんを取りに来させれば良いよ。〕と言うのでした。
妻に伝えると確かにその通り、誰が会社に来るかわからないし、『私が取りに行って来るからね。』と言ってくれます。多少救われた気持ちで妻を見送り、私は残務処理に没頭しました。どれくらい時間が経ったのか…夢中で仕事をしていて気付きませんでした。従業員はみんな退社をし、外はすでに暗くなっています。
妻の直美が出掛けてから5時間は経っていました。叔父の家は会社から30分とかからない場所にあります。タバコに火を点けながら、事故にでもあったのでは…と心配になっていました。妻の携帯に電話しても呼び出し音は鳴るものの、いっこうに出る気配がありません。
心配は募り、叔父の家に電話をかけようと考えた時でした。午後8時をまわろうとしていたと思います。妻が会社に戻ってきました。私は少し疲れた表情の直美に、コーヒーを入れてやり一息つかせてから、金を受け取ります。
「遅くて心配したよ。」と話すと…妻は私が違和感を覚える程、驚いた表情と『えっ?!』という声を発しましたが、すぐに笑顔を浮かべました。『お金の用意にちょっと手間取ったみたいで…。』と言いつつ、直美は『早く家に帰ろう。』と席を立ったのです。この時私は、わずかな違和感を覚えたものの、何を疑う事も無く、現実の債務処理で頭がいっぱいだったのでした…。 第3話へ続く
2015/12/06
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