『妻の3年』 vol.24〔抱いてください①〕
中D『妻の3年』 vol.24〔抱いてください①〕
翌朝、実花がいくつかの絵(イメージ図)を描いてきた。かなりやる気だ。夜遅くまで描いていたのだろう。その中で実花が一番いいと思っている絵があった。私もそれがいいような気がしたので、そのイメージで設計にはいることにした。
伊藤氏も、現在のイメージをそのまま残すようなものがいい。という意見だった。庭園は、駐車場以外はほとんど手を加えることはしない。建物の解体も私か石田が立会い、使える古材・銘木はできるだけ残すようにした。
そんな時、石田の義父が亡くなり、奥さんの実家に行くために、4日間ほど休みになった。それで解体の現場は私が毎日立ち会った。その日の仕事が終り、土曜日だったので、現場の親方と次週の打合せを終えてから事務所に戻ったのが、午後8時ごろだった。実花は、まだ懸命に仕事をしていた。疲れているようだったので、飯でも食いに連れて行ってやろうと思い、
「実花、もう終わりにしろよ。明日は休みだから飯でも喰いに行こう。」
と、声を掛けた。いつもなら二つ返事で喜んで付いてくるのに深刻な顔をしていた。
「どうした。元気ないじゃないか?」
〚ええ、実は、どうしても上手くいかなくて…、わたしにはやっぱり無理なのかな…。〛
「なに言ってんだよ。実花らしくないな。もうギブアップか?」
いつもなら、直ぐに“そんなことありません!”と反発してくるのが、反応がない。重症のようであった。
実花の好きな焼肉を食べに行ったが、あまり食欲もない。
「なんだ、元気ないな。失恋でもしたのか?」
そういった私の顔を上目遣いに、きっと睨むような眼をすると、直ぐに涙ぐむような眼に変わった。
「泣くなよ。どうしたんだよ?」
〚わたし、今日は思いっきり飲みたい……。〛
「いいけど、俺、車あるしな……。」
〚それじゃあ、わたしのマンションで……。〛実花のマンションは焼き肉店から歩いて10分らしい。
「女性の一人暮らしのマンションに行くわけにはいかないだろう?」
〚どうしてダメなんですか?わたしだって現場にも一緒にいってるのに……。〛
「なに、絡んでんだよ。分かったよ付き合うから。」
送っていって適当な時間に、最悪の時は車を置いてタクシーで帰ろうと思い、途中で酒とつまみを買い込んで、実花のマンションへ行った。部屋にはいるのは初めてだった。1DKの部屋は、女の子らしくきれいにしてある。
〚わたし、なんかおつまみ作りますね。所長、座ってテレビでも見ていてください。〛
実花が、俄然元気になった。
「いいよ、つくらなくても。買ってきたものでいいじゃないか。」
〚所長は、わたしには料理なんかつくれないと思ってんでしょ……。〛
いちいち、絡んでくる。疲れているのかもしれない。やりたい様にさせてやろうと思い。テレビを見ているうちに、私もこのところの疲れが出たのか、ソファーに横になっているうちに、うとうとと寝てしまった。
時間にして1時間くらいだったと思うが、眼が覚めると実花が作った料理が何品か並んでいた。テレビは点けっぱなしで、実花の姿がなかった。気が付くとシャワーの音が聞こえてきた。私は、何となくまた寝たふりをすることにした。スリッパの音がする、実花が浴室から出たようだ。鼻歌を歌っている、機嫌は直ったのだろうか。起きるタイミングが難しい。直ぐ近くに来た。湯上りのいい匂いが心地よい。と、不意に、私の唇が実花のぽってりとした唇で塞がれた。実花が抱きついてきた。
慌てて体を離そうとしたが、実花の腕は私の首をロックして、唇を離そうとしない。漸く唇を離し、「脅かすなよ。びっくりするじゃないか。」実花は頸にしがみついたままだ。バスタオルで体を巻いているだけである。〚所長、抱いてください……。〛立ち上がると実花は、バスタオルを自分で外した。健康な小麦色の裸身が眩しかった。じっと実花の眼を見た。初めて見る、思いつめたような眼だった。乳房も繁みも隠そうともしない。
「どうしたんだ?……」
実花は、私の眼を伏目がちに逸らせた。
〚寂しいんです。だから、所長に抱いてほしいんです。所長は、わたしのこと女となんか思ってないし、だから……。〛
「そんなことないよ。おまえは可愛い女の子だ、と思っている。」
〚わたしは女の子じゃないんです。女なんです!〛って怒ったように実花は言い放つ。
「ああ、可愛い女だと思っているよ。」
〚ホントに?じゃあ抱いてください!〛と実花から唐突に言われる。
「実花とそんな関係になるわけにはいかないだろ。考えても見ろ!」
〚所長に迷惑は絶対かけません。一度だけでいいですから、抱いてください!〛
また、体をロックするように実花が抱きついてきた。思わず抱き返した。弾むような健康な体にペニスが反応した。また、唇を重ねてきた。涙が滲んでいるような気がした。
2014/10/17
