壊れかけた二人 第21章①
名A壊れかけた二人 第21章①
〖嘘残業〗の後の話です。詩織の態度に微かな変化があった。それは、やたらと機嫌を伺ってくるようになったことだ。というか俺に甘くなる。細かいことでいえば、外食先や借りるビデオの決定権について必ず俺を優先してくれるようになった。今までも、どちらかというと詩織は譲ってくれることが多かったけれど、それでも自分の希望がある時はしっかりと主張してきたのに、もうそれを最初から放棄している感じなのだ。
『たっくんの好きなので良いよ。』とニコニコしながら言ってくる。俺が調子に乗って「~がほしいな。」と趣味のものをねだると、どちらかと言えば元々詩織は財布の紐が固いほうなのに、『うん、いいよ。』と笑顔で承諾してくれる。
(これは悪い兆候だと感じた。【生SEX】への贖罪なのかもしれないが、してしまった罪悪感と俺との約束を破ってしまい未だに告白できない背徳感がまじった行為の表れだからだ。)
俺は〖嘘残業〗の直後は聞く勇気が無かったので3日後に、夜の営みが終わって詩織が俺に腕枕をしている時に、「こないだ、翔太とどうだった?」とストレートに聞いてみた。
詩織は『え?え?え?べ、別に・・・普通だよ。』わかりやすく焦る。
「普通ってなに?」
『ふ、普通は・・・普通だよ。』と詩織が答える。
「普通に気持ちよかったってこと?」と尋ねた。詩織はプルプルと首を横に振る。俺が「声とかたくさん出たの?」と聞いても、『で、出るわけないじゃん。』と否定した。「そっか。」
『・・・うん・・・あ、ていうかぁ。』(生のことを拓海に告白するか詩織は迷っていた。)
「え?何?」
詩織は『やっぱ・・・なんでもない。』と言うと、有無を言わさずごそごそと布団にもぐり会話を打ち切るためにフェラチオを始めてきた。(詩織は、コンドームなしの生でしたセックスのことはどうしても告白できなかった。)
〖嘘出張〗の日程については俺が「この日もしかしたら出張するかも?」と、嘘残業をする以前から詩織にそれとなく伝えてあった。それで「物騒だから翔太にでも来てもらおっか?」と俺が冗談半分で言ったら、『え~そっちのが物騒だよ~。』と詩織には拒否をされた。
〖嘘残業〗の後でもう一度俺が「やっぱり不安だしさ翔太に来てもらおう。」と言ってみたら、詩織は『まぁ、たっくんがそこまで言うならいいけど・・・。』と俺が無理をいった形にしてOKをした。そんな感じでその場では渋々といった感じで了承していたのだけど、その直後から俺が詩織の様子を盗み見していると明らかにニヤニヤしたりしていた。
詩織は桜さんとメールをしていました。
(ただ〖嘘残業〗の夜のことについては話をしていなかったようです)
≪『今週末、Sと二人っきりでするかも。しかも一晩中です。やばいくらい今からドキドキしている。(笑)でも正直怖いかも。』≫
それ以降は詩織のPCを確認が出来ていないので、桜さんからの返信や、それ以降のやり取りはわかりません。
〖嘘出張〗の朝の日がくる。俺が「それじゃ、行ってくるよ。」と告げる。詩織はまるでその瞳に俺の姿を焼き付けるように、長い時間じっと見つめてくる。そして『・・・・・うん。』と小さく頷くと、背伸びをして俺にキスをしてきました。
この〖嘘出張〗も、〖嘘残業〗のときのように、翔太には黙ってやるのが理想型だったが、どうしても俺が家に入るためには翔太の協力が必要で、すでに段取りは打ち合わせ済みでした。
セックスの内容についても「詩織が嫌がらないかぎり、何をしても良い。」としました。ただ、前回のような、失神するまで攻めるのは(見ていて心配になるので)やめてほしいので、「身体的には優しくしてやってくれ。」とお願いをした。
段取りとしては、仕事が定時で終わったら詩織が車で翔太を拾って、そのまま二人は外食に行く。その間に俺がこっそり家に戻り、そして寝室の隣の部屋に待機するというものでした。
しかし、翔太がリアルな残業に捕まっていたので俺は定時に退社、様子を見に家の前まで行く。詩織の車が既に無かったのでそのまま家に入り込んで、トイレを済ませて隣室に入る。
それで、まだプレイが開始をするまでには長い時間があったが、とても高ぶる気持ちを抑えきれずにいた。妻の詩織が夫とは違う男に組み敷かれ、白い裸身がピンクに染まっていくシーンが見たいという俺自身の性癖を今は後悔し、そして嫉妬と興奮のジレンマを心の中で闘うように、じっと部屋の隅で目を瞑って座っていた。
