長Y〖彼女の恋〗パート18
長Y〖彼女の恋〗パート18
前日の泣きじゃくっていた新島七海(にいじま・ななみ)はもういません。泣き過ぎて目は腫れ、鼻は擦りすぎて赤みが取れず、決して綺麗とは言えないけど、嬉しそうに笑う七海は僕(柴崎孝信:たかのぶ)の心を穏やかにしてくれました。
僕もいろいろ聞きたいこと、知りたいことありましたが、泣きじゃくっていた七海を思い出し、嬉しそうに笑う七海を見ると言葉が出ず、質問は飲み込みました。その日は二人で七海の部屋で過ごします。それで出逢った頃の話しや再会した時のお互いの感情や状況、離れていた2年間の話しをとめどなくしました。
二人の空白の時間をを小さなピースを紡いで埋めようとしていたのだと思います。ただ、あの男についてはお互い意識して回避していたので空白のパズルは完成することはありませんでした・・。
高岡俊一と佐倉朋美ちゃんからは何度も僕や七海の携帯にメールがありました。心配してくれる友人が居るのは本当に嬉しいことで、僕も七海ももう大丈夫って返事しながら胸が熱くなります・・。あの二人にも心配かけたなぁと思い、その日の夜にいつもの居酒屋で4人で会おうということになりました。
七海はちょっとばつが悪いらしく、『まともに二人の顔が見られないよ。』なんて言います。僕は家から出てきて格好のままでした。一方、七海はグレーの柔らかい生地のくるぶしの方まであるロングワンピースにジャケットを羽織り、眼鏡はコンタクトに代えています。
玄関を二人一緒に出ると突然、七海が小さくつぶやいて僕を見ます・・。
『このワンピ可愛いんだけど、歩きづらいんだぁ・・。』
「・・・・・・。」
やっと七海の言葉の意味に気づいた僕が訊きます。
「・・手・・つなごうか?」
『・・うん♪』
嬉しそうな満面の笑みで七海が応えました。
僕達は二人、手をつないで俊一達の待つ居酒屋へ向かいます。俊一と朋美ちゃんは先に居酒屋で待っていてくれました。
〚待ってましたぁ~。〛
〔遅いですよ!〕
いつもの明るい二人の気持ちが嬉しく、僕は不覚にも涙ぐんでしまい、心のなかで《ありがとう》と頭を下げます。
4人でワイワイと、ある程度飲んだところで、「昨日は二人とも心配かけてごめん・・僕と七海はこれから付き合うことにしました。」僕の改まった宣言に途中からきっちり座り直した七海と一緒に頭を下げると、〔おぉぉ~っマジですかぁ~!やったぁ!!おめでとうございます。〕と、俊一が大きな声で喜ぶ。〚・・本当に?良かったねぇ~〛って、七海の顔を目をパチパチしながら見て、涙ぐむ朋美ちゃん。本当に、ありがたい友人です。
俊一からある程度事情を聞いていた朋美ちゃんも、僕と七海の昔のことは知っているし、昨日の出来事から急に付き合うまでは行くと思ってなかったらしく、驚きとともにとても喜んでくれました。
祝いと称した4人の宴会も、七海以外の三人は次の日が仕事ということもあり電車のある内に解散になりました。そして4人で駅まで歩きます。その道中、七海はずっと僕の小指を握っていました。『じゃあ、おつかれぇ♪ありがとう。』朋美ちゃんたちを先に電車に乗せて見送り、僕は逆のホームへ移動しました。
『・・孝信くん、帰っちゃうんだね・・あはっ、寂しいなぁ・・。』
寂しげな空笑いをする七海を抱きしめます。
「またすぐ逢えるよ。帰り道は大丈夫?」
『・・クス・・うん、すぐそこだもん。』
「・・七海、大好きだよ。」
七海の背中をさすってから、僕はキスをして、指切りをしました。
『孝信くん、またね。』
「・・うん。」
七海は見えなくなるまでずっと僕を見つめています・・・。
2016/01/03
