『妻の3年』 vol.19〔仕事の依頼〕
中D『妻の3年』 vol.19〔仕事の依頼〕
伊藤氏から、会社に電話があった。私も四六時中、女の事ばかりを考えているわけではない。仕事もしている。都内にある設計事務所に勤めているが、その事務所に、私を指名で、伊藤氏より設計の依頼があった。何故かとも思ったが、名刺交換をしていたので、考えてみれば不思議はない。男とは得てして、仕事先の付き合いばかりで、地元の付き合いなどは妻に任せっきりな場合が多いが、私もそうである。したがって、伊藤氏がどんな人なのかもよくは知らなかった。
ただ、住まいのマンションから考えても“お金持ち”であることは、容易に想像がつく。だが、実際は、私の予想を遥かに超える資産家であることが、次第に明らかになっていった。所有する不動産だけでも、マンション、ホテル、貸しビル、駐車場等々、ちょっと挙げただけでも相当な資産である。人の財布を覗いても仕方がないが、溜め息が出るほどの額になる。
そんな伊藤氏から依頼があったのは、自社ビルの内装工事の設計依頼だった。これは、あとで判ったことだが、あの件の後に、伊藤氏は琴美と私に興味を持ち、私の仕事とかを調査し、今までに私が手掛けた建物を見て依頼をしてきたらしい。
仕事の打合せ旁(かたがた)、この前のマンションに、琴美と二人で夕食に招待された。あのパーティーから一月近く経った頃だった。琴美は、『伊藤さんと顔を合わせるのが恥ずかしい。』と言ったが、『パパの仕事のためなら、仕方がないわね…。』と、恩着せがまく承知した。私も、雅子さんと顔を合わせるのは、少し照れるが、仕事としては悪い仕事ではない。10人足らずの設計事務所には有り難い仕事である。社長も挨拶に行きたいと言ったが、伊藤氏から、〔真柴(私)さんだけで良い。〕と断られた。
約束の日に、琴美と二人で伊藤氏のマンションを訪ねた。雅子さんが迎えてくれた。相変わらずいい女である。伊藤氏も直ぐに玄関まで出て迎えてくれた。伊藤氏が、“超”のつく資産家と判って、改めて為人(ひととなり=生来の性質)を見てみると、この人は持って生れた育ちの良さの様なものがあり、傲慢なところがない。俄か成金ではないということだろう。
〔この前はお疲れさまでした…。〕
伊藤氏が含みのある眼で琴美を見つめ、微笑みながら言った。
『いえ、伊藤さんこそ、お疲れ様でした。』
意外と度胸の据わっている女である。しゃあしゃあと切り替えした。そんな琴美に、伊藤氏は興味を持っているようだ。なんとなく、からかいたくなるところが、琴美にはある。雅子さんはニコニコしてそれを眺めていた。
伊藤さんからの仕事の話は、願ってもない条件でした。伊藤さんが持っているマンションやホテルなどの不動産が、こんなにいっぱいある、すごいお金持ちとは知りませんでした。〔その建物のリフォームやリニューアルなど設計管理を全て任せるから独立しないか?〕、と云う話です。〔必要なら独立をするための資金も出す。〕と言うのです。でも、あまりにうますぎる話なので心配でしたが、仕事のことは全くわかりませんので、夫に任せるしかありませんでした。
伊藤さんが夫に〔見てほしいものがある。〕といって、夫と別な部屋にいってしまったので、雅子さんと二人だけになりました。
「琴美ちゃん、この間は、どう、よかった?」
わたしがどう答えたらいいのか、困っていると、
「うちのが、琴美ちゃんと相性がピッタリだ、って喜んでいたわ。」
『雅子さんは、そういう風にご主人が言っても平気なんですか?』
「平気じゃないわよ。嫉妬するわよ。でも、うちのはわたしのものなの。わたしを愛しているのは解るから、悔しいけどそれが愛情の裏返しみたいなものかな?……上手く言えないけど、お互いの愛情は深くなるような気がしているわ。」
雅子さんから「琴美ちゃんの体を、うちのが絶賛していたわよ。」とか、「セックスの相性が悪い人とは、お付き合いしてもうまくいかないの。」とか、恥ずかしくなるような露骨なことまで言われても、それが、雅子さんの口から出てくると、不思議とセックスに対する嫌らしさが無くなり、むしろ言われることに誇らしささえ感じるようになるのです。
「琴美ちゃんにお願いがあるのだけど……。」言いにくそうだったが、雅子さんの願いというのは、「もう一度、真柴くんに抱かれたいの。」ということだったのです。伊藤さんと同じように、雅子さんも「(パパとの)相性がピッタリだった。」というのです。
この時、雅子さんとパパが繋がったまま立ち上がり、雅子さんが両手両脚をしっかりと絡み付けていた光景が浮かんできました。あの時は、雅子さんに夫を盗られてしまうような気がしましたが、そんなこともなく、しっかりとわたしの元に戻ってきました。夫の、わたしへの愛情も変わることはありませんでした。
『何度もこういうことがあったら、それでも、大丈夫なのだろうか?』でも、『ダメになるものなら、縛り付けておいたとしてもダメになるし、大丈夫なものは、自由にしておいても大丈夫なのではないだろうか。』という自分自身の結論に達しました。
『いいですよ。雅子さんならいつでも貸してあげます。』自分でも驚くほど、さっぱりと言ってしまいました。雅子さんの顔が、ホントに嬉しそうだったのが気になりました。
2014/10/07