想定外のことが起こったのは、詩織が突然帰宅してきたことだ。おそらく残業の知らせを翔太から聞いたのであろう。微かに階段を上がっている詩織の足音に俺は尋常じゃないほど緊張した。
詩織に見つかったら言い逃れは出来ない。一応隣室には中からは鍵をしておいたから大丈夫ではあった。それに幸い詩織が普段から使う部屋ではない。俺の書斎兼物置部屋だった。だから鍵が掛けてあったとしてもそれほど不自然ではない。それでも罪悪感が手伝ってか、詩織が寝室の扉を開けた時には心の底からの安堵で溜息が漏れてしまった。
覗き穴から中の様子を覗いてみると、詩織が着替えをしだした。着替える前はいつもの落ち着いたワンピースだったが、それが普段は滅多に履かないTバックとミニスカートを取り出してきた。それらを着用するとニヤニヤしながら姿見の前でくるくると周りだした。
そして化粧を直しだし、化粧をし終わるともう一度姿見をじっくり見ている。詩織は、『・・・うーん。』と自嘲するように笑うとミニスカートとTバックをさっさと脱いでしまった。暫くしてちょっと派手な黒の下着(ショーツ)とホットパンツに着替えた。
詩織は上着に関しても、何度も何度も違うのを引っ張り出してきては、姿見の前で、『んー・・・。』と困ったように声を出して、中々外出の服装を決めきれずにいた。ようやく決まると『ふぅ~。』と息をついてベッドに倒れこんだ。
そのあと詩織は何度も、スマートフォンをチラチラと確認していた。するとその時寝室にある、昔俺たち二人で新婚旅行をした時に買った小さな置物をパタリと伏せる。(現地の言葉で、俺と詩織の名前と幸せを願う文章が刻んであるもの)
そして詩織はベッドに再度寝そべり、オナニーを始めた。(俺は男女を問わずに他人のオナニーを初めて生で見た。)服の上から胸を揉み、そしてホットパンツの中に手を滑り込ませながら“くちゅくちゅ”と水音を鳴らしていた。『んっ・・・はぁ。』とやがて身体を少し振るわせてイクと処理を済ませる。しばらくベッドの上で気だるそうに寝返りを繰り返していた。
そして『ああああ、もう~。』と苛ついた様子で、頭をくしゃくしゃとかきむしって『あ~あ~。』とため息をつきながら、足をばたばたさせていた。
2014/11/03
〖嘘残業〗の後の話です。詩織の態度に微かな変化があった。それは、やたらと機嫌を伺ってくるようになったことだ。というか俺に甘くなる。細かいことでいえば、外食先や借りるビデオの決定権について必ず俺を優先してくれるようになった。今までも、どちらかというと詩織は譲ってくれることが多かったけれど、それでも自分の希望がある時はしっかりと主張してきたのに、もうそれを最初から放棄している感じなのだ。
『たっくんの好きなので良いよ。』とニコニコしながら言ってくる。俺が調子に乗って「~がほしいな。」と趣味のものをねだると、どちらかと言えば元々詩織は財布の紐が固いほうなのに、『うん、いいよ。』と笑顔で承諾してくれる。
(これは悪い兆候だと感じた。【生SEX】への贖罪なのかもしれないが、してしまった罪悪感と俺との約束を破ってしまい未だに告白できない背徳感がまじった行為の表れだからだ。)
俺は〖嘘残業〗の直後は聞く勇気が無かったので3日後に、夜の営みが終わって詩織が俺に腕枕をしている時に、「こないだ、翔太とどうだった?」とストレートに聞いてみた。
詩織は『え?え?え?べ、別に・・・普通だよ。』わかりやすく焦る。
「普通ってなに?」
『ふ、普通は・・・普通だよ。』と詩織が答える。
「普通に気持ちよかったってこと?」と尋ねた。詩織はプルプルと首を横に振る。俺が「声とかたくさん出たの?」と聞いても、『で、出るわけないじゃん。』と否定した。「そっか。」
『・・・うん・・・あ、ていうかぁ。』(生のことを拓海に告白するか詩織は迷っていた。)
「え?何?」
詩織は『やっぱ・・・なんでもない。』と言うと、有無を言わさずごそごそと布団にもぐり会話を打ち切るためにフェラチオを始めてきた。(詩織は、コンドームなしの生でしたセックスのことはどうしても告白できなかった。)
〖嘘出張〗の日程については俺が「この日もしかしたら出張するかも?」と、嘘残業をする以前から詩織にそれとなく伝えてあった。それで「物騒だから翔太にでも来てもらおっか?」と俺が冗談半分で言ったら、『え~そっちのが物騒だよ~。』と詩織には拒否をされた。