前日の泣きじゃくっていた新島七海(にいじま・ななみ)はもういません。泣き過ぎて目は腫れ、鼻は擦りすぎて赤みが取れず、決して綺麗とは言えないけど、嬉しそうに笑う七海は僕(柴崎孝信:たかのぶ)の心を穏やかにしてくれました。
僕もいろいろ聞きたいこと、知りたいことありましたが、泣きじゃくっていた七海を思い出し、嬉しそうに笑う七海を見ると言葉が出ず、質問は飲み込みました。その日は二人で七海の部屋で過ごします。それで出逢った頃の話しや再会した時のお互いの感情や状況、離れていた2年間の話しをとめどなくしました。
二人の空白の時間をを小さなピースを紡いで埋めようとしていたのだと思います。ただ、あの男についてはお互い意識して回避していたので空白のパズルは完成することはありませんでした・・。
高岡俊一と佐倉朋美ちゃんからは何度も僕や七海の携帯にメールがありました。心配してくれる友人が居るのは本当に嬉しいことで、僕も七海ももう大丈夫って返事しながら胸が熱くなります・・。あの二人にも心配かけたなぁと思い、その日の夜にいつもの居酒屋で4人で会おうということになりました。
七海はちょっとばつが悪いらしく、『まともに二人の顔が見られないよ。』なんて言います。僕は家から出てきて格好のままでした。一方、七海はグレーの柔らかい生地のくるぶしの方まであるロングワンピースにジャケットを羽織り、眼鏡はコンタクトに代えています。
玄関を二人一緒に出ると突然、七海が小さくつぶやいて僕を見ます・・。
『このワンピ可愛いんだけど、歩きづらいんだぁ・・。』
「・・・・・・。」
やっと七海の言葉の意味に気づいた僕が訊きます。
「・・手・・つなごうか?」
『・・うん♪』
嬉しそうな満面の笑みで七海が応えました。
僕達は二人、手をつないで俊一達の待つ居酒屋へ向かいます。俊一と朋美ちゃんは先に居酒屋で待っていてくれました。
〚待ってましたぁ~。〛
〔遅いですよ!〕
いつもの明るい二人の気持ちが嬉しく、僕は不覚にも涙ぐんでしまい、心のなかで《ありがとう》と頭を下げます。
4人でワイワイと、ある程度飲んだところで、「昨日は二人とも心配かけてごめん・・僕と七海はこれから付き合うことにしました。」僕の改まった宣言に途中からきっちり座り直した七海と一緒に頭を下げると、〔おぉぉ~っマジですかぁ~!やったぁ!!おめでとうございます。〕と、俊一が大きな声で喜ぶ。〚・・本当に?良かったねぇ~〛って、七海の顔を目をパチパチしながら見て、涙ぐむ朋美ちゃん。本当に、ありがたい友人です。
俊一からある程度事情を聞いていた朋美ちゃんも、僕と七海の昔のことは知っているし、昨日の出来事から急に付き合うまでは行くと思ってなかったらしく、驚きとともにとても喜んでくれました。
祝いと称した4人の宴会も、七海以外の三人は次の日が仕事ということもあり電車のある内に解散になりました。そして4人で駅まで歩きます。その道中、七海はずっと僕の小指を握っていました。『じゃあ、おつかれぇ♪ありがとう。』朋美ちゃんたちを先に電車に乗せて見送り、僕は逆のホームへ移動しました。
『・・孝信くん、帰っちゃうんだね・・あはっ、寂しいなぁ・・。』
寂しげな空笑いをする七海を抱きしめます。
「またすぐ逢えるよ。帰り道は大丈夫?」
『・・クス・・うん、すぐそこだもん。』
「・・七海、大好きだよ。」
七海の背中をさすってから、僕はキスをして、指切りをしました。
『孝信くん、またね。』
「・・うん。」
七海は見えなくなるまでずっと僕を見つめています・・・。
2016/01/03
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