『10年目の愛』 VOL3
名D『10年目の愛』 VOL3
いつ寝たのかわからないが、起きたら午前9時を回っていた。愛はいつものように洗濯をしていた。いつもならラジオの音楽を聴きながら鼻歌を歌っているのだが、今日は淡々と家事をこなしている。昨日はどうしたんだろ。やけに静かだったが・・「おはよう愛(二人だけの時は呼び捨てでもいいだろう。)、もう英樹君は仕事に行った?新婚初夜はどうだった。久しぶりだったので、よかっただろう。」私は作り笑顔で、愛に挨拶をした。(自分でも無理をしていると思った。)
『おはよう。』って愛は私を見ると、それだけを言ってまた洗濯に取り掛かった。愛がベランダの洗濯物を干し、2階の掃除をしている。いつもはめったに使わない2階の部屋を丹念に掃除機をかけ、雑巾掛けまでしている。ふとベランダを見ると、英樹君のTシャツやパンツ、作業服が愛の洋服の横に干してある。私はそれを見ただけで、胸が痛くなり、嫉妬心が湧いてきた。
夕方、英樹君が帰ってきた。
「お帰り、英樹君。」
〔ただいま、古沢さん。ただいま愛さん。ハイこれ、お弁当箱、とてもおいしかったよ。〕
英樹君はそう言って2階に上がっていった。愛は英樹君に弁当まで作っていた。私一人取り残されているように思えた。
そんな日が2日続き、3日続き、そして5日が過ぎた。英樹君がどこまで理解しているのか、それでも私とだんだん話すようになった。
〔へえ~、こんないいところがあるんですか。僕も行ってみたいな。〕
「ここはね、ここの空港からこう行って、すぐのところにあるんだ。」
〔へえ~、古沢さんってすごいですね、昔はよく行ったんですか?〕
「いいや、カタログや資料をよく頭の中に叩き込んでいて、いつでも説明できるようにしているんだよ。」
〔へえ~、やっぱりすごいや。〕と英樹は感心することしきりです。
そして6日目の朝、英樹君はいつものように仕事に行っていた。
「どうだ、愛、新婚生活は?英樹君もだんだん慣れて来たみたいだし、可愛がってもらっているのか?」私はまるで娘を嫁がせた父親のようだった。
『実は英樹さんね。ここに来てから一度も私を抱いていないの。最初の夜から寝る部屋が別々で、まだ手も握ってないわ。』
「えっ、どうして?」私は驚いた。「今日で6日目、なのに何もしていないなんて・・?」
『英樹さんがね、〔ご主人はああ言っているけれど、愛さんが嫌だったらいくらセックスレスでも他の男性に抱かれることないです。こんなことを若い僕が言うのは変なんだけど、愛さんは古沢さんを愛している、古沢さんも愛さんを愛している。それは僕もわかります。だから、古沢さんは愛さんを僕に託したと思います。だから愛さんがその気になってくれるまで僕は待ちます。1カ月過ぎてももし愛さんがその気にならなかったら、そのときは僕もあきらめて帰ります。〕って、言ってくれたの。』
「そうか、英樹君はそこまで・・、英樹君の言うとおり、僕は愛を嫌いになったわけじゃない。今でも愛している。だから、英樹君のようないい人に愛を抱いてもらいたいのだ。愛は女なんだ。だから化粧もしてもらいたい、いい服も着てもらいたい、いい女になっていつまでもきれいでいてもらいたい、だから英樹くんに託した。」
『あなた、本当にいいの?私が英樹さんに抱かれても。本当に嫌いにならない?』
「ああ、いいよ。今までの分思いっきり抱かれておいで。そしてきれいになって帰ってきてくれ。僕が贈った結婚10周年のプレゼントを受け取らないなら嫌いになるぞ。」と告げる。『あなた・・。』愛は笑顔で泣いている。愛の笑顔は久しぶりだった。
お昼過ぎに愛は夕食の買い物に行って帰ってきた。
「今日の夕食は何?」
『夕食はだんな様の大好きなハンバーグよ。』
「えっ、俺、そんなものいつ好きって言ったっけ?」
『違うよ。これはあなたよりも14歳若い私のだんな様の大好きなものです。』
「なんだ英樹君の好物か。これはなに?」私は食料の袋の横に置いてあった紙包みを開けた。『あっ、それはだめ・・。』と慌てる愛が私の手から取る前に私はそれを見てしまった。そこには[世界初!天然ゴム0.02mm 究極の超薄型コンドーム]と、書いてあった。
2014/10/26
