名M 『先生が喜ぶことなら』 第11回
名M 『先生が喜ぶことなら』 第11回
そして、生き地獄のような針のむしろのような(公認デートの)一日が終わって、親子は家に帰る。『おかえりなさ〜〜いっ!!』って妻(浅野美咲:あさの・みさき:28歳)が玄関で、笑顔で迎えてくれた。「あれっ!? 早かったね?」と俺(浅野幸也:あさの・ゆきや:37歳)は、平気なフリをする。そう言いながらも内心は、《帰っていなかったらどうしよう。》などと、泣きそうなほどに心配をしていた。
『うん! もう、一時間くらい前には帰ってきてたよ! なんか、緊張した〜。』
「お疲れ様! どうする? 夕ご飯食べに行く?」
『あ、うん・・・食べてきちゃったから・・・今、何か作るね!』
一日ママと離れていた子供達が、大騒ぎしながら妻にまとわりつく。それから、賑やかなまま妻はキッチンに行き、手早く夕ご飯を作ってくれると、夕食が始まった。
さっきの、『食べてきちゃったから・・・』美咲の言葉に、あらためて不安が大きくなる。「どうだった? 水口(陵介:みずぐち・りょうすけ:39歳)さんとどこへ行ったの?」と俺は、もう待ちきれずに訊いた。『うん・・まず一緒に映画へ行ったよ。映画館なんて、すっごく久しぶりだから、ちょっと嬉しかったかなぁ・・・それから、お昼を食べたよ。』、「あの・・・映画は、どんな感じで見たの?」俺は、二人が暗闇で、手を繋ぎながら映画を観ているのを想像してしまった。
『うん・・別に・・普通だよ?』
『あの・・ポップコーンを食べながら、黙って観ていたよ。』
「それから?」
『一緒にタイ料理のお店に行って、お昼を食べたよ。(友人の)希は辛いのが好きだから、おすすめって事で・・。』
「二人でどんなこと話したりしたの?」
『う〜〜ん・・希(のぞみ)の趣味とか、どんな子なのか?とか・・・なんか、すっごく緊張しちゃって、私の方が上手く話せなかったかも・・・・。』
「それじゃあ、練習になんないじゃん(笑)。」
美咲の話を聞いて、俺は少し余裕が戻ってきた。
『その後は、雑貨屋さんへ行ったり、本屋さんに行ったり、カフェでお茶したよ(笑)。』
「楽しかった?」
『・・・うん・・なんかね、不思議な気持ちだったわ。ユキヤさんとじゃなくて、水口さんとデートしているって思ったら、悪いなぁって・・・でも・・・ちょっとだけ楽しかった(笑)。』
俺は美咲の言葉を聞いて、猛烈に嫉妬心が大きくなる。だけど、みっともないところも見
せられず、それで無理に虚勢を張った。
「そうなんだ(笑)。それじゃあ、週末までに、また練習してあげなよ!」
『えっ!? ユキヤさんはイヤじゃないの?』
「どうして? 水口さんだったら、全然大丈夫だよ(笑)。」
『そっか・・・私なら・・・どんな相手でも、ユキヤさんが他の人とデートをしたら、悲しくて
死ぬと思う・・・・。』
「そ、それは・・・だって、練習でしょ?」
『練習でも、イヤっ! ユキヤさんは私だけっ!』
今日、他の人とデートをしたのは妻なのに、なぜか俺が責められている感じになった。
「当たり前だろ! 俺は、美咲だけだって! 愛してるっ!」
『ホント? へへ(笑)。もう一回言って!』
「美咲・・愛してる。」
『どれくらい?』
「世界一!」
『それだけなの?』
「宇宙一!」
『へへ(笑)。 私もだよ〜 愛してるっ!!』
その言葉に、とろけそうだった。
「その後は? 夕ご飯食べて、終わり?」
『あ、うん・・・そ、そうだよ・・。』
って一瞬美咲が口ごもる。
『少し早い夕ご飯は、お寿司をごちそうになったよ。練習デートのお礼だって(笑)。』
「へぇ・・いいなぁ・・」
『へへ(笑)。良いでしょ(笑)。それに廻っていないお寿司だよ(笑)。』
って、こんな感じで報告を受ける。当然と言えば当然だが、何もなく終わったようだ。でも、さっきちょっとだけ美咲が口ごもったのが、無性に気になった・・・。 第12回に続く
2016/12/23
