『妻の3年』 vol.27〔女同士〕
中D『妻の3年』 vol.27〔女同士〕
夫の謙一が帰ってきたのが、日曜日の夜11時ごろでした。わたしはできるだけ感情を抑えながらいったつもりですが、少し、声が震えていたかもしれません。『ねぇ~良かった?実花ちゃんとのデートは……。』パパの顔面が蒼白になるのを見て“ざまあみろ!”と思いました。
実花ちゃんからは“一日だけでいいですから、所長を貸してください”と頼まれたのです。
その顔が、思いつめているような表情だったので、話を聞いてあげると、〔九州のお母さんがガンになってしまい、どうしても帰らなければならなくなった。〕と言うのです。
女の勘で、実花ちゃんが夫を好きなんだな、ということは判っていました。それでも利口な娘ですから、自分の気持ちを抑えながら、それを仕事にぶつけてきたようです。わたしも大学を出て勤め初めて年ぐらい経った頃に、上司を好きになったことがあり、彼女の気持ちはよく理解できました。
夫が独立してからも実花さんは、夫に付いて助手として本当に気が付く娘でした。見ていてわたしが嫉妬することもあるくらいに、夫を支えているのが分かりました。鈍感な夫は、全く実花さんの本心を解っていませんでした。九州に帰らなければならないことを、夫に言う前にわたしに相談をしたのは、同姓であれば理解してもらえるはずだ。という実花さんの思い詰めた結論だったようです。
わたしは勿論、実花さんを憎いと思いましたが、半面で、わたしに理解を求めてきたことに、実花さんの素直さ正直さを感じました。こんなことは、あってはならないことかも知れないのですが、雅子さんに「真柴くんを、時々貸してほしい”と言われたことを思い、九州に帰る実花さんに、“一番好きだった人に抱いてもらった”という思い出をつくってあげようと決めたのです。
それほど、実花さんの表情は真剣で思い詰めたものだったのです。それを、わたしの寛大な気持ちも知らないで、鼻の下を長くして帰ってきた夫に、一言いわないとわたしの気持が治まりませんでした。実花さんからは、ちゃんと、夫と別れてからすぐに、わたしに電話がありました。
〔ありがとうございました。琴美さんごめんなさい、ホントにごめんなさい。ありがとうございました。ホントにありがとうございました………。〕実花さんの声は、涙で震えていました。なぜか、わたしは清々しい気持ちになっていました。『実花さんも九州に帰っても、頑張ってね……。』わたしも涙がこぼれてきました。
こんな、切ない二人の女の気持を、何にも解っていない夫の顔を見ると、引っ叩いてやろうかと思いました。『今夜は、わたしを満足させなかったら、許さないからね!』わたしの体は、いつもより感じやすくなっています。何度も、天国まで行き着きました。翌朝、夫の謙一はさすがにぐったりとして眠そうでしたが、また腹がたってきたので、平手打ちで叩き起こして仕事に送り出しました。
2014/10/25
夫の謙一が帰ってきたのが、日曜日の夜11時ごろでした。わたしはできるだけ感情を抑えながらいったつもりですが、少し、声が震えていたかもしれません。『ねぇ~良かった?実花ちゃんとのデートは……。』パパの顔面が蒼白になるのを見て“ざまあみろ!”と思いました。
実花ちゃんからは“一日だけでいいですから、所長を貸してください”と頼まれたのです。
その顔が、思いつめているような表情だったので、話を聞いてあげると、〔九州のお母さんがガンになってしまい、どうしても帰らなければならなくなった。〕と言うのです。
女の勘で、実花ちゃんが夫を好きなんだな、ということは判っていました。それでも利口な娘ですから、自分の気持ちを抑えながら、それを仕事にぶつけてきたようです。わたしも大学を出て勤め初めて年ぐらい経った頃に、上司を好きになったことがあり、彼女の気持ちはよく理解できました。
夫が独立してからも実花さんは、夫に付いて助手として本当に気が付く娘でした。見ていてわたしが嫉妬することもあるくらいに、夫を支えているのが分かりました。鈍感な夫は、全く実花さんの本心を解っていませんでした。九州に帰らなければならないことを、夫に言う前にわたしに相談をしたのは、同姓であれば理解してもらえるはずだ。という実花さんの思い詰めた結論だったようです。
わたしは勿論、実花さんを憎いと思いましたが、半面で、わたしに理解を求めてきたことに、実花さんの素直さ正直さを感じました。こんなことは、あってはならないことかも知れないのですが、雅子さんに「真柴くんを、時々貸してほしい”と言われたことを思い、九州に帰る実花さんに、“一番好きだった人に抱いてもらった”という思い出をつくってあげようと決めたのです。
それほど、実花さんの表情は真剣で思い詰めたものだったのです。それを、わたしの寛大な気持ちも知らないで、鼻の下を長くして帰ってきた夫に、一言いわないとわたしの気持が治まりませんでした。実花さんからは、ちゃんと、夫と別れてからすぐに、わたしに電話がありました。
〔ありがとうございました。琴美さんごめんなさい、ホントにごめんなさい。ありがとうございました。ホントにありがとうございました………。〕実花さんの声は、涙で震えていました。なぜか、わたしは清々しい気持ちになっていました。『実花さんも九州に帰っても、頑張ってね……。』わたしも涙がこぼれてきました。
こんな、切ない二人の女の気持を、何にも解っていない夫の顔を見ると、引っ叩いてやろうかと思いました。『今夜は、わたしを満足させなかったら、許さないからね!』わたしの体は、いつもより感じやすくなっています。何度も、天国まで行き着きました。翌朝、夫の謙一はさすがにぐったりとして眠そうでしたが、また腹がたってきたので、平手打ちで叩き起こして仕事に送り出しました。
2014/10/25
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