いつ寝たのかわからないが、起きたら午前9時を回っていた。愛はいつものように洗濯をしていた。いつもならラジオの音楽を聴きながら鼻歌を歌っているのだが、今日は淡々と家事をこなしている。昨日はどうしたんだろ。やけに静かだったが・・「おはよう愛(二人だけの時は呼び捨てでもいいだろう。)、もう英樹君は仕事に行った?新婚初夜はどうだった。久しぶりだったので、よかっただろう。」私は作り笑顔で、愛に挨拶をした。(自分でも無理をしていると思った。)
『おはよう。』って愛は私を見ると、それだけを言ってまた洗濯に取り掛かった。愛がベランダの洗濯物を干し、2階の掃除をしている。いつもはめったに使わない2階の部屋を丹念に掃除機をかけ、雑巾掛けまでしている。ふとベランダを見ると、英樹君のTシャツやパンツ、作業服が愛の洋服の横に干してある。私はそれを見ただけで、胸が痛くなり、嫉妬心が湧いてきた。
夕方、英樹君が帰ってきた。
「お帰り、英樹君。」
〔ただいま、古沢さん。ただいま愛さん。ハイこれ、お弁当箱、とてもおいしかったよ。〕
英樹君はそう言って2階に上がっていった。愛は英樹君に弁当まで作っていた。私一人取り残されているように思えた。
そんな日が2日続き、3日続き、そして5日が過ぎた。英樹君がどこまで理解しているのか、それでも私とだんだん話すようになった。
〔へえ~、こんないいところがあるんですか。僕も行ってみたいな。〕
「ここはね、ここの空港からこう行って、すぐのところにあるんだ。」
〔へえ~、古沢さんってすごいですね、昔はよく行ったんですか?〕
「いいや、カタログや資料をよく頭の中に叩き込んでいて、いつでも説明できるようにしているんだよ。」
〔へえ~、やっぱりすごいや。〕と英樹は感心することしきりです。
そして6日目の朝、英樹君はいつものように仕事に行っていた。
「どうだ、愛、新婚生活は?英樹君もだんだん慣れて来たみたいだし、可愛がってもらっているのか?」私はまるで娘を嫁がせた父親のようだった。
『実は英樹さんね。ここに来てから一度も私を抱いていないの。最初の夜から寝る部屋が別々で、まだ手も握ってないわ。』
「えっ、どうして?」私は驚いた。「今日で6日目、なのに何もしていないなんて・・?」
『英樹さんがね、〔ご主人はああ言っているけれど、愛さんが嫌だったらいくらセックスレスでも他の男性に抱かれることないです。こんなことを若い僕が言うのは変なんだけど、愛さんは古沢さんを愛している、古沢さんも愛さんを愛している。それは僕もわかります。だから、古沢さんは愛さんを僕に託したと思います。だから愛さんがその気になってくれるまで僕は待ちます。1カ月過ぎてももし愛さんがその気にならなかったら、そのときは僕もあきらめて帰ります。〕って、言ってくれたの。』
「そうか、英樹君はそこまで・・、英樹君の言うとおり、僕は愛を嫌いになったわけじゃない。今でも愛している。だから、英樹君のようないい人に愛を抱いてもらいたいのだ。愛は女なんだ。だから化粧もしてもらいたい、いい服も着てもらいたい、いい女になっていつまでもきれいでいてもらいたい、だから英樹くんに託した。」
『あなた、本当にいいの?私が英樹さんに抱かれても。本当に嫌いにならない?』
「ああ、いいよ。今までの分思いっきり抱かれておいで。そしてきれいになって帰ってきてくれ。僕が贈った結婚10周年のプレゼントを受け取らないなら嫌いになるぞ。」と告げる。『あなた・・。』愛は笑顔で泣いている。愛の笑顔は久しぶりだった。
お昼過ぎに愛は夕食の買い物に行って帰ってきた。
「今日の夕食は何?」
『夕食はだんな様の大好きなハンバーグよ。』
「えっ、俺、そんなものいつ好きって言ったっけ?」
『違うよ。これはあなたよりも14歳若い私のだんな様の大好きなものです。』
「なんだ英樹君の好物か。これはなに?」私は食料の袋の横に置いてあった紙包みを開けた。『あっ、それはだめ・・。』と慌てる愛が私の手から取る前に私はそれを見てしまった。そこには[世界初!天然ゴム0.02mm 究極の超薄型コンドーム]と、書いてあった。
2014/10/26
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