〖嘘残業〗の後でもう一度俺が「やっぱり不安だしさ翔太に来てもらおう。」と言ってみたら、詩織は『まぁ、たっくんがそこまで言うならいいけど・・・。』と俺が無理をいった形にしてOKをした。そんな感じでその場では渋々といった感じで了承していたのだけど、その直後から俺が詩織の様子を盗み見していると明らかにニヤニヤしたりしていた。
詩織は桜さんとメールをしていました。
(ただ〖嘘残業〗の夜のことについては話をしていなかったようです)
≪『今週末、Sと二人っきりでするかも。しかも一晩中です。やばいくらい今からドキドキしている。(笑)でも正直怖いかも。』≫
それ以降は詩織のPCを確認が出来ていないので、桜さんからの返信や、それ以降のやり取りはわかりません。
〖嘘出張〗の朝の日がくる。俺が「それじゃ、行ってくるよ。」と告げる。詩織はまるでその瞳に俺の姿を焼き付けるように、長い時間じっと見つめてくる。そして『・・・・・うん。』と小さく頷くと、背伸びをして俺にキスをしてきました。
この〖嘘出張〗も、〖嘘残業〗のときのように、翔太には黙ってやるのが理想型だったが、どうしても俺が家に入るためには翔太の協力が必要で、すでに段取りは打ち合わせ済みでした。
セックスの内容についても「詩織が嫌がらないかぎり、何をしても良い。」としました。ただ、前回のような、失神するまで攻めるのは(見ていて心配になるので)やめてほしいので、「身体的には優しくしてやってくれ。」とお願いをした。
段取りとしては、仕事が定時で終わったら詩織が車で翔太を拾って、そのまま二人は外食に行く。その間に俺がこっそり家に戻り、そして寝室の隣の部屋に待機するというものでした。
しかし、翔太がリアルな残業に捕まっていたので俺は定時に退社、様子を見に家の前まで行く。詩織の車が既に無かったのでそのまま家に入り込んで、トイレを済ませて隣室に入る。
それで、まだプレイが開始をするまでには長い時間があったが、とても高ぶる気持ちを抑えきれずにいた。妻の詩織が夫とは違う男に組み敷かれ、白い裸身がピンクに染まっていくシーンが見たいという俺自身の性癖を今は後悔し、そして嫉妬と興奮のジレンマを心の中で闘うように、じっと部屋の隅で目を瞑って座っていた。
想定外のことが起こったのは、詩織が突然帰宅してきたことだ。おそらく残業の知らせを翔太から聞いたのであろう。微かに階段を上がっている詩織の足音に俺は尋常じゃないほど緊張した。
詩織に見つかったら言い逃れは出来ない。一応隣室には中からは鍵をしておいたから大丈夫ではあった。それに幸い詩織が普段から使う部屋ではない。俺の書斎兼物置部屋だった。だから鍵が掛けてあったとしてもそれほど不自然ではない。それでも罪悪感が手伝ってか、詩織が寝室の扉を開けた時には心の底からの安堵で溜息が漏れてしまった。
覗き穴から中の様子を覗いてみると、詩織が着替えをしだした。着替える前はいつもの落ち着いたワンピースだったが、それが普段は滅多に履かないTバックとミニスカートを取り出してきた。それらを着用するとニヤニヤしながら姿見の前でくるくると周りだした。
そして化粧を直しだし、化粧をし終わるともう一度姿見をじっくり見ている。詩織は、『・・・うーん。』と自嘲するように笑うとミニスカートとTバックをさっさと脱いでしまった。暫くしてちょっと派手な黒の下着(ショーツ)とホットパンツに着替えた。
詩織は上着に関しても、何度も何度も違うのを引っ張り出してきては、姿見の前で、『んー・・・。』と困ったように声を出して、中々外出の服装を決めきれずにいた。ようやく決まると『ふぅ~。』と息をついてベッドに倒れこんだ。
そのあと詩織は何度も、スマートフォンをチラチラと確認していた。するとその時寝室にある、昔俺たち二人で新婚旅行をした時に買った小さな置物をパタリと伏せる。(現地の言葉で、俺と詩織の名前と幸せを願う文章が刻んであるもの)
そして詩織はベッドに再度寝そべり、オナニーを始めた。(俺は男女を問わずに他人のオナニーを初めて生で見た。)服の上から胸を揉み、そしてホットパンツの中に手を滑り込ませながら“くちゅくちゅ”と水音を鳴らしていた。『んっ・・・はぁ。』とやがて身体を少し振るわせてイクと処理を済ませる。しばらくベッドの上で気だるそうに寝返りを繰り返していた。
そして『ああああ、もう~。』と苛ついた様子で、頭をくしゃくしゃとかきむしって『あ~あ~。』とため息をつきながら、足をばたばたさせていた。
2014/11/03
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