翌朝、実花がいくつかの絵(イメージ図)を描いてきた。かなりやる気だ。夜遅くまで描いていたのだろう。その中で実花が一番いいと思っている絵があった。私もそれがいいような気がしたので、そのイメージで設計にはいることにした。
伊藤氏も、現在のイメージをそのまま残すようなものがいい。という意見だった。庭園は、駐車場以外はほとんど手を加えることはしない。建物の解体も私か石田が立会い、使える古材・銘木はできるだけ残すようにした。
そんな時、石田の義父が亡くなり、奥さんの実家に行くために、4日間ほど休みになった。それで解体の現場は私が毎日立ち会った。その日の仕事が終り、土曜日だったので、現場の親方と次週の打合せを終えてから事務所に戻ったのが、午後8時ごろだった。実花は、まだ懸命に仕事をしていた。疲れているようだったので、飯でも食いに連れて行ってやろうと思い、
「実花、もう終わりにしろよ。明日は休みだから飯でも喰いに行こう。」
と、声を掛けた。いつもなら二つ返事で喜んで付いてくるのに深刻な顔をしていた。
「どうした。元気ないじゃないか?」
〚ええ、実は、どうしても上手くいかなくて…、わたしにはやっぱり無理なのかな…。〛
「なに言ってんだよ。実花らしくないな。もうギブアップか?」
いつもなら、直ぐに“そんなことありません!”と反発してくるのが、反応がない。重症のようであった。
実花の好きな焼肉を食べに行ったが、あまり食欲もない。
「なんだ、元気ないな。失恋でもしたのか?」
そういった私の顔を上目遣いに、きっと睨むような眼をすると、直ぐに涙ぐむような眼に変わった。
「泣くなよ。どうしたんだよ?」
〚わたし、今日は思いっきり飲みたい……。〛
「いいけど、俺、車あるしな……。」
〚それじゃあ、わたしのマンションで……。〛実花のマンションは焼き肉店から歩いて10分らしい。
「女性の一人暮らしのマンションに行くわけにはいかないだろう?」
〚どうしてダメなんですか?わたしだって現場にも一緒にいってるのに……。〛
「なに、絡んでんだよ。分かったよ付き合うから。」
送っていって適当な時間に、最悪の時は車を置いてタクシーで帰ろうと思い、途中で酒とつまみを買い込んで、実花のマンションへ行った。部屋にはいるのは初めてだった。1DKの部屋は、女の子らしくきれいにしてある。
〚わたし、なんかおつまみ作りますね。所長、座ってテレビでも見ていてください。〛
実花が、俄然元気になった。
「いいよ、つくらなくても。買ってきたものでいいじゃないか。」
〚所長は、わたしには料理なんかつくれないと思ってんでしょ……。〛
いちいち、絡んでくる。疲れているのかもしれない。やりたい様にさせてやろうと思い。テレビを見ているうちに、私もこのところの疲れが出たのか、ソファーに横になっているうちに、うとうとと寝てしまった。
時間にして1時間くらいだったと思うが、眼が覚めると実花が作った料理が何品か並んでいた。テレビは点けっぱなしで、実花の姿がなかった。気が付くとシャワーの音が聞こえてきた。私は、何となくまた寝たふりをすることにした。スリッパの音がする、実花が浴室から出たようだ。鼻歌を歌っている、機嫌は直ったのだろうか。起きるタイミングが難しい。直ぐ近くに来た。湯上りのいい匂いが心地よい。と、不意に、私の唇が実花のぽってりとした唇で塞がれた。実花が抱きついてきた。
慌てて体を離そうとしたが、実花の腕は私の首をロックして、唇を離そうとしない。漸く唇を離し、「脅かすなよ。びっくりするじゃないか。」実花は頸にしがみついたままだ。バスタオルで体を巻いているだけである。〚所長、抱いてください……。〛立ち上がると実花は、バスタオルを自分で外した。健康な小麦色の裸身が眩しかった。じっと実花の眼を見た。初めて見る、思いつめたような眼だった。乳房も繁みも隠そうともしない。
「どうしたんだ?……」
実花は、私の眼を伏目がちに逸らせた。
〚寂しいんです。だから、所長に抱いてほしいんです。所長は、わたしのこと女となんか思ってないし、だから……。〛
「そんなことないよ。おまえは可愛い女の子だ、と思っている。」
〚わたしは女の子じゃないんです。女なんです!〛って怒ったように実花は言い放つ。
「ああ、可愛い女だと思っているよ。」
〚ホントに?じゃあ抱いてください!〛と実花から唐突に言われる。
「実花とそんな関係になるわけにはいかないだろ。考えても見ろ!」
〚所長に迷惑は絶対かけません。一度だけでいいですから、抱いてください!〛
また、体をロックするように実花が抱きついてきた。思わず抱き返した。弾むような健康な体にペニスが反応した。また、唇を重ねてきた。涙が滲んでいるような気がした。
2014/10/17
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