『美鈴(みすず)』 1章その3
名C美鈴(みすず)その3
駅近くにあるオーセンティックバー〖御影〗は落ち着きのある店で、カウンター12席とテーブル14席の26席。会社の上司に連れられて来店した際に、50代前半と思われるマスターと妙にウマが合った(意気投合)のと店の雰囲気が“大人の隠れ家”的なのが気に入り6、7回は訪れています。
今、美鈴がその〖御影〗へと入って行った。その瞬間から、私の頭の中には色んな妄想が浮かんできます。約束した10分間で男女の仲が進展するようなことはないとは思っていても、この10分間が凄く長い時間に感じられました。
腕時計で10分が経過したことを確認、私はドキドキしながら店へと入るといつものようにマスターが「いらっしゃいませ」とにこやかに迎えてくれました。カウンターには美鈴が、ぽっんと坐っていました。意識的に目を合わさなかった。美鈴の少し離れた席にカップルが座っていてカウンター席には3人だけでした。テーブル席はほぼ埋まっていました。
ウェイターに「お一人ですか?カウンターでよろしいでしょうか?」と言われて、私は頷きカップルが座っている反対側の美鈴から離れた席に座りました。そして、美鈴はマスターと楽しそうに時々会話をしています。私は一人カウンターの後ろに並べられた酒を見ながら酒を喉に流し込みました。
30分ほどたった頃でした。カップルが帰って行き、入れ替わるように私より少し年上の男性が一人で店へとやって来ました。その男性は店の常連さんのようで何もいわずに美鈴とカップルとの間の席に座りマスターと話をし出しました。
男性はマスターとゴルフの話題でワイワイと盛り上がって話していて、その男性がゴルフのティーショットを打ってズボンが破れた時の話をしていたときに、美鈴が一瞬クスっと笑います。男性は少し照れながら美鈴に「すみません。お恥ずかしい話をお聞かせしまして。」と照れながら話しかけ、マスターに「この方(美鈴)へ飲み物を」と告げました。
いよいよ私が待ちに待ったときがやって来る。美鈴が男性と会話をするようになり、最初は私の方をチラチラ見ていたのですが酒も進んで酔いもかなり回ってきたのか私の方を見ることもなくなって来たのです。それに美鈴のしゃべりも少し呂律が回らなくなってきたように感じます。
そのうち男性が美鈴との間に一席分の間があったのですが、美鈴の隣へと移りました。それから二人の会話も少しずつトーンダウンしていき、二人の顔の間も近くなって来ています。私はその場面を見ただけでもドキドキ、ハラハラと落ち着きが無くなってきて、二人の会話が聞きたくて仕方がありませんでした。
二人はまるで恋人同士のように話しているのですが、私は一人カウンターで何もしゃべらずに飲んでいるもので、何かそこにいるのはバツが悪いような雰囲気になる。私はトイレへと席を立ち、美鈴のスマホに、≪そろそろ俺店を出るけどいいかな?とメールを送りました。
トイレで用を足して席に戻る。しばらく美鈴がスマホを開いて私に返事をするのを待ったのですが、スマホを触ることもなくその男性となにやら話をしていました。何だか無視され私は少しムッとしましたが、ここで怒ってしまうと何もかもがぶち壊しになるのでマスターに「チェックをしてくれ。」と伝えました。
けれど美鈴はそんな私に気が付く様子もみせないので、私は男性と美鈴に「お先です」と声をかけて店を出ました。店の前で10分も待ったけれど美鈴は店から出て来ません。仕方がないので駅まで行って、まだ開いていた珈琲店に入りました。しかし、そこでも20分待っていたが連絡がない。少し腹を立てながら美鈴に何度も電話をするが応答はない。珈琲店の閉店時間が近づき、≪まだ御影にいるの?連絡をして。俺はもう先に家へ帰る。≫とメールを送りました。
駅近くにあるオーセンティックバー〖御影〗は落ち着きのある店で、カウンター12席とテーブル14席の26席。会社の上司に連れられて来店した際に、50代前半と思われるマスターと妙にウマが合った(意気投合)のと店の雰囲気が“大人の隠れ家”的なのが気に入り6、7回は訪れています。
今、美鈴がその〖御影〗へと入って行った。その瞬間から、私の頭の中には色んな妄想が浮かんできます。約束した10分間で男女の仲が進展するようなことはないとは思っていても、この10分間が凄く長い時間に感じられました。
腕時計で10分が経過したことを確認、私はドキドキしながら店へと入るといつものようにマスターが「いらっしゃいませ」とにこやかに迎えてくれました。カウンターには美鈴が、ぽっんと坐っていました。意識的に目を合わさなかった。美鈴の少し離れた席にカップルが座っていてカウンター席には3人だけでした。テーブル席はほぼ埋まっていました。
ウェイターに「お一人ですか?カウンターでよろしいでしょうか?」と言われて、私は頷きカップルが座っている反対側の美鈴から離れた席に座りました。そして、美鈴はマスターと楽しそうに時々会話をしています。私は一人カウンターの後ろに並べられた酒を見ながら酒を喉に流し込みました。
30分ほどたった頃でした。カップルが帰って行き、入れ替わるように私より少し年上の男性が一人で店へとやって来ました。その男性は店の常連さんのようで何もいわずに美鈴とカップルとの間の席に座りマスターと話をし出しました。
男性はマスターとゴルフの話題でワイワイと盛り上がって話していて、その男性がゴルフのティーショットを打ってズボンが破れた時の話をしていたときに、美鈴が一瞬クスっと笑います。男性は少し照れながら美鈴に「すみません。お恥ずかしい話をお聞かせしまして。」と照れながら話しかけ、マスターに「この方(美鈴)へ飲み物を」と告げました。
いよいよ私が待ちに待ったときがやって来る。美鈴が男性と会話をするようになり、最初は私の方をチラチラ見ていたのですが酒も進んで酔いもかなり回ってきたのか私の方を見ることもなくなって来たのです。それに美鈴のしゃべりも少し呂律が回らなくなってきたように感じます。
そのうち男性が美鈴との間に一席分の間があったのですが、美鈴の隣へと移りました。それから二人の会話も少しずつトーンダウンしていき、二人の顔の間も近くなって来ています。私はその場面を見ただけでもドキドキ、ハラハラと落ち着きが無くなってきて、二人の会話が聞きたくて仕方がありませんでした。
二人はまるで恋人同士のように話しているのですが、私は一人カウンターで何もしゃべらずに飲んでいるもので、何かそこにいるのはバツが悪いような雰囲気になる。私はトイレへと席を立ち、美鈴のスマホに、≪そろそろ俺店を出るけどいいかな?とメールを送りました。
トイレで用を足して席に戻る。しばらく美鈴がスマホを開いて私に返事をするのを待ったのですが、スマホを触ることもなくその男性となにやら話をしていました。何だか無視され私は少しムッとしましたが、ここで怒ってしまうと何もかもがぶち壊しになるのでマスターに「チェックをしてくれ。」と伝えました。
けれど美鈴はそんな私に気が付く様子もみせないので、私は男性と美鈴に「お先です」と声をかけて店を出ました。店の前で10分も待ったけれど美鈴は店から出て来ません。仕方がないので駅まで行って、まだ開いていた珈琲店に入りました。しかし、そこでも20分待っていたが連絡がない。少し腹を立てながら美鈴に何度も電話をするが応答はない。珈琲店の閉店時間が近づき、≪まだ御影にいるの?連絡をして。俺はもう先に家へ帰る。≫とメールを送りました。
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