伊藤氏から、会社に電話があった。私も四六時中、女の事ばかりを考えているわけではない。仕事もしている。都内にある設計事務所に勤めているが、その事務所に、私を指名で、伊藤氏より設計の依頼があった。何故かとも思ったが、名刺交換をしていたので、考えてみれば不思議はない。男とは得てして、仕事先の付き合いばかりで、地元の付き合いなどは妻に任せっきりな場合が多いが、私もそうである。したがって、伊藤氏がどんな人なのかもよくは知らなかった。
ただ、住まいのマンションから考えても“お金持ち”であることは、容易に想像がつく。だが、実際は、私の予想を遥かに超える資産家であることが、次第に明らかになっていった。所有する不動産だけでも、マンション、ホテル、貸しビル、駐車場等々、ちょっと挙げただけでも相当な資産である。人の財布を覗いても仕方がないが、溜め息が出るほどの額になる。
そんな伊藤氏から依頼があったのは、自社ビルの内装工事の設計依頼だった。これは、あとで判ったことだが、あの件の後に、伊藤氏は琴美と私に興味を持ち、私の仕事とかを調査し、今までに私が手掛けた建物を見て依頼をしてきたらしい。
仕事の打合せ旁(かたがた)、この前のマンションに、琴美と二人で夕食に招待された。あのパーティーから一月近く経った頃だった。琴美は、『伊藤さんと顔を合わせるのが恥ずかしい。』と言ったが、『パパの仕事のためなら、仕方がないわね…。』と、恩着せがまく承知した。私も、雅子さんと顔を合わせるのは、少し照れるが、仕事としては悪い仕事ではない。10人足らずの設計事務所には有り難い仕事である。社長も挨拶に行きたいと言ったが、伊藤氏から、〔真柴(私)さんだけで良い。〕と断られた。
約束の日に、琴美と二人で伊藤氏のマンションを訪ねた。雅子さんが迎えてくれた。相変わらずいい女である。伊藤氏も直ぐに玄関まで出て迎えてくれた。伊藤氏が、“超”のつく資産家と判って、改めて為人(ひととなり=生来の性質)を見てみると、この人は持って生れた育ちの良さの様なものがあり、傲慢なところがない。俄か成金ではないということだろう。
〔この前はお疲れさまでした…。〕
伊藤氏が含みのある眼で琴美を見つめ、微笑みながら言った。
『いえ、伊藤さんこそ、お疲れ様でした。』
意外と度胸の据わっている女である。しゃあしゃあと切り替えした。そんな琴美に、伊藤氏は興味を持っているようだ。なんとなく、からかいたくなるところが、琴美にはある。雅子さんはニコニコしてそれを眺めていた。
伊藤さんからの仕事の話は、願ってもない条件でした。伊藤さんが持っているマンションやホテルなどの不動産が、こんなにいっぱいある、すごいお金持ちとは知りませんでした。〔その建物のリフォームやリニューアルなど設計管理を全て任せるから独立しないか?〕、と云う話です。〔必要なら独立をするための資金も出す。〕と言うのです。でも、あまりにうますぎる話なので心配でしたが、仕事のことは全くわかりませんので、夫に任せるしかありませんでした。
伊藤さんが夫に〔見てほしいものがある。〕といって、夫と別な部屋にいってしまったので、雅子さんと二人だけになりました。
「琴美ちゃん、この間は、どう、よかった?」
わたしがどう答えたらいいのか、困っていると、
「うちのが、琴美ちゃんと相性がピッタリだ、って喜んでいたわ。」
『雅子さんは、そういう風にご主人が言っても平気なんですか?』
「平気じゃないわよ。嫉妬するわよ。でも、うちのはわたしのものなの。わたしを愛しているのは解るから、悔しいけどそれが愛情の裏返しみたいなものかな?……上手く言えないけど、お互いの愛情は深くなるような気がしているわ。」
雅子さんから「琴美ちゃんの体を、うちのが絶賛していたわよ。」とか、「セックスの相性が悪い人とは、お付き合いしてもうまくいかないの。」とか、恥ずかしくなるような露骨なことまで言われても、それが、雅子さんの口から出てくると、不思議とセックスに対する嫌らしさが無くなり、むしろ言われることに誇らしささえ感じるようになるのです。
「琴美ちゃんにお願いがあるのだけど……。」言いにくそうだったが、雅子さんの願いというのは、「もう一度、真柴くんに抱かれたいの。」ということだったのです。伊藤さんと同じように、雅子さんも「(パパとの)相性がピッタリだった。」というのです。
この時、雅子さんとパパが繋がったまま立ち上がり、雅子さんが両手両脚をしっかりと絡み付けていた光景が浮かんできました。あの時は、雅子さんに夫を盗られてしまうような気がしましたが、そんなこともなく、しっかりとわたしの元に戻ってきました。夫の、わたしへの愛情も変わることはありませんでした。
『何度もこういうことがあったら、それでも、大丈夫なのだろうか?』でも、『ダメになるものなら、縛り付けておいたとしてもダメになるし、大丈夫なものは、自由にしておいても大丈夫なのではないだろうか。』という自分自身の結論に達しました。
『いいですよ。雅子さんならいつでも貸してあげます。』自分でも驚くほど、さっぱりと言ってしまいました。雅子さんの顔が、ホントに嬉しそうだったのが気になりました。
2014/10/07
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