そして、生き地獄のような針のむしろのような(公認デートの)一日が終わって、親子は家に帰る。『おかえりなさ〜〜いっ!!』って妻(浅野美咲:あさの・みさき:28歳)が玄関で、笑顔で迎えてくれた。「あれっ!? 早かったね?」と俺(浅野幸也:あさの・ゆきや:37歳)は、平気なフリをする。そう言いながらも内心は、《帰っていなかったらどうしよう。》などと、泣きそうなほどに心配をしていた。
『うん! もう、一時間くらい前には帰ってきてたよ! なんか、緊張した〜。』
「お疲れ様! どうする? 夕ご飯食べに行く?」
『あ、うん・・・食べてきちゃったから・・・今、何か作るね!』
一日ママと離れていた子供達が、大騒ぎしながら妻にまとわりつく。それから、賑やかなまま妻はキッチンに行き、手早く夕ご飯を作ってくれると、夕食が始まった。
さっきの、『食べてきちゃったから・・・』美咲の言葉に、あらためて不安が大きくなる。「どうだった? 水口(陵介:みずぐち・りょうすけ:39歳)さんとどこへ行ったの?」と俺は、もう待ちきれずに訊いた。『うん・・まず一緒に映画へ行ったよ。映画館なんて、すっごく久しぶりだから、ちょっと嬉しかったかなぁ・・・それから、お昼を食べたよ。』、「あの・・・映画は、どんな感じで見たの?」俺は、二人が暗闇で、手を繋ぎながら映画を観ているのを想像してしまった。
『うん・・別に・・普通だよ?』
『あの・・ポップコーンを食べながら、黙って観ていたよ。』
「それから?」
『一緒にタイ料理のお店に行って、お昼を食べたよ。(友人の)希は辛いのが好きだから、おすすめって事で・・。』
「二人でどんなこと話したりしたの?」
『う〜〜ん・・希(のぞみ)の趣味とか、どんな子なのか?とか・・・なんか、すっごく緊張しちゃって、私の方が上手く話せなかったかも・・・・。』
「それじゃあ、練習になんないじゃん(笑)。」
美咲の話を聞いて、俺は少し余裕が戻ってきた。
『その後は、雑貨屋さんへ行ったり、本屋さんに行ったり、カフェでお茶したよ(笑)。』
「楽しかった?」
『・・・うん・・なんかね、不思議な気持ちだったわ。ユキヤさんとじゃなくて、水口さんとデートしているって思ったら、悪いなぁって・・・でも・・・ちょっとだけ楽しかった(笑)。』
俺は美咲の言葉を聞いて、猛烈に嫉妬心が大きくなる。だけど、みっともないところも見
せられず、それで無理に虚勢を張った。
「そうなんだ(笑)。それじゃあ、週末までに、また練習してあげなよ!」
『えっ!? ユキヤさんはイヤじゃないの?』
「どうして? 水口さんだったら、全然大丈夫だよ(笑)。」
『そっか・・・私なら・・・どんな相手でも、ユキヤさんが他の人とデートをしたら、悲しくて
死ぬと思う・・・・。』
「そ、それは・・・だって、練習でしょ?」
『練習でも、イヤっ! ユキヤさんは私だけっ!』
今日、他の人とデートをしたのは妻なのに、なぜか俺が責められている感じになった。
「当たり前だろ! 俺は、美咲だけだって! 愛してるっ!」
『ホント? へへ(笑)。もう一回言って!』
「美咲・・愛してる。」
『どれくらい?』
「世界一!」
『それだけなの?』
「宇宙一!」
『へへ(笑)。 私もだよ〜 愛してるっ!!』
その言葉に、とろけそうだった。
「その後は? 夕ご飯食べて、終わり?」
『あ、うん・・・そ、そうだよ・・。』
って一瞬美咲が口ごもる。
『少し早い夕ご飯は、お寿司をごちそうになったよ。練習デートのお礼だって(笑)。』
「へぇ・・いいなぁ・・」
『へへ(笑)。良いでしょ(笑)。それに廻っていないお寿司だよ(笑)。』
って、こんな感じで報告を受ける。当然と言えば当然だが、何もなく終わったようだ。でも、さっきちょっとだけ美咲が口ごもったのが、無性に気になった・・・。 第12回に続く
2016/